’11.10.28〜29
〔伴奏の仕事〕

毎年恒例の会で、伴奏をさせていただきました。
昨年もそうだったのですが、この会ではなぜか、1曲1曲の消耗が激しく、演奏後は頭がぼんやり、帰り道を歩くのもしんどいのです。
28日には、この後にラジオ収録もあったので、いつも以上に睡眠・食事に気をつけました。

コンサートでは通常、当日はステージ上でリハーサルをしますが、この会は別室での音出しのみで、ステージに上がるのは本番のみです。
当然、ピアノの状態も分からないので、普段以上に神経を遣うのは、そのためかもしれません。
毎年弾いているピアノでも、その日にどんな状態なのかは、弾いてみるまで全く分からないものです。


調律師でタカギクラヴィア社長の高木裕さんの本「調律師、至高の音をつくる」に、
「ピアノのコンサート。
実はピアニストには『今日のピアノはどんなピアノなんだろうか?』という心配が常につきまとっています。」
「リハーサルのとき、ほかの楽器のアーティストは、ステージのどの場所が一番よい響きかをまず確認するのですが、
ピアニストだけは、リハーサルのほとんどの時間を、弾き慣れないピアノに早く慣れようという時間に費やしているのです。」
とありました。

・・・全くその通りです。
ステージのピアノと音出し室のピアノは、もちろん違うピアノ。
ステージ練習がないと、本番中に、そのピアノの状態を探ることになります・・・

「お客さまは常に、ピアニストに完璧な演奏を求めているし、そうであったと思いたいでしょうけれど、
実はピアニストからすれば、このピアノで弾ける最大限の努力をした、という演奏会のほうが多いかもしれません。」
・・・言い訳めいているかもしれませんが、これもその通り。耳の痛い指摘です。

たった1分でも良いから、本番で弾くピアノを触れれば、かなり解決できるのですが・・・
でも、そんなことを思っていても始まらないので、弾き始めて遅くとも20秒以内にピアノの状態と響き具合をつかみ、あとは曲に集中できるよう、心がけました。

あっという間だった、ピアノとの出会いと別れ。
毎年そんな寂しさがよぎる会ではありますが、今回も、一回一回全力を尽くすしかないことを改めて考えさせられました。

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