2012.8.18【金子三勇士 ピアノリサイタル】

バルトーク国際コンクールなど多くのコンクールで優勝、リストのCDも話題のピアニスト、金子三勇士(みゆじ)さんのリサイタルを聴いてきました。

プログラムは、
バルトーク「オスティナート」「民謡のメロディーによる3つのロンド」より第1章
ドビュッシー「子供の領分」全曲
ベートーヴェン「悲愴ソナタ」
リスト「ラ・カンパネラ」「愛の夢 第3番」「ソナタ」
です。

研ぎ澄まされた集中力が伝わってきました。
生き生きした歌い回しには即興的なものも感じられ、いわゆる「コンクール秀才」とは、全く違うものを感じました。
リストの「ソナタ」は、その長大な世界に存分に浸ることができ、圧巻でした。

私はバルトークを聴くのが大好きですが、
残念ながらバルトークはまだ、一般に浸透しているとは言えない作曲家。
プログラム冒頭の2曲では、客席がやや「?」「この曲、何?」な雰囲気だったように思います。
スポーツ観戦ではないですが、他のお客様の盛り上がりが今ひとつだと、ちょっと気持ちが削がれてしまいます…


全プログラム終了後、アンコールの前にお話をして下さり、
「自己紹介の意味を込めて、私の第2の祖国(お母様がハンガリー人)・ハンガリーの作曲家、バルトークの作品を弾きました」
とおっしゃっていましたが、
それを演奏前に話して下さった方が、良かったのかもしれません。
(演奏前や合間にお話を入れるのは、確かに大変ですが…)


お話では、今日のプログラムが「尊敬」をキーワードに組んだものであることも分かりました。
バルトークがドビュッシーを尊敬し、
リストがベートーヴェンを尊敬(リストは、ベートーヴェンの孫弟子にあたります)、
というつながりで組まれたプログラムだったそうです。

コンサートの曲目は、ただ好きな曲や有名な曲を並べるだけではなく、
今回のように、あるテーマを持たせたり、全体の流れを考えたりと、色々工夫をします。
なので、一回一回のプログラムには、演奏者の思いがとても込められています。

今回も、せっかくそのようなつながりがあるのなら、前もって知りたかったな…
演奏前に話すのが難しかったら、チラシやプログラムに載っていれば良かったな…と思いました。

ーーーーーーーーーーーーーー

来年2013年のコンサートプログラムを決めなければならないのに、なかなか考えがまとまらず、困っていました。
1回1回のコンサートの準備を、精魂込めてやっているのに、なかなか心の奥底から自信を持って弾ける曲がないのはなぜだろう…
長く弾き続けていこうと、心から愛着を持てる曲がないのはなぜだろう…
と、悩むばかり。

自分が好きな曲と、自分に合う曲は違う、ということなのかもしれません。
声楽家なら、学生の頃から、好き嫌いでなく、自分の声の高さや声質に合う曲を、慎重に選んでいるはずです。

今日演奏されたバルトークは、とても好きな曲なのに、やはり私の「音質(声質)」には合っていないようでした。
自分の音質に合い、かつ全身全霊をこめて演奏できる曲を探し、
それを深めて行きたいといのが、目下最大の願いです。


良い演奏からは、必ず得るものがあります。
だからこそ、コンサートに通います。
頭であれこれ考えながら聴いてもダメで、感情がオープンになっていないと難しいですが、
今日のコンサートも十分咀嚼し、蓄え、
必ず自分の表現の助けにしたいと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

2012.7.31 【発表会】

母校・北鎌倉女子学園音楽科の同窓会が主催する合同発表会に、参加しました。
合同発表会ですが、生徒を参加させても、自分が出てもOK(両方でもOK)という会で、
試験やコンサートの練習のために、何度か参加したことがあります。
生徒さんは未就学のお子さんから大人の方まで、ピアノソロ、連弾の他、ヴァイオリンなど多彩。
同窓生の会ですので、懐かしい場所に戻ったような、とても微笑ましい発表会です。


この発表会は出演者が多いのでリハーサルが出来ず、演奏はぶっつけ本番です。
ピアノも数年前に新しいものが入ったそうで、以前に弾いた時とは別のピアノ。
リハーサルなしで、ピアノも初対面。
演奏条件としては厳しいですが、今日は生徒が参加することもあり、久しぶりに私も弾くことにしました。


今日演奏するのは、ショパン「エチュードop.25-1」とドビュッシー「水の反映」の2曲。
「水の反映」はレコーディングもし、10日前の「スカぴあ」でも弾いたばかりの曲ですし、「エチュード」も初めて人前で弾く曲ではありません。
なのに、待っている時の不安は、とても大きいものでした。

もうすっかり大丈夫なはずなのに、音楽がスラスラ流れてこないのはなぜなのか…
よほど神経が疲れていたのでしょうか…


「どんなピアノか分からない」「リハーサルなし」ということをやたらと気にしすぎてしまい、がむしゃらにピアノを弾く練習ばかりしてしまいました。
イメージトレーニングが、とても不足していたと思いますし、
「何とかなる!」と思えるだけの底力が、まだまだ足りなかったです。


取りあえず無事に終わってホッとしましたが、頭がクラクラしてしまい、記念写真撮影で、目をしっかり開けているのが辛かった…
生徒さん達は、リハーサルがないなどと文句を言わず、皆さん力演でした。
我が身を振り返り、反省です。

ーーーーーーーーーーーーーー

会場は市の施設でしたので、エアコンの設定温度がかなり高めでした。
客席内は、まあまあでしたが、楽屋内や舞台袖が暑く、待っている間に汗をかいてしまいます。
私は、寒いのはほとんど気になりませんが、暑いのはこたえるほう。
体力を消耗しては元も子もなく、エアコンの風が当たる場所で、出番を待ちました。

ホールのロビーはガラス張りの吹き抜けで、とても素敵な空間なのですが、
日差しが入る分、気温が30度以上ありそうな暑さ。
そこでくつろいでいる人は、一人もいませんでした。

節電は必要なことですが、せっかくの発表会。
このロビーで、先生やご家族と写真を撮る人も多いのに…
少し残念な気もしました。

Indexのページを新しいウインドウで開く>