2013.8/11【逗子童謡の会】

「第215回 逗子童謡の会」で、メゾソプラノの安東京衣子(けいこ)先生とご一緒させていただきました。

今日の前半は「海」「我は海の子」「椰子の実」など日本の夏の歌、
後半には「静かな湖畔」「幸せなら手をたたこう」「追憶」など、日本で親しまれている外国の歌を集めました。
お客様の歌声は今日も伸びやかで、こちらも暑さを忘れられる思いでした。


講師演奏では、「亜麻色の髪の乙女」(夏にちなんで)と、「ラ・カンパネラ」を演奏。
安東先生は「金髪のジェニー」、「君よ知るや南の国(歌劇「ミニヨン」より)」、「あなたの声に心は開く(歌劇「サムソンとデリラ」より)を演奏されました。
会場の「逗子文化プラザ なぎさホール」のスタインウェイD-274は、状態が良いことが多くて助かります。
今日も比較的落ち着いて弾くことが出来ました。

今年の夏も大変な猛暑で、気温40度を超えた地域もあるとか…
今日も暑さは収まらず、お客様の入りが心配でしたが、とてもたくさんの方にご来場いただけて、ホッとしました。
215回目という歴史の厚みを感じます。


「逗子童謡の会」代表の天野伊豆子様は温かなお人柄で、いつも気持ち良く参加させていただいています。
毎回、会の始めと終わりに舞台上で挨拶もされている天野様。
装いもいつも素敵で、今日は絽(ろ)の着物をリメイクしたお洋服でした。

会員さんはもちろんのこと、一般のお客様にも、きっと天野様に惹かれて集まっている方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
お客様に愛され、長く会を続けていらっしゃる秘訣を垣間見たように思いました。
ぜひ見習っていきたいと思います。

終演後にはロビーで、CDやコンサートチケット(9/23・サロンコンサートのチケット)販売もさせていただきましたが、売れ行きが良く、とても有難かったです。
また秋に向けて頑張ろう、という思いで会場を後にしました。

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2013.5/18〜6/19 【コンサート通い】

この1ヶ月で、5つのコンサートを聴きに行くことができました。
ピアノのコンサートばかりでしたが、こんなに続けて聴けたのは、おそらく初めて。
会場も素晴らしいところばかりで、
「自分もこんな良いホールで、リサイタルをしたいな…」と思いながら聴いていました。

この間に、自分が聴き手としてコンサートに何を求めているか、やっとはっきりしてきたように思います。


昔は、とても速いテンポの演奏や、一つのミスもない演