’10.4.4
〔通し練習〕

4/7・大倉山水曜コンサートのために、大倉山記念館ホールを個人で借りて、通し練習をしてきました。
前回このホールで演奏したのは3年半前ですが、このホール最大の魅力は、洋館独特の雰囲気です。
今回はプログラム前半が、バッハの「平均律」。ホールの雰囲気にもぴったりで、練習していても嬉しく思いました。
本番と同じ、夜の時間帯を借りたのですが、一般のホールと違って照明も柔らかで、やや暗めな感じも素適です。
あとは自分の集中だけ。
先日のNHK「スーパーピアノレッスン」でF.セルメット氏が仰っていた「生身の自分に向き合い、自分の姿ありのままを認識し、受け入れる。自分の耳を信じないと、自分の演奏は聴こえない。」
これに尽きると思います。

用意していったゴールドカラーのドレス、ステージ床の木材と同じような色に見え、まるで保護色みたいになってしまいました。
通常のステージライトとは違う柔らかな照明のためだと思います。
もう少し淡い色のドレスに変えることにしました。
衣装のチェックも出来てよかったー。

’10.3.27
〔井上二葉先生のリサイタル〕

レッスンを受けている井上二葉先生のリサイタルを聴いてきました。
会場は、広島駅近くのエリザベト音楽大学内「ザビエルホール」。
エリザベト音大の名誉教授でいらっしゃる井上先生は、隔年で東京と広島方面でリサイタルを開催されています。
いつもは東京に聴きに行っているのですが、今回は予定が合わず、思い切って広島まで出かけました。
晩年のS.リヒテルはじめ、楽譜を見て演奏するピアニストも少なくない今、先生はいつも全曲暗譜で演奏されます。
暗譜の大変さはピアニストにとって大きな問題。それをごく当たり前のように自然にされているところが、さすがです。
プログラム前半は、バッハ「イギリス組曲 第5番」と、デュカ「ラモーの主題による変奏曲。
後半は、フォーレの作品を4曲と、20世紀のフランスの作曲家ダニエル・ルスュールの「心の痛み」と「フランス組曲」。
プログラム全体を4つに分ける構成も、とても聴きやすく、4人の作曲家の個性が際立ちます。
一曲一曲、先生の音楽に対する真摯なお気持ちが、ズシンと伝わってきました。

エリザベト音大の「ザビエルホール」は200席ほど、木のぬくもりを感じる、音響も柔らかな、素適なホールでした。
学生さんがうらやましいです。
ヨーロッパ在住の先輩が、
「こちらでは、響く中でしっかりソノリテ(音の響き)がある音色を作るように訓練される。
気候の違いもあるが、日本では響かないところで一生懸命練習し、最終的にソノリテがない、ただ近鳴りするだけの音色の作り方になっているように感じる。特にオーケストラの管楽器は、音が飛んでこない。」
と仰っていて、本当にその通りだと感じ入ったことがあります。
響きの良い場所で音を聴く経験は絶対に必要です。
贅沢かもしれませんが、普段の練習場所の響きも良ければ、必ず良い影響があると思います。
海外のピアニストやオーケストラが、出す音そのものがすでに「音楽」になっているのに比べ、日本の演奏家は、まだ単なる「音」に過ぎないことが多いように思うのは、ソノリテの聴き方によるところが大きいのかもしれません。
初めて行った素適なホールで、また音色のことを考えさせられた一日でした。


’10.3.20
〔アレクサンダー・コブリンさんのリサイタル〕

ショパンコンクール3位、ヴァン・クライヴァーンコンクール1位など、輝かしいコンクール歴を持つ、アレクサンダー・コブリンさんのリサイタルを聴いてきました。
プログラム前半はシューマンで、「アラベスク」と「幻想小曲集」。
後半はショパンで、「幻想曲」「バラード第2番」「ノクターン 作品15(3曲)」「幻想ポロネーズ」。
生誕200年のシューマンとショパンを両方聴ける、贅沢なプログラムです。
音の響かせ方が、とても勉強になりました。
動作が鍵盤上に終始せず、弦に直接触れているかのような伸びやかな音、ぜひお手本にしたいと思います。
やはり休憩後の方が、ピアノの鳴りがずっと良くなっていました。

終演後に、ノクターン6曲とエチュード(作品10)が入ったCDを購入。
購入後、サイン会場に並んでいたら、売場から「アンコールの『エチュード第2番』は、このCDに入ってますか?」という声が聞こえてきました。
ロビーにアンコール曲目が張り出されているのを見たお客様なのでしょう。
「えーっと、第2番・イ短調、入ってますね。」と業者さん(?)の声。
ちょっと待って! アンコールで演奏されたのは「作品25の第2番・ヘ短調」です。販売されていたCD「エチュード作品10」には収録されていません!
業者さんに恨まれても「そのCDには入っていませんよ」と、思い切って言えば良かった・・・・・言う勇気がなかったことを、今とても後悔しています。
会場内でCD販売をされる方にお願いです。
アンコール予定曲も含め、当日演奏された曲がどのCDに収録されているのか、販売前に全て確認しておいて下さい!
あのお客様が「アンコール曲、入ってるって言ってたのに、入ってないじゃない!」と怒っているか、それとも「入ってないみたいだけど、他の曲も良いわね」と思って下さっているか・・・。気になってしまいました。

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