’09.9.27

ヨコスカベイサイドポケットでのリサイタル「ピアノ名曲コンサート vol.4」。懸念することがいろいろありましたが、無事に終了し、ホッとしています。

一番の心配は、新型インフルエンザの拡大でした。
横須賀地区の学校でも学級閉鎖が相次ぎ、リサイタルそのものを開催できるかどうか、開催できても、お客様においでいただけるかどうか、とても不安でした。
(他のコンサートやイベントでも、主催者側は危機感を募らせていたと思いますが・・・)

当日はお天気にも恵まれ、当初の予想以上のお客様をお迎えすることが出来ました。
今日の日まで、かの巨匠A.ルービンシュタインの逸話を自分に言い聞かせていました。
・・・「氏が駆け出しの頃、客席がガラ空きだったことがあった。マネージャーは『商売にならない』と不満顔。しかし氏はそこで『じゃあ、ギャラはいらない』と言った。『たとえ一人でも私の演奏を聴いてくれる人がいるのなら、その人のために心を込めて弾きたいと思ったのでね』」・・・
今この状況でも、リサイタルを楽しみにして下さっているお客様が一人でもいらっしゃる限り、この心を忘れてはいけない、と肝に銘じてきました。
そのお陰で、本来やるべき「演奏に全神経を注ぐこと」に集中できたと思います。

 

もう一つの心配は、体調管理でした。
疲労回復が年々遅れ、日々の練習すら辛い毎日。昨年に新聞で「オーバートレーニング症候群(スポーツ医学用語。トレーニング後の休養・栄養補給が不十分で、体が回復しきっていない状態でトレーニングを続けた為に出る、様々な症状)を知って以来、疲れを翌日に残さないよう、練習量も工夫してきました。
フィジカル面のみならず、普段から私は余計な気疲れをしてしまう傾向にあるので、「気を遣わなくて良いところには遣わない」「多少のことは気にしない」と心がけました。それこそ少々体調が悪くても、あまり気にし過ぎないようにしました。
当日も、ゲネプロ・昼食後は楽屋で昼寝。起きていると色々なものが目や耳に入ってしまうので、寝てしまうのは正解でした。

 

明るく軽やかな曲も多い今回のプログラム。
前半は、花の歌(ランゲ)/きらきら星変奏曲(モーツァルト)/即興曲 D.889−4(シューベルト)/雨だれ・幻想即興曲(ショパン)
後半は、アラベスクNo.1・No.2(ドビュッシー)/水の戯れ(ラヴェル)/ラ・カンパネラ(リスト)/沈める寺(ドビュッシー)です。
調律の斎藤雅彰さん(株式会社サウンドウェーブ)は、「今日は出来るだけ軽いタッチに」という私の希望に見事に応えて下さいました。本番中のピアノの敏感さは、今年春のレコーディングを思い出すほどでした。

日を置いて、録画ビデオも確認しました。緊張感はあっても、その度合いによって身体の使い方をコントロールできるようになり、今回やりたいと思っていたことはほぼ全てできたように思います。
ただ、6月・藤沢リラホールでのリサイタルの後に感じた新たな欲「今出来ることを損なわずに、もっと表現の幅を広げたい」。ますますそう思います。
これからしばらく、レパートリーの見直しに入る予定です。今までとらわれていた考えからもいったん離れ、まっさらな状態で、感覚を信じて取り組んでいきたいです。

 

来年の「ピアノ名曲コンサート」では、ショパンの作品を中心にしたいと思い、お客様へのアンケートでも、ショパン作品のリクエストをお願いしました。たくさんの方がアンケートにご協力下さり、「次回聴きたいショパンの曲」ランキングも出揃いました。
栄えある第1位は・・・プログラムが決まり次第、お知らせ致します!

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