’08.8.5

いつも楽しく見ている、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」。今日の放送は、映画監督・宮崎駿さんでした。

この夏公開の新作「崖の上のポニョ」の制作に「300日密着」というスペシャル版。企画からキャラクター造り、ストーリー完成まで、まさに「産みの苦しみ」を目の当たりにした思いでした。番組として編集されたものには違いなくとも、作品を生み出す苦悩に改めて圧倒されました。

私はピアニストとして、作曲家(つまり他人)の書いた作品を演奏しています。勉強の際には「なぜこの音を書いたのか」「この場面転換は、このエンディングはどんなイメージで書かれたのか」と絶えず問題意識を持って取り組んでいます。それでも今回、作者の産みの苦しみを映像で見たのは初めてで、作家、作曲家等すべてのクリエイターに対する尊敬の念を新たにしました。 

’08.7.28〜8.5

自宅のピアノ(ディアパソン 210−E)のハンマー(鍵盤とつながっていて、弦を直接たたく部品)交換の日。弦にあたるフェルト部分が磨耗してきて、だんだん芯になっている木の音が出てきてしまっていました。今年いっぱい何とか持つかと思いましたが、芯の音がかなり気になり、9/15のリサイタル準備のためにも、早めに交換することにしました。

いつも自宅のピアノ調整と横須賀のリサイタルで調律をお願いしている、サウンドウェーブ(http://pika2piano.com/)さんに依頼しました。昨年の弦総張替えに続き、2度目です。いつも丁寧な作業をして下さるので、安心してお願いできます。

にかわで接着されているハンマー部分を一つ一つコテで熱して外し、新しいハンマーを取り付けていくのは、2人がかりでも大変な作業。その後さらに2日かけて高さを揃える等、細かな微調整です。更にペダルの調整もお願いしているので、もう一度来て頂くことになりました。

ハンマーを取り替えてすぐはまだ落ち着かなかった音色も、だんだんピアノ本体にも、そして私の耳にも馴染み始めました。新品のハンマーにはもちろん弦溝(弦を打ち続けることで付いていく「弦の跡」)がありません。弾き込んで弦溝をしっかり付けていって、やっと馴染んでいきます。これからこのハンマー達と、またいろいろな曲を弾いていこう・・・と思います。

外された全88個のハンマー。もう要らない物ですが、私の手の動きを弦に伝え続け、25年近く苦楽をともにしてくれた物。まだとても捨てられそうにありません。綺麗な缶にしまい、しばらくととっておきたいと思います。

 

’08.7.21

9/15のリサイタルのために、6月に引き続き、井上二葉先生のレッスンを受けてきました。今回はラヴェル「オンディーヌ(水の精)」です。

いわずと知れた難曲ですが、あまりにも美しい作品。ラヴェルが魅せられた、詩人ベルトランの世界に私も魅せられています。ラヴェルが書いた緻密な音のすべてに、耳を澄ませます。

頻繁に両手が重なり合う等、特殊なテクニックでも有名なこの作品。井上先生の先生、更にその先生に当たる名匠ラザール・レヴィ氏直伝の奏法も教わり、弾きやすさにびっくりしました。

また、この作品は詩の内容に沿って書かれていて、最後に場面が急展開します。曲全体の音色作りがとても重要ですが、見落として弾いている箇所がありました・・・。

「どんなに弾き慣れている曲でも、演奏する自分は以前の自分より進歩しているはず。それまでと同じ弾き方ではなく、いつも新たな気持ちで、柔軟に取り組まなければ。」と先生のお言葉。「レパートリーに磨きをかける」には、絶えずそのような心構えを持っていなければならないと痛感しました。

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