2012.12.27 【ゲルハルト・オピッツ ピアノリサイタル】

NHKのピアノレッスン番組でおなじみ、シューベルト全集のCDも絶賛されている、ゲルハルト・オピッツさんのリサイタルを聴いてきました。
シューベルトのCDが素晴らしく、いつか必ず聴きに行こうと思っていたピアニスト。
4年間・8回に渡るシューベルト・ツィクルスの第6回、やっと聴きに行くことが出来ました。

未完(第2楽章まで)のホ長調ソナタ、「幻想ソナタ」ト長調、即興曲op.143(全4曲)です。

情報誌に、
「彼の奏でるシューベルトは、描く世界のスケールが極めて大きく、同時に?内に向かう力?も、とても強い。」
という紹介記事が出ていましたが、まさにその通り。
スケールの大きさと深い叙情性が同居する演奏は、とても貴重です。
フレーズをとても長く取れることが、そのスケールの大きさの秘訣だと思います。


シューベルトのソナタは、実際、無駄に長いと感じる部分もあり、どちらかというと、聴く側より弾く側が楽しい曲、と思うこともあります。
でもオピッツさんの演奏では、曲の長さが心地よさにつながって、その音色をしみじみと感じ、いつまでも聴いていたい気持ちになりました。

今日の席は、2階席の正面。
姿勢がとても良く、背中から手までの脱力が完璧なことも、目の当たりに出来ました。
完璧な脱力で、フレーズをひとまとめに弾き切るキレの良さ。
お手本にしたいことばかりです。

平日夜のコンサートは、混雑した電車で帰宅するのが憂鬱なところですが、
今日は暮れも押し迫った日でもあり、比較的空いていて、演奏の余韻を感じながら帰途につくことが出来ました。


次回・第7回と第8回は、来年の12月。
最終回の第8回は、最後のソナタ(変ロ長調 D960)がプログラムに入っているので、何とか都合をつけて聴きに行きたいものです。

今年も色々なコンサートを聴きました。
ブリリアントな演奏も爽快で素晴らしいけれど、やはり自分は、1曲1曲を慈しむような演奏、しみじみした気持ちになれる演奏が好きだな…と思いました。
今日、年の最後にこのような素晴らしいコンサートを聴けて、良かったと思います。
来年はどんな演奏に巡り会えるか…
今からとても楽しみです。

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2012.12.23 【スカぴあ ジュニアオーディション】


横須賀ゆかりのピアニスト達によるクラシックピアノ音楽祭「スカぴあ」。
3回目となる来年2013年は、7月13日(土)ヨコスカ・ベイサイド・ポケットにて開催です。

前回・第2回目から、横須賀・三浦にゆかりのある学生ピアニスト達が演奏する「ジュニアカテゴリー」を設けましたが、
次回・第3回は、この出演者をオーディションで選出することになり、今日、そのオーディションの審査をしてきました。

オーディションの参加条件は、
◯年齢は大学生以下
◯横須賀、または三浦に何らかの関わりがあること

「横須賀、または三浦との関わり」は、
◯横須賀在住・在学・卒業はもちろん、
◯横須賀の先生に師事している
◯家族が横須賀に通勤・通学している
◯祖父母など親戚が横須賀に住んでいる、などでもOKです。


人の演奏を聴くのはとても勉強になり、今日のように意欲あふれる演奏を聴いていると、全く飽きるということがありません。

参加者一人一人に宛ててコメントを書くのですが、褒めたいこと、アドバイスしたいことが次々と出てきて、あっという間に時間が経ちました。


皆さん才能をお持ちの方ばかりで、音に対する集中力や、曲の雰囲気をつかみ取る感性は素晴らしかったです。
同時に、音の美しさ、レガートの弾き方(打弦楽器であるピアノは、音を滑らかにつなげるのがとても難しい)、各声部のバランス、フレーズを正しく取ることなど、基礎的なことの大切さも、改めて感じました。

思う音を出すために、いかに無駄な力を抜いて、身体を正確に使うか。
脱力というのはとても大切な概念で、私も未だに身にしみています。
「がんばる」と却って身体のコントロールがしづらくなり、音は硬くなり、指も回らなくなるのが難しいところ。


また、楽器の演奏は、言わば精密作業なので、どうしても手元の作業に集中しすぎてしまいます。
細かい作業が難しいと、全体の響きを聴くことや、全体の構成を俯瞰する意識が薄くなってしまい、余計に身体が硬くなってしまう…
特にピアノは大きな楽器なので、ピアノ全体が、演奏会場全体がどんな響きを出しているかを、いつも意識しないといけません。


アドバイスコメントを書きながら、
「これは私自身にも言えることだよな…」と、反省しきりでした。


ピアノ演奏に関して色々なことを感じたオーディションが終わり、
こうして、来年7月の「スカぴあ 2013」でご一緒するジュニアピアニスト4組(ソロ3名・連弾1組)を、選出しました。

スカぴあ本番が、ますます楽しみになってきました。
私達・大人のスカぴあメンバーにとっても、
「ジュニアよりショボい演奏をしたら大変!」というプレッシャーがあります。
そのプレッシャーも含めて楽しんで、皆でレベルアップし、音楽祭を盛り上げていきたいと思います。

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