’11.9.14
〔FM収録〕

コンサート前にいつもお邪魔している横須賀地区のFM局「FMブルー湘南」さんに、10/23「リサイタル@藤沢 vol.6−ショパン&リストプログラム」のお知らせも兼ねた収録に行ってきました。

前半は「今年の夏も暑かった! ピアニストの暑さ対策」
今年は節電グッズを中心に、様々な暑さ対策がありましたが、
実際に日々の練習で役に立ったモノ、立たなかったモノについてお話ししました。

後半は「リストって何?」。
誰もが聴いたことのある「ハンガリー狂詩曲」「愛の夢」「ラ・カンパネラ」の冒頭を聞いていただき、これを書いたのがリスト・・・と、リストの紹介に入りました。
「チャリティ・コンサートをたくさんしたこと。」
「レッスンを受けたい人は誰でもウェルカム。生徒は400人以上。」など、
リストの大らかな人柄についてお話ししました。

リサイタルについては「あえて性格も音楽も正反対なショパンの曲と並べて、トークも交えてお送りします。」とPR。
パーソナリティの鈴木初音さんと、楽しくお話させていただきました。

’11.9.1
〔鈴木大介さんのリサイタル〕

木曜午後の「逗子文化プラザ ティータイムコンサート」。
6月に続き、今日は鈴木大介さんのギターリサイタルを聴いてきました。
ギターを生で聴くのは久しぶりです。

プロフィールに書かれていた「明晰な解釈力と洗練された技巧」はおなじみですが、
一番印象的だったのは、「ギターって、こんなにハーモニーが豊かな楽器だったんだ」ということ。
ピアノよりずっと小さな楽器なのに、もちろん響きを延長させるペダルなんてないのに、本当に驚かされました。
一つ一つ考え抜かれた音が造る、極上のハーモニー。
自分が普段、いかにペダルに頼った弾き方をしてしまっているか、改めて思い知らされました。

プログラミングもすてきでした。
バッハ、ソル、アルベニスなどのクラシックの他、
ビル・エヴァンスの「ブルー・イン・グリーン」・・・このコンサートシリーズのテーマカラーが「緑と青」であることから選ばれたのだそうです。
そして、映画音楽のカヴァーに、ピアソラのタンゴ
とても変化に富み、センスあふれるプログラムでした。
合間のお話も穏やかで親しみやすく、まるで客席全体が鈴木さんのファンになっているように感じました。


6月のF.トリスターノさんのピアノリサイタルでも感じましたが、
これだけ良い内容のコンサートシリーズなのに、知っている人がまだ少ないようでした。
チケットは格安の2,000円〜2,500円で、さらにお得な「4回通し券」などもあるのに・・・
小中学生チケットは1,000円と、もっと良心的でしたが、
学校のある子供たちは、6月や9月の開催では来にくいのではないでしょうか?

他のホールでもあることですが、ホールそのものの素晴らしさが、市民にもまだあまり知られていないのかもしれません。
自然な響きで聴ける貴重なホールに、素晴らしい演奏内容の、このコンサートシリーズ。
私は行ける日は全部行きたいくらいです。

良い公演・工夫ある公演を重ねることと同じくらい、宣伝・広告も大切。
小さなリサイタルを開催しているに過ぎない私でも、強く感じます。
「逗子になぎさホールあり」と、言われるようなホールになって欲しいです。

’11.8.19
〔アンプロムプテュ白馬〕

JR白馬駅から車・タクシーで10分、宿泊できるピアノスタジオ「ピアニストの隠れ家 アンプロムプテュ白馬」 http://www.impromptus-hakuba.comに行ってきました。
雑誌の記事で見て「いいなぁ」と思ったのが、今年の春頃。
素適なホームページにも惹かれ、昨日のレッスンの帰りに寄りました。

落ち着きと開放感のあるスタジオは3室。
ピアノ1台の部屋が2室、2台の部屋が1室で、グランドピアノ(ヤマハC3XA)が計4台。
ピアノ調律師歴25年以上のオーナーが、毎朝調律をされているのだそうです。

通常の練習スタジオのピアノは、音が狂っていることが決して珍しくありません。
定期的に調律はしているのでしょうが、わずかなズレは、しょっちゅうです。
正直なところ、完璧な状態のピアノに出会うことの方が稀で、
「こんなものか・・・」と思いながら弾くのが常でした。

ここでは、そういうストレスが全くない!
練習・演奏に思う存分集中することが出来ました。
温度・湿度も完璧にコントロールされていて、とても快適。
今年は節電もあり、自宅ではエアコンの設定温度を無理に上げたりしていましたが、
「仕事や勉強の上で心地よい環境を整えることは、決して贅沢とは言い切れないと」、考えさせられたように思います。

幸せなピアノたちが出す音は、とてもまろやかでした。
練習の合間には、山の爽やかな風が吹き抜けるダイニングで、お茶や読書で思い切りリラックス。
時には山歩きをしても良いし、わざわざ白馬まで行く価値が充分あります。
今回は1泊しか出来ませんでしたが、ぜひまた訪れたいです。

