2012.11.10【小山実稚恵 ピアノリサイタル】

「小山実稚恵の世界」を聴いてきました。
12年間・24回分の曲目が全て決まっている、ということが特に話題の、壮大なリサイタルシリーズです。

毎回テーマとイメージカラーがあって、それに沿った選曲。
単発のリサイタルではなかなか入れにくい、シェーンベルクやウェーベルン、スクリャービンなどが聴ける日もあり、全曲目を眺めているだけでもワクワクしてくる企画です。
やっと行けた今日は、第14回目。
来年3月にリサイタルで弾くシューマン「森の情景」がプログラムに入っており、他にも好きな曲が多くて、ぜひ行きたいと思っていた回です。


最後の3曲・スクリャービン「ソナタ第9番 黒ミサ」、グラナドス「嘆き、またはマハと夜うぐいす」、シャブリエ「ブーレ・ファンタスク」は、続けて演奏されましたが、その流れが素晴らしくて、一番印象に残りました。


会場のBunkamura オーチャードホールは、天井高20m。
やはり規模が大きすぎて、表現されていることの全ては聴き取れないような、そんな物足りなさはありました。
演奏を聴くだけなら、もっと聴きやすい規模のホールで、音に浸りたいのが本音です。


でもこのシリーズは、テーマやイメージカラーの設定、ステージに飾られたイメージカラーの花などが、Bunkamura全体の雰囲気とあいまって、ただピアノ演奏を聴かせるだけではない雰囲気作りが徹底されていたように思います。
ステージはもちろん、入口からロビー、客席に至るまで、プロの手がきっちりと入っている。
手間も時間もきちんとかけている。
そんな印象を受けました。
入口で渡されるプログラムも、とても美しいものでした。


私も「リサイタルシリーズ」と銘打ったものをやる以上、演奏そのものを磨くのはもちろん、心地よい空間、心地よい時間をお客様に提供できるよう、工夫したいと思いました。


「有料で良いから、全日程のプログラムについて詳しく書かれたものが売っていないかな」と思っていたら、立派な書籍として販売されていたので、早速購入。
選曲の意図が載っていて、いっそう自分のコンサートプログラムの参考に出来ます。
装丁もとても美しく、ずっと手元に置いて楽しめそうです。


良いコンサートは、いつもいろいろなことを考えさせられます。
今日得たことも大事にし、また練習を積んでいきたいと思います。

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2012.10.26〜27 【伴奏の仕事】

毎年恒例の会で、伴奏をさせていただきました。
もう何度も出させていただいている会ですが、1曲1曲の消耗が激しく、私にとってはハードな会。
ステージでのリハーサルが出来ないため、本番演奏中にピアノの状態を探ることになるからです。
伴奏なので、自分のペースで動くことが出来ず、何かと気を遣う…ということもあります。

ソロリサイタルと同じくらい、準備や体調管理には気を遣い、ドリンク剤も飲んで会場へ向かいました。

今回は幸いピアノの反応が良く、落ち着いて弾くことが出来ました。
10月にしては、空気が乾燥していたせいかもしれません。
ただ、1日目の会場では、椅子の高さを変えられなかったのが残念。
高さを調節するレバーが、錆びついていたのか固くて動かず、替えの椅子もなく、かなり高すぎる状態で弾くことになってしまいました。

高さを微調整出来るピアノ椅子、というのは日本独特だそうで、欧米には少ないそうですが、
身体つきの華奢な日本人にとって、身体を効率良く使うことの出来る優れものです。
リハーサルがあれば、椅子もその時に確認し、何とか替えになるものを探すことも出来るのですが…

「毎年、必ず何か起こるよなぁ…」と、その程度のアクシデントは楽しめるようになってきたましたが、来年は前もって椅子だけでも確認させてもらうようにしようと思います。

会の規模は関係なく、いつでも「人事を尽くして天命を待つ」。
1曲1曲心を込めて演奏するために、工夫出来ることはどんどんしていきたいと思います。


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