2012.3.28

【FMブルー湘南 〜ピアノ名曲コンサート@YOKOSUKA vol.7  PR】

スカぴあメンバーが交代でお送りしているラジオ番組「スカッとスカぴあ」(FMブルー湘南 毎週土曜日10:40〜11:00)、当番が回ってきました。


今日のタイトルは、「横須賀の名曲コンサートに向けて」です。
4/15(日)ヨコスカ・ベイサイド・ポケットでのリサイタル「ピアノ名曲コンサート vol.7. フランスピアノ名曲集」についてお話しました。


『今年は冬が長くて、横須賀も寒い日が続きましたが、ようやく春らしい暖かさが感じられるようになりましたね。
私は毎年4月にヨコスカ・ベイサイド・ポケットで、「ピアノ名曲コンサート」というソロコンサートをしておりまして、今年は4/15(日)午後3時開演です。
今日は、このコンサートを始めたきっかけについて、お話ししたいと思います。


私が初めて一人でソロコンサートをしたのは、今から10年以上前、横須賀・大滝町の「オクターヴ」さんに依頼をいただいた「親子のためのピアノ名曲コンサート」。
幼稚園、保育園から小学校低学年くらいのお子さんと、その保護者の方を対象にしたコンサートでした。

そこで「エリーゼのために」とか「子犬のワルツ」とか、みんなが知っている、いわゆる「名曲』を弾いたんですが、その時の反応がすごかったんですね。

静かに聴いてくれているのですが、「これ知ってる!」とか「あの曲だ!」みたいにお母様と顔を見合わせたりして、すごくニコニコして聴いてくれるのがわかりました。

「子犬のワルツ」なら可愛い子犬の絵を見せたりしながら進めたんですけど、その絵にもいちいちウケてくれたりして。


ピアノを弾くと言うと、私はそれまで、コンクールとか学校の試験のように「上手いか下手か」を採点される場でしか弾く機会がなくて、「お客様が楽しんで聴いて下さっている」というのが、本当に衝撃でした。

その時の印象が忘れられなくて、クラシックコンサートの常識からは外れているかもしれませんが、長くて難しい曲ではなくて、「楽しんで聴けるコンサート」をしようと思ったんですね。


絵画とか建築などもそうかもしれませんが、クラシック音楽も「大きいことはいいことだ」というか、規模の大きなものを作る方が「スゴイ」と言われるようなところがあります。
オーケストラとかオペラのように大勢で弾く曲とか、長い曲を作るのが偉くて、ピアノソロ曲とか短い曲は片手間にやる仕事、みたいな・・・。

あのショパンも、「ご婦人方の集まるサロンの作曲家だ」なんて、少しバカにしたような言い方をされていました。


現在もそういうところがあります。
ピアニスト達も、ソナタとか長い曲を弾かないと正当に評価されないものですから、短い名曲になんて、あまり腕によりをかける暇がないですよね。
なので、「名曲コンサート」なんて、クラシック界のエライ人達から見たら、バカにされても仕方がない感じだったんですが、「それでもいいや」と思って。
自分が「いい!」と思ったことを、とりあえずやってみようと思って始めました。


始めたのは良かったんですが、有名な曲って、「間違えたらすぐに分かっちゃい」ますからね。
ピアニストのフジ子・ヘミングさんが、
「なぜピアニストは有名な曲を弾かないの? 間違えたらすぐに分かっちゃうからじゃないかしら」
とおっしゃっていましたけれど、実際にそういうリスクがありますから、毎回必死です。

テクニック的にちょっと難しめの曲、ショパンの「幻想即興曲」とか、リストの「ラ・カンパネラ」などは、お客様の前で本当に自信を持って弾けるようになるまで、5年くらいかかりました・・・。

この「名曲コンサート」も、ただ「お客様が喜んで下さるから」という理由だけでは、きっと私自身が飽きてしまって、モチベーションを保つのが難しかったと思います。
名曲コンサートを続けるもう一つの理由は、「名曲にはワケがある」です。

人の心をとらえる曲って、やっぱり力があります。
ハッとするほどきれいなメロディーだったり、思わず身体が動いちゃうリズムだったり、耳をそばだてたくなるハーモニーだったり、要素はいろいろですけれど、名曲と言われる曲には、どれか一つでも強い力があって、毎日練習の度に「この曲、すごいなー」と思います。

