2012.6.16

【FMブルー湘南 「スカッとスカぴあ」 〜スカぴあ演奏曲紹介】

スカぴあメンバーがお送りするラジオ「スカッとスカぴあ」(土曜日10:40〜11:00)、当番が回ってきました。
今日は「スカぴあで自分が弾く曲の紹介」。
7/21(土)「スカぴあ 2012」コンサートの、ソロの部で演奏する曲を、各メンバーが紹介します。


『今年は、フランスの作曲家ドビュッシーの生誕150年です。
今年のスカぴあ・ソロの部は、「ドビュッシーものがたり」と題しまして、
ドビュッシーの人生にまつわるお話を交えながら、曲をお聴きいただく、というスタイルでお送りして参ります。


私が演奏致するのは、「水の反映」と「金色の魚」という2曲です。
何だかイメージがわきやすいタイトルですね。

ドビュッシーの曲って、わかりやすいタイトルが多いですが、
何かをただ描写するだけではなくて、もう一歩踏み込んで、
それを見た感情まで、音にしようとしているんです。

有名な「月の光」も、ただ「月の光がキレイだな」で終わりじゃなくて、
月の光を浴びて、自分の気持ちがどう変化したか、というところまで音にしようとしています。
優しい気持ちになるかもしれないし、悲しい気持ちになる人だっているかもしれません。
周りの暗闇がすごく怖くなるかもしれません。

まずタイトルから映像をイメージして、
さらに自分の気持ちがどう反応するかイメージして、
「じゃあ、ドビュッシーはどう感じたの?」って思って聴くと、
ドビュッシーの音楽の面白さに、ハマれると思います。


1曲目の「水の反映」は、
「反映」というとおり、水そのものよりも、水面に映っているものに焦点を当てています。
木々の緑、その影、あるいは風、もしかしたら自分の姿かもしれません。
その映像が刻々と変化していきます。


2曲目の「金色の魚」は、
間違えて「金魚」と訳されてしまうことがあるのですが、
赤い金魚ではなくて、「金魚の魚」です。
ドビュッシーがコレクションしていた日本の工芸品に、蒔絵、黒い漆の地に、金色で錦鯉が描かれた絵がありました。
その絵を見ているうちに、ドビュッシーの頭の中で、金色の鯉が自由自在に泳ぎだしまして、
この曲が出来たのだそうです。


スカぴあのステージでは、ドビュッシーの人生を交えて、さらに楽しくお伝えします。


さて、この曲を弾く時のポイントは、「黒い鍵盤の攻略」です。


黒鍵って、1cmくらい高くなっていますよね。
長い指、人差し指・中指・薬指を黒鍵に置き、
短い指、親指と小指は白鍵に置いたポジションが、手にとっては一番自然なフォームです。
なので、黒鍵の音数が半分ちょっとくらいまでの曲は、わりと弾きやすいんです。

ところが、黒鍵が増えて、親指も黒い鍵盤に置くとなると、手全体を少し浮かせなければいけないので、急に弾きにくくなります。
「水の反映」と「金色の魚」は、2曲とも「黒鍵率」80%近く。
手全体が浮遊した感じになるというか、現実離れした雰囲気になってくるんですね。
これは、鍵盤楽器特有の感覚で、他の楽器にはない感覚だと思います。

もちろん、弾いている人にしか分からないことですけれど、ドビュッシーは、それを踏まえてこの曲を書いています。
弾いている人にも、現実離れした感覚を持ってもらうためですね。

仮に、鍵盤1個分ずらして、「白鍵率80%」にして弾いてみると、とたんに穏やかというか、落ち着いた雰囲気に変わってしまうんですよ。


今日の一曲は、「水の反映」をお送り致します。
出だしのハーモニーからして、水面のゆらぎが手に取るように感じられる曲です。
水辺に映るものを見て、あなたは何を思いますか…?』

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