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2012.11.25 【ウラディーミル・ミシュク ピアノリサイタル】

1990年のチャイコフスキー・コンクールで第2位。
それ以来何度も日本に訪れているピアニスト、ウラディーミル・ミシュクのリサイタルを聴いてきました。
数年前に聴いた時の、颯爽とした音楽、かつみずみずしい音色が印象に残っていました。

ベートーヴェンやショパン、リストのいわゆる「名曲」を演奏されることが多いですが、今回はシューマン「森の情景」がプログラムに組まれています。
「森の情景」は有名曲とは言い難く、ミシュクご本人が希望して組まれた可能性が大。
2週間前に聴いた小山実稚恵さんとの聴き比べにもなるし、ということで出かけました。

そのシューマンでは、1曲1曲響きを大切にした歌い回しで、「予言の鳥」のトリルが美しかったこと!
とても参考になりました。

後半のショパン&リストは、日本ツアー最終日ということで、やや疲れているような、集中力がもう一つという印象でしたが、それでも演奏をまとめ上げる力はさすがです。

気になったのは、「幻想即興曲」や「ラ・カンパネラ」のような「超」有名曲が始まると、客席が明らかにザワザワし始めたことでした。
私も「名曲コンサート」と銘打ったリサイタルを毎年開催していて、「知ってる曲」が始まった時のお客様の反応はとても好きですし、大切にしています。

それにしても他の曲と、反応に違いがありすぎる…

今日のプログラムは、「森の情景」をはじめ、モーツァルトの「幻想曲」、ショパンでも「スケルツォ第3番」や「ノクターン第14番」、リスト「忘れられたワルツ」など、誰もが知っているメロディーとは言い切れない曲が多かったかもしれません。

超有名曲が始まった時のザワザワは、安堵のザワザワだったのかもしれません。


残念だったのは、会場入口で渡されたプログラムが、A4の紙1枚。
書かれていたのは曲名のみで、曲目解説は全く書かれていませんでした。
知らない曲ならなおのこと、解説があれば、ずっと曲の雰囲気に入りやすくなるのではないでしょうか。

プログラムには、そのコンサートのコンセプトが感じられることもあります。
2週間前・小山実稚恵さんのプログラムは、通常の解説の他に、小山さんご本人のコメントもすべての曲について書かれていて、とても興味深いものでした。

もう少し何か感じて帰りたかったな…と思ったコンサートでした。

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2012.11.16 【スカぴあ ミニコンサート】

横須賀ゆかりのピアニストによるクラシックピアノ音楽祭「スカぴあ」。
ソロから連弾、2台ピアノと、だんだんスケールが広がっていく「スカぴあ」のエッセンスを、1時間ほどにまとめた「ミニコンサート」をさせていただきました。
会場は、横浜市の社団福祉法人十愛療育会「たっちほどがや」です。


ここに置かれているピアノはスタインウェイですが、建物が全館床暖房のため、繊細なスタインウェイは疲労が早く進んでしまいます。
(床暖房でなくても、暖房の温風が直接当たる場所に置かれているようなピアノは、音が狂いやすくなります。)

そこで系列施設にある、比較的頑丈なヤマハピアノと入れ替えることになったとのこと。
入れ替えで2台のピアノが揃うこの日に、ぜひ「スカぴあ」を、となった次第です。

今日は入所者の方、職員の方だけでなく、一般のお客様もいらっしゃる中、リーダー・宮川久美さんのお話を交え、
ソロ(ショパン:ノクターン)
4手連弾(シューベルト:軍隊行進曲)
6手連弾(ラフマニノフ:ロマンスとワルツ)
8手連弾(ヨハン・シュトラウス1世:ラデッキー行進曲)
そして2台4手(モーツァルト:2台のためのソナタ)
2台8手(ホルスト:木星)の6曲を、披露しました。

グランドピアノが2台向き合って並ぶ姿は、やはり壮観。
モーツァルトでは、特に大きな拍手をいただけて、嬉しく思いました。


「たっちほどがや」では、職員の方が生き生きとした表情でお仕事をされていました。
職場の雰囲気は、私のような一見(いちげん)の客にも、はじめの挨拶の時点で伝わってしまうものです。
「職場の宝は設備ではなく人」と常日頃思っていますが、今日はとても温かな気持ちで過ごすことが出来ました。


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