10.12.4
〔海老彰子さんのリサイタル〕

海老明子さんのリサイタルを聴いてきました。
CD「ショパン・エチュード集」を聴き、その日本人離れした音色の多彩さと、しなやかでバネのあるリズムに驚いて以来、ずっと生演奏を聴きたい!と思っていました。

今日のリサイタルは、「東京文化会館プレミアムコンサート」。
私もコンクールで何度か、このホールで弾きましたが、舞台を要に、客席が扇形に広がる独特の形は、舞台でも音が聴きやすい貴重なホールだと思います。
リサイタルが出来たらいいな、と思いますが、600席は大変・・・。
未だに憧れのホールです。

一番感動したのは、ラヴェル「クープランの墓」でした。
18世紀のクラヴサン(チェンバロ)組曲の形、つまり当時から見ても「昔のスタイル」で書かれているのに、響きは現代のもの、という曲です。
「曲のスタイルと響きのギャップがおもしろい曲」と感じていましたが、このギャップを表現するには、まず「昔と現代」の違いそのものが明確に理解出来てこそ。
とても高度な知性に支えられた感性が必要です。
ピアノなのに、まさにクラヴサンのスタイルを思わせる演奏を聴いたのは、今日が初めてでした。

一流演奏家の「すごさ」、年々強く感じます。
耳が肥えてくるのは嬉しいことですが、我が身を振り返ると、あまりの道のりの遠さに怖くなることもしばしば。
でも今日も、とても大事なものを、心に焼き付けることが出来ました。 
自分のリサイタル後で疲れもありましたが、やはり行けて良かった。
聴きに行きたい演奏家が、また増えました。


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