‘11.3.19
〔ホール試弾・その2〕

先月に続き、都内リサイタルの会場探し。
今日は、代々木上原の「ムジカーザ」に行ってきました。
とても人気のホールで、特に週末は1年以上空きがないのですが、今日は震災の影響で予約がキャンセルになってしまったそうで、たまたま借りることが出来ました。
こちらにはベーゼンドルファー200が入っているので、今日はそちらを弾いてみました。

4月・横須賀「名曲コンサート」のプログラムを通した後、グリーグ「抒情小曲集」から数曲を演奏。
とても自然な気持ちで弾くことが出来、ぜひこのホールでリサイタルを開きたいと感じました。

ムジカーザへは数年前、知人が出演するコンサートで初めて出かけました。
その時は「とても硬い響き」という印象で、壁のコンクリート部分がひどく冷たく感じ、リサイタルで使いたいとは全く思いませんでした。 
先日、井上二葉先生のレッスン後に、ちょっとホールのご相談をしてみました。
先生が「ムジカーザはどう? いろいろなコンサートが開かれているようだし・・・」
とおっしゃっていなかったら、試弾に行かなかったと思います。
伺ってみて良かった。今日行けて良かった。
さっそく内容を練りたいと思います。


‘11.3.7
〔レッスン〕

井上二葉先生のレッスンを受けてきました。
4/24横須賀「名曲コンサート」で演奏予定の、モーツァルト「ピアノソナタ第11番 トルコ行進曲付き」。
有名な第3楽章は単独で何度も演奏しましたが、全楽章通してリサイタルで弾くのは初めてです。

「大体弾きたいように弾けてらっしゃるようだけど・・・」と先生。
「小さいフレーズの終わりを、やや収めすぎ」とのご指摘。
自分で練習していて、音楽の流れが今ひとつだったのは、そのせいでした・・・。

さらに「チェンバロも含めて、様々な楽器、特殊な楽器が混在していたことを考え、それを再現してみては?」
この曲が書かれた当時、ウィーンでトルコ風の音楽が流行していました。
ペダル操作で小さな太鼓やシンバルを鳴らせるピアノまであったことは、よく知られています。
その要素を、「トルコ風」の名を持つ第3楽章だけでなく、一見優美な第1楽章・第2楽章にも使ってしまう、というアドバイス。
とてもおもしろい!
音色が多彩になるだけでなく、全楽章のまとまりもずっと良くなります。

クラシック音楽には「スタイル(様式感)」という重要な要素があり、それを守って演奏するという不文律があります。
時代様式だけでなく、作曲家それぞれの演奏スタイルの伝統(モーツァルトらしく、ショパンらしく、など)もあります。
私も、どんなに個人の表現が重視される時代になっても、伝統を尊重し、守っていくのは必要だと考えています。

今では作者・作品に対して、自然と敬う気持ちになりますが、高校生ごろまでは、ただただ自分の感覚だけで弾いてしまっていました。
「何事も基礎が大事」と言いますが、外国人(日本人も含めて)にとって、特に古典のスタイルは、きちんと学ばないと身につかないのではないでしょうか。大人になってもなかなかスタイルの咀嚼ができず、困った時期が長く続きました。
井上先生にレッスンを受けるようになっても、初めの頃はその辺の甘さを指摘され、モーツァルト作品は特に大変でした。
ここ数年でやっと出来るようになってきたかな・・・

前回の「名曲コンサート」のアンケートで、モーツァルトやベートーヴェンのリクエストを多く頂き、「トルコ行進曲付きソナタ」は必ず入れよう、とずっと考えていました。
仕上げに向けて、もうひと頑張りです。


‘11.2.15
〔ホール試弾〕

2011年は横須賀と藤沢に加え、都内でのリサイタルも予定しており、今は会場選びの最中です。
「小規模(200席以下)で、ピアノの響きに浸れる空間」を探していますが、なかなか難しい・・・
今日は、2つのホールに試弾に行ってきました。
違いをはっきり確認するため、2ヶ所とも同じ曲・4/24横須賀「名曲コンサート」のプログラムを通して弾いてみました。

1つ目のホールは、ベヒシュタインのピアノが入っているため、候補に入れました。
友人宅にあるべヒシュタインのアップライトピアノが、とてもまろやかな響きで、素適だったからです。
実際に弾いたところ、響板以外をあえて共鳴させず、ピアノ本来の音を追及するこのピアノは、サロンなどの空間の方が向いているように思いました。

2つ目は、スタインウェイのフルコンが入っているホール。
100席以下のスペースだったので、やはりピアノが勝ちすぎてしまうような印象でした。
弾く曲を選びさえすれば大丈夫かもしれませんが・・・

小規模な自主開催のリサイタルは、やはり会場の使い心地も確認したいもの。
人の演奏を客席で聴いてみただけでは、分からないものです。
実際にステージで、そこのピアノを弾いてみなければ、分かりません。
また、雰囲気や楽屋まわりなどの設備、使用料金など、全てにおいて満点、という会場はないので、譲れないポイントを明確にしておかないと迷ってしまいます。
今回は「音がまろやかに響く空間」「心地よく聴ける空間」が一番のポイントだったので、今日行った会場はその点では物足りませんでした。
でも試弾に行くことで、どんなリサイタルにしたいのかが、より明確になったと思っています。


‘11.1.30
〔お客様からのお手紙〕

藤沢でのリサイタル「ショパン・プログラム−夜想曲の世界−」にお越し下さったお客様から、お手紙をいただきました。
CDブックレットに記載の「ディスククラシカジャパン」の住所にご送付下さったところ、レーベルが移転していたため、宛先不明で戻ってきてしまったとのこと。
先日、リサイタル会場だった藤沢リラホールにいらした際に、そのお手紙をお持ち下さり、ホールが預かって私宛に郵送してくれました。
大変ご面倒をおかけし、申し訳ありませんでした。
「ディスククラシカジャパン」にも、連絡を致しました。

「初めて聴きに行ったが、大変感銘を受けた。」
「CDも気に入った。毎日のように聴いていても全然飽きない、不思議なCD。」
「次回のコンサート、CDも楽しみにしている。」
簡潔かつ、とても嬉しいお手紙でした。

私自身、これまで数え切れないほどのコンサートを聴いてきましたし、
感銘を受けたコンサートも、本当にたくさんあります。
でも、どんなに感動しても、演奏家や主催者にあてて手紙やメールを書いたことは、一度もありません。
「知人でもないし、変な人だと思われたら恥ずかしい・・・」
「一つのコンサートで感じることが膨大で、一通の手紙にまとめるのは大変・・・」
「書いて送っても、きっとたくさんのメールや手紙にまぎれてしまい、読んでもらえない・・・」
書かない理由はいくらでも挙げられます。

でも私自身、今回のお手紙がこんなに嬉しかったのだから、そんなに身構えず、一番心に響いたことを一つだけ伝えれば良いのでは、と思いました。
「とても感動できたら、カードや手紙を出そうかな」と思って聴きに行ったら、聴くのもより楽しいし、そのコンサートが一層思い出深くなるのではないでしょうか。

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