いつかここで、「スカぴあ―横須賀のピアニストたちによる音楽祭」の合宿をしたい!
メンバーみんなで来て、ソロも連弾も2台ピアノも、全部練習出来ますし、
宿泊も最大7名まで(ツイン3室・シングル1室)OKですから、問題なし。
ミニコンサートも出来るダイニングで、「スカぴあ in白馬」なんていいな・・・
ますます夢が膨らんでしまいました。

’11.8.18
〔レッスン〕

井上二葉先生のレッスンを受けてきました。
11/27に演奏予定の、シューマン「ピアノ協奏曲」。
昨年の夏にも伺った先生の別荘に、今年も出かけました。
先生ご自身も「山ではじっくり勉強できる」とおっしゃっていますが、
山小屋のような風情の練習棟は、まさにそんな空間です。

今回の一番の注意点は、
「一つ一つにこだわりすぎて、音楽が進んでいく喜びに乏しい」ことでした。
この夏、納得しない音がないように、休符一つ取りこぼさないように、必死でさらってきました。
でも「音楽が進んでいく喜び」が抜け落ちていた・・・
「音楽の流れ」という言い方はよくしますが、「音楽が進んでいく喜び」とは、目からうろこでした。

第2楽章「インテルメッツォ」の細かな装飾音。
ハーモニー感や音楽的な意味など、一つ一つ考えて弾いてきましたが、
これも「装飾音を弾く楽しさや喜びに乏しい」とのご指摘。
本来、ピアノを弾くことはとても楽しいはず。
なのに、そういう気持ちをすっかり忘れていたことに気づかされ、ハッとする思いでした。

良かったことは「だいぶ肩や上腕の脱力が出来てきた」ことだけ・・・。
肩の脱力も、この夏に意識して取り組んできたことでしたので、ちょっと安心でしたが・・・

先生に協奏曲のレッスンを受けるのは2度目。
大味な感じで、あまり好きになれなかった協奏曲も、意識して聴きに出かけるようになり、
「やはりこの華やかさも良いな」と思うようになりました。
純粋に「良い演奏をしたい」「美しい音楽の流れを作りたい」という気持ち、大切にしたいと思います。

11.8.15
〔岩崎淑さんの「ピアニストの毎日の基礎練習帳」〕

日本の室内楽のパイオニアでもあるピアニスト・岩崎淑さんが、
「初心者から、プロ・アマ問わず舞台でピアノを弾く人へ」と書かれた本です。

夏に入る頃、日々の練習に行き詰まりました。
いろいろと工夫をしているのに、何のきっかけもつかめず、困っていたところ、新聞広告でこの本を知り、さっそく購入しました。

「ピアノを弾ける指をつくる」の章から始まり、手指の形のことから書かれています。
「プロなのに、こんなことを見直すのは恥ずかしい・・・」などとためらっている場合ではなかったので、
きっちり読み通し、書かれていることを一通り実践してみました。

スケール(音階)とアルペジオ(分散和音)の練習方法が、とても新鮮でした。
アメリカ留学中に学ばれたことだそうですが、アクセントのつけ方、アルペジオの指使いなど、これまでやったことのない練習法でした。
初めのうちは、なかなかスムーズにいかず、遅いテンポから練習を始めましたが、
ひと月経つ頃、出す音も気持ちも、だんだん落ち着いてくるのを感じました。

ピアノに限らず、資格試験や受験勉強などでも、基礎はつい「出来たつもり」とおろそかにしてしまい、それで自滅することが多い、と聞きます。
身にしみる基礎の大切さ。
勉強が進んでも、一定以上基礎をこなさないといけないのは、どんな分野でも同じなのですね。

岩崎さんも、「忙しくて練習時間のない時ほど、スケール練習は欠かせない」そうですが、
「30分しかピアノに触れない日、次の本番で弾く曲ではなく、スケールだけを練習するようにしている。」というのには、驚きました。
次の本番の曲は、それこそ一回でも多くさらっておきたいもの。
基礎練習だけで終わらせるなんて、とても信じられませんでした。
でも今は、納得できます。
「手・指の基礎が出来ている」という安心感なしにさらっても、結局崩れていくからです。


「演奏会の日と曲目が決まったら、普段の練習の中で、弾く曲をすべて、プログラム順に弾く。」
というのも驚きました。
まず初めて弾く曲、久しぶりに弾く曲、難しい曲から取り掛かからなければ、と思っていたからです。
「難しい曲だけを取り出して重点的にさらいたくなるが、あまり効果的ではない。
長期にわたって弾いておくことが結局は一番効果的で、曲が自分の中で熟していく。」とのこと。
なるほど!

たくさんの曲を抱えていると、練習計画の立て方がとても難しいものですが、
「長期にわたって弾いておくことが結局は一番効果的」とはシンプルでとても納得がいき、あれこれ思い悩まなくなりました。
遠い本番の曲も1日に10分、必ず取り入れるようにしてみましたが、少しずつでも進めている実感が湧きます。
「あの曲もやらなきゃ・・・」と思いながら結局出来なかった、というより、ずっとストレスがたまりません。

この本を買って良かった!
もともと読書好きで、音楽書などはうっかりすると手当たり次第に買い込んでしまうので自制していましたが、こんな出会いがあると嬉しいです。
これからも大切に読み返していきたいと思います。

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