ピアノの曲には歌詞がありませんから、言葉で気持ちを伝えることは出来ないですよね。
音の組み合わせだけで、本当に印象に残る曲を作る、というのは、やっぱりすごいと思います。

そういうすごい曲を、もっと素敵に弾きたい、もっとカッコ良く弾きたい、と試行錯誤している時間が私にとってはとても大切で、長い曲とか短い曲とか関係ないです。
いい曲か、つまらない曲か、それだけです。


「名曲コンサート」では毎回、「次回聴きたい曲」のアンケートをとっているんですね。
曲名や作曲家の名前がわからなくても、「◯◯のCMで流れていた曲」とかでもOKです。

一人で考えていると、冒険しなくなってくるし、考えも煮詰まってきてしまうんですが、お客様からのリクエストを見ていると、全然弾こうと思っていなかった曲とか、しばらく忘れていた曲などが書かれていたりして、けっこう目からウロコです。

お客様のご希望を知るためのアンケートなんですが、私にとってもすごくためになっているんです。
難しい曲でも「頑張って練習しようかな」と思っちゃいます。
書いて下さったお客様の期待を裏切らない演奏をしないといけませんから、プレシャーですけれどね。


4/15のコンサートは、ドビュッシー生誕150年にちなんで「フランスピアノ名曲集」と題しまして、19世紀末から20世紀初めのフランスに焦点をあてた曲「月の光」や「ジムノペディ」など、フランス音楽を語るに欠かせない曲をお送りしてまいります。


今日の一曲は、ドビュッシーの「月の光」。
前回のアンケートで、リクエストダントツ1位の曲です。

この曲の一番の魅力は、何と言ってもハーモニー。
メロディーもうっすら聴こえてきますが、ハーモニーが何とも言えなくて、本当に月光を浴びているような、時間が止まったような感じがします。

「親子コンサート」でも弾いたのですが、静かな曲なのに、小さいお子さんたちが、全然飽きないで、じーっと聴いてくれました。
そんな思い出もある曲です。』

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2012.3.10

【樫本大進&コンスタンチン・リフシッツのデュオリサイタル】


久しぶりに出かけるコンサート。
東京のリサイタルが終わるまで、人様の演奏を楽しむ余裕がなかなか持てずにいました。
今日は朝からワクワクです。

樫本大進さんの芯の太い演奏はもちろん楽しみでしたが、コンスタンチン・リフシッツさんのピアノは、数年前にテレビでショパン「12の練習曲 op.25」を聴き、衝撃を受けました。
いつか生で聴きたいと思っていたピアニストです。


ソロリサイタルも聴きたかったのですが、その日は「逗子童謡の会」本番と重なってしまい、残念。
今日の曲目は、オール・ベートーヴェン・プログラムで、「ヴァイオリンソナタ」の第2・6・7・8番です。

どの曲も、音の方向がはっきり見える、とても余裕のある演奏。
こういう演奏を聴くと、奇をてらうようなことなどしなくても、「音楽って、楽しい」と改めて感じます。

でも、「本当はもっとすごいんじゃないか?」という気持ちが拭えませんでした。
もっと音が迫ってくるんじゃないのかな・・・
1500席のホールでは、響きが散ってしまうのかな…
終演後、ぼんやりと席を立ったら、唖然としました。

コートを着る人が、大勢いるではありませんか。
今日は真冬に戻ったような寒さだったので、ダウンなど、かなり厚手のコートを着る人ばかり。
それをこんなに客席に持ち込まれては、音が吸われてしまうのは当たり前です。


「クロークに預けるのは面倒」
「終演後、受け取りに行列したくない」
その気持ちも、分からなくはありません。
このホールは、クロークが少しわかりにくい場所にあるので、ついうっかり・・・ということもあるかもしれません。

でも、本当の音楽ファンなら、多少面倒でも、良い音楽のために協力したいものです。
終演後の行列と言ったって、10分も20分も並ぶわけではないですし。
ダウンコートを持ったまま席についてしまう人が、こんなにたくさんいるなんて・・・
安くはないチケット代を払っていても、本当に音楽が好きなのだろうか・・・

せっかくのコンサートが、今ひとつ後味の悪いものになってしまいました。

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