2012.5.22
【 「かまくらランチタイムコンサート」&「フォーレ協会演奏会」】
今日はコンサート三昧。
鎌倉芸術館の「ランチタイム・コンサート」は、このところ増えてきた平日・昼間のコンサートで、11:00〜12:00の1時間(休憩なし)、
料金も破格の1,000円(当日券1,200円)です。
今日は、礒絵里子さんのヴァイオリンコンサートでした。
ピアノは石原朋子さんです。
礒絵里子さんのヴァイオリンは、音に迷いがなく、音楽造りがしっかりしていて、
「何となく弾いている音」が多い私には、とても勉強になります。
今日は小品に始まり、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」、フランク「ヴァイオリンソナタ」と、1時間でも聴き応え十分な内容でした。
「平日昼間・1時間」という、一見カジュアルな、いわゆる「気楽に楽しめる」コンサートでも、30分かかるソナタを入れても良いんだな…
伝えるものがしっかりあれば、大丈夫なんだな…と感心。
カジュアル=有名な小品、という思い込みを、正されたように思います。
夜は東京文化会館で、日本フォーレ協会「フォーレとドビュッシー」。
前半はフォーレ、後半はドビュッシーというプログラムです。
目玉はジェラール・プーレさんのヴァイオリンで、フォーレとドビュッシーのヴァイオリンソナタ(ピアノは東誠三さん)でした。
お父上がドビュッシーのソナタの初演ヴァイオリニスト、というプーレさん、
どちらのソナタも、何百回と聴き、弾き込んでこられた余裕が、空気感となって漂っていて、圧倒されました。
プログラムに載っていたインタビュー、
「フォーレのソナタは勉強しなくてもよく弾ける。指の中に、私の中にそれをつかんでいる。
ドビュッシーのソナタは、いつも勉強する。ヴァイオリンが難しく、難しさが戻ってきてしまうから。」
と、いうコメントも、興味深かったです。
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今日はあいにくの雨でしたが、どちらの会場でも、傘は傘立てにいれるのではなく、各自ビニールの袋に入れて、客席内に持ち込むようになっていました。
開演前には、
「傘やステッキは倒れると音が響くので、足元に置いて下さい」
というアナウンスまでありました。
外の傘立ては、鍵付きなので盗難の心配はないもものの、
忘れて帰ってしまう人も多くて、年間ではかなりの本数になってしまうのかもしれません。
しかし、クラシックコンサートは生音を楽しむもの。
湿気は大敵だと思いますが、大丈夫なのでしょうか・・・
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2012.5.19
【FMブルー湘南「スカッとスカぴあ」 〜コンサートの日の服装】
スカぴあメンバーがお送りするラジオ番組「スカッとスカぴあ」(毎週土曜日10:40〜11:00)、
当番が回ってきました。
今日のタイトルは、「コンサートの日の服装」です。
『まずステージ衣装。
ピアノのコンサート、と言うと華やかなロングドレスをイメージされると思いますが、その通りです。
クラシック音楽は、ヨーロッパが発祥の地ですので、ヨーロッパの正装をします。
男性はタキシードかダークスーツ、女性はロングドレス。
音楽でもダンスでも、それが生まれた土地の服装をするのが基本です。
お琴とか三味線とか、日本の伝統芸能では着物を来ますし、
フラダンスとか、フラメンコも、その土地らしい衣装がありますね。
女性の場合、何色のドレスを着るかですが、白いドレスは着ませんね…
白はやはり、花嫁さんの色なので…
白以外だったら何でもいいのですが、
クラシック音楽の場合、「曲に合っているかどうか」が結構問題になりなす。
たとえば、「海」「小川」など、「水」に関係ある曲を弾く時に、真っ赤なドレスは着ないですね…
まあ、曲ごとに着替えるわけにもいかないので、
プログラム全体の雰囲気を考えて、それに合うものを選びます。
一方、演歌の衣装はちょっと独特で、
たとえば悲しい女の歌でも、羽飾りがついたゴージャスなドレスだったりするので、
曲の雰囲気にこだわるのは、クラシックの方が強いかもしれません。
色のイメージがだいたい決まったら、あとのポイントは2つ。
動きやすいこと、洗濯しやすいことです。
動きやすい、というのは当然ですね。
ピアノって、動かしているのは手と腕だけじゃなくって、腰から背中の筋肉も、すごく使います。
(ピアノを習い始めて数年のお子さんでも、うまい子は背中が使えていますよ)
販売されているドレスは、楽器の演奏を考えてデザインされているわけではないので、
「動きにくい!」ということも…
なので、家族や知人に縫ってもらうという人も多いですし、
「自分で縫う」という人さえいます。
私は、一から縫うことはとても出来ませんが、
肩紐の位置や長さを、弾きやすいように直したりするのは、しょっちゅうです。
ピアニストのフジ子・ヘミングさんは、若い頃ご自分でドレスを縫っていたそうですが、
今も針仕事が好きで、ドレスにちょっとした飾りを縫いつけたりすることがあるそうですよ。
続いて洗濯。
私はドレスを洗濯機で洗っています。
コンサートでは、すごく汗をかくのですが、汗はクリーニングでは落ちません。
コンサートが終わったら、裏返しにして、1mくらいある大きな洗濯ネットに入れて、
おしゃれ着用の洗剤で洗うと、ちゃんときれいになります。
ドレスと言っても、演奏家にとっては仕事着ですから、そこは割り切っています。
なので、水洗いすると色落ちしたり、風合いがすごく変わってしまうような生地のドレスは、残念ながらあきらめ…
コンサートの前半と後半で、ドレスを着替えるのは、雰囲気を変えるためでもあるんですが、
汗をかいたドレスを休憩時間中ずっと着ていると冷えてくるので、着替えたい、というのもあります。
色のイメージが合っていて、動きやすくて、洗濯しやすい。
ステージ衣装は、これでOKです!
