2012.10.4【「風の響き 水の響き」通し練習】

10/14(日)に藤沢リラホールで開催するリサイタル「風の響き 水の響き」。
通し練習をしてきました。
リサイタルの際は、本番1週間〜2週間前に広いスペースを借り、ドレスも着て通し練習をします。

利用したのは、日比谷にある「松尾ホール」。
会員制のスタジオ&ホールですが、全室にスタインウェイのD-247(フルコン)が設置されています。
フルコンで練習できる場所は、とても貴重。
今日は、88席ある「ホール」を借りて練習です。

松尾ホールのピアノは、重厚な音色を持っているように思います。
同じスタインウェイのフルコンでも、リラホールのピアノとはやや違うので、そこは調整しないといけません。

ドビュッシーの「西風の見たもの」は、ドビュッシー作品の中でも最もダイナミックな曲ですが、
厚い和音で奏されるメロディー(のようなもの)、暴風のようなトレモロの連続と、
ただでさえ音量やバランスコントロールが難しい曲。
大きなフルコンでは、かなり弾き方を変えないと、イメージよりずっと大きなうなりが出てしまい、
轟音に埋もれたような演奏になってしまいます。
今日のピアノでは特にそう感じました。


でも、大きなピアノで、その響きを感じながら演奏するのは、とても楽しいこと。
弾きながら時々、大きなホールのステージで演奏している自分の後姿が、浮かんできたりしました。


翌日、録画したビデオを確認。
細かい修正をするよりも、「気持ち良く聴き流せるか」をチェックします。
聴いて心地よければ、間違いないからです。

今回はホールを借りられた時間が2時間しかなかったので、指ならしなどはせず、いきなり1曲目から順に通しました。
後半の方が「乗って」弾けていて、ピアノの状態に慣れるのに、少し時間がかかっているように思いました。
もっと早く、1秒でも早く、響きの状態をつかまないといけません。

また、響きの作り方も、あと一歩、工夫したいと思います。
残響のない自宅での練習では気づきにくいことなので、やはりホールでの練習はありがたいです。
以前、残響の少ないリハーサル室のような場所で練習した際は、このような響きの作り方までは考えが及びませんでした。


通し練習では、その日に向けて、心身ともに本番と同じように持っていきます。
終わった後は頭の回転が止まってしまうようで、ドレスや楽譜など、たくさんの身の回り品を片付けるのも一苦労。
帰宅してからは、全身が筋肉痛になります。
身体のケアもきちんとして、あと1週間、備えたいと思います。

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2012.8.7&9.7【ドビュッシー展&マウリッツハイス美術館展】

話題の展覧会、東京・ブリジストン美術館の「ドビュッシー、音楽と美術」と、東京都美術館の「マウリッツハイス美術館展」を見てきました。
どちらも平日の昼間に行きましたが、かなりの盛況で、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」が目玉の「マウリッツハイス」は何と70分待ち!

「マウリッツハイス」は、新聞広告やポスターなどはもちろん、テレビでも特集番組がいくつも放送されたりしていましたので、宣伝効果のすごさを目の当たりにしました。
残暑厳しい中、屋外で1時間以上も並んで待つ、というのは異常ですが、
つい「せっかく来たのだから」と思ってしまう…
思うことは皆同じなのでしょうか…

「真珠の耳飾りの少女」は、一列になって進みながら、立ち止まらずに見なくてはなりませんでした。
列の後方からなら、止まって見られますが、背の低い私には無理。
立ち止まらず、前後の人とぶつからないようにすることに神経を使わざるを得ず、あまり絵のパワーを感じることが出来ませんでした。
仕方のないことですね…


「ドビュッシー展」は、自筆譜や初版譜、関わりのある絵画だけでなく、工芸品など様々な美術品に焦点をあてるという、ドビュッシーファンにはたまらない企画。
ドビュッシーは他の作曲家にくらべ、美術を始め、他の芸術との関わりが深いので、とても興味深い企画です。
レクチャーコンサートや講座のチケットは、すでに売り切れでした。
(絵などの美術品にはパワーがあり、見るだけでも体力を使うので、
その上でコンサートも聴く、というのは、私には難しいかもしれません)


「映像 第1集」の「水の反映」の自筆譜が、ガラスケースに入れて展示されていました。
楽譜の展示は他の曲もありましたが、美術展ですので、表紙だけ見られるのがほとんど。
でも「水の反映」は、中を開いて展示されていて、感激。
青みがかったインクで、実際の印刷譜よりも細かいのではないかと思うほど、細かい音符が整然と書き込まれていました。
楽譜の出版に際して、インクの色や紙の質にまでこだわった、というドビュッシーの美意識が、とても強く伝わってきました。

どちらの展覧会も良かったですが、「ドビュッシー展」は、関わりのあった同時代の作品のばかりでなく、前の時代の作品、さらにドビュッシーに影響を受けた、後の時代の作品と、大きな時代の流れで展示が組まれていました。
また、壺や扇子などの工芸品の展示も、それらを一つのテーマの中に見せるという点が、とても興味深かったです。


中学生の頃、たまたま見に行ったデパート内の展覧会で、生の油絵に衝撃を受けて依頼、美術展にはとても興味を持っています。
コンサートもそうですが、どの作品を取り上げ、どのように展示(プログラミング)するかは、とても大事。
今回の「ドビュッシー展」では、改めてそう思いました。
意欲的な展覧会は、今後もマメにチェックしたいです。

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