’08.12.31

今年も最後の日となりました。世界規模の不況の中、音楽業界も様々なことがあったと思います。

今年もたくさんのコンサートを聴きました。素晴らしい演奏に感動し、気持ちが豊かになったこともあれば、前評判とは裏腹の雑な演奏にがっかりしたこともありました。また、名のある演奏家が「練習不足」とはっきり批判された記事も目にしました。

今はクラシック系演奏家の売り出し方も多様化しています。演奏家がテレビ等のメディアにどんどん出たり、プライベートを語ったりすれば、「敷居が高い」「わからない」と思われがちなクラシックにも親しみを持っていただけるでしょう。業界の活性化のためにも望ましいです。でもあまりの忙しさのために肝心の演奏がおろそかになってしまったら、とても悲しいことです。

情報誌「ぶらあぼ」のインタビュー記事で、チェリストの新倉瞳さんが「一般誌では“美人チェリスト”という紹介のされ方も多いが」という質問に対して、「音楽家である自分を見失いさえしなければ、どのような切り口で紹介されてもいいと思えるようになった」と答えていらっしゃいました。素晴らしいと思います。

「自分を見失わない」「周囲に惑わされない」ことはとても大変ですが、自分の中身がなくなったらアーティストはおしまいです。ぜひ見習いたいと思います。

 

’08.12.24

2009年春ごろリリース予定の2ndCD。レコーディングする曲を決して慣れで弾かないよう、改めて楽譜の読み込みをしていますが、使う楽譜の再検討もしました。ご存知の通り、クラシックの楽譜には出版社によって音まで違う場合があります。作曲者が存命ならご本人の決定が全てとなりますが、亡くなられている場合、出版社はあらゆる資料を検討しなければなりません。特にショパンは、ショパン自身の書き直しが多く、どれが最終決定なのか分からない曲がたくさんあります。本国ポーランドで決定版(ナショナルエディション)の制作が進められ、少しずつ出版、日本でも発売されていますが、全曲終わるのがいつになるか予測できない状態とのこと。

ドビュッシーも同様で、更にドビュッシーの場合は本人による演奏の録音が残っており、それが楽譜通りではなかったりしたため、混乱を招いています。

私はこれまで、自分で研究・検討して楽譜を選んできました。長く使っている楽譜も多かったのですが、今回再検討し、新たに買った楽譜もあります。やはり本当に納得した上で演奏したい・・・。二度手間かもしれませんが、徹底して準備したいと思います。

 

‘08.12.22

自宅のピアノ調律の日。ピッチやタッチが良くなるとホッとします。25年経っているピアノなので、これまでにも鍵盤交換(象牙だったのですが、残念・・・・)、弦総張り替え、ハンマー交換と修繕をしてきました。今も鍵盤の横揺れが始まっていますので、来年中くらいにはまた鍵盤交換になるかもしれません。

「ピアノの鳴りが良いのは10年目くらい。あとはもう音が枯れていってしまう」とか「うちのピアノは買い替えを繰り返して、もう○台目」とか、ピアノメーカーや調律会社だけでなく、ピアニスト自身が言うのを多く耳にしてきました。でも全てのピアノがそうなのか、自動車のように何度も「買い替え」なければならないのか、疑問に思っていました。私は自宅のピアノを買い換えようと思ったことはありませんし、きちんと製作されたピアノで、十分な手入れを施していれば、100年前のピアノでも良い状態で演奏できるからです。

今日も調律をお願いした(株)サウンドウェーブの斎藤さんも「弾く人本人が別のメーカーや別の機種に買い換えたいと思うならともかく、ヨーロッパのメーカーでは修繕を繰り返して代々使っていくのが当たり前、という考え。修繕出来ないというのは、技術者(調律師)の腕が疑われる」と仰っていました。納得です。

 

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