・・・ステージ衣装も大事なんですが、以外とあなどれないのが、衣装に着替える前の服装。
移動中の服装です。
どうせ衣装に着替えるんだから、行き帰りはジャージでも何でもいい?
さすがにそうもいかないですね…
電車で移動するときは特に…
自分が主催するコンサートは、自分がラクな格好で良いです。
私はいつも、シワになりにくくて、着替えも楽なワンピースです。
ただ、伴奏者として行く時とか、
主催の企業や団体などが別にいらして、そこに呼んで頂いて演奏する、という時は、
カジュアルな服装では行かないことにしています。
「コンサートご開催、おめでとうございます」
という気持ちも込めて、ある程度きちんとしていて、なおかつ、地味すぎない服装で行きます。
コンサートの後に、レセプションがあったりすることもありますしね。
私は、ワンピースにジャケットです。
7/21のスカぴあは、昼の部と夜の部の間に夕食休憩があります。
私はお弁当を食べたら、イスに座ったまま少し寝ると思うので、
着ていくのはやはり、シワになりにくくて着替えも楽なワンピースかな・・・
女性陣のステージドレスも、ご期待下さいね。
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今日の一曲は、身につけるものにちなんで、グノー作曲のオペラ「ファウスト」より、「宝石の歌」。
このオペラは、ファウストという、悪魔に魂を売ってしまった男が主人公。
町娘のマルガレーテは、ファウストに恋をしています。
マルガレーテが、悪魔がいつの間にか置いていった小さな箱を開けると、
何と宝石のついた首飾りが入っていました。
思わず手に取って、身体につけて鏡を見ると・・・
?何て美しい …これは私? いいえ、お姫様みたい!"
?あの方がご覧になったら、美しいと思って下さるのではないかしら?
彼女は次第にハイになり、最後は
?これは私? いいえ、お姫様よ! お姫様のお通りよ!?
と、一番高い声で歌います』
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2012.5.5
【小林明代さんのリサイタル】
ヴァイオリニスト・小林明代さんのリサイタルで、共演致しました。
小林さんの最大の魅力は、その音色。
他のヴァイオリニストと全く違う、あまりにもつややかに響き渡る音は、聴いていると引き込まれそうになります。
バッハ「無伴奏シャコンヌ」に始まり、ドヴォルザーク「ロマンス」、スメタナ「我が故郷」、フォーレ「ヴァイオリンソナタ 第1番」と、その美音に存分に浸れるプログラム。
フォーレのソナタは、
「ピアニストが演奏を引き受ける前にいつも考えてしまう、手ごわい曲」
などと言われるくらい、ピアノパートが困難な作品ですが、
小林さんの音色で聴けるなら、何としてでも頑張りたいものです。
他楽器との共演では、ピアノの音が大きすぎないよう、バランスにとても気を遣います。
ソナタのように、ヴァイオリンとピアノが対等に書かれている曲であっても、楽器の大きさがあまりにも違うので、ピアノソロと同じには出来ないものです。
大きさのバランスがちょうど良く、なおかつ、音楽をしっかり作り、小林さんの豊かな響きを支える…
今回は、これが一番難しかったように思います。
合わせの回数も多くしていただき、家では録音を繰り返し聴き、さらに録音と一緒に何度も弾く…
これを繰り返しました。
ピアノ調律は、藤沢のリサイタルでもお願いしている、執行直(しぎょう ただし)さん。
音量に気を遣い過ぎなくて済むように、でも音色の色彩感は十分に、とても弾きやすく仕上げて下さいました。
(いったい、どんな方法なのでしょうか???)
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今年は3月から5月まで、曲目の違う本番が続きました。
1曲あたりの練習時間を確保するため、当然、練習量も増やさなければならず、
「レパートリー(持ち曲)」について、改めて考えさせられました。
演奏経験を積めば積むほど、その曲は身についていきます。
同じ曲を20回、30回と弾き重ねていけば、極端な話、その曲は1日準備すれば演奏可能になるでしょう。
反対に、初めて弾く曲、演奏回数の少ない曲は、プロであっても怖いものです。
子供の頃に見た、ピアニスト・中村紘子さんのプロフィールに、
「一夜準備すれば演奏可能なリサイタルプログラムを4種類、協奏曲を12曲、常時持っている」
とあり(今はもっと多くの曲を持っていらっしゃると思います)、当時はとても驚いたものですが、実際にそのくらいの曲数が必要です。
自主リサイタルの曲も、これまで色々と考え、工夫してきたつもりでしたが、
そのコンサート一回のことしか考えておらず、結局、行き当たりばったりなプログラムになってしまっていたように思います。
やはり以前に見たインタビューで、ピアニスト・小山実稚恵さんが「1年に協奏曲を3曲、レパートリーに入れていくようにした」とおっしゃっていました。
演奏活動を、もっと長いスパンで見ていなければいけないな…
目先の本番に追われてばかりではいけないな…
改めて反省です。
先月の横須賀市のリサイタルで、アンケートに書かれていた、
「ご自分の本当にお好きな曲を、極めていって下さい」というお客様からのメッセージ。
長く弾き続けていく曲を、真剣に考えなければと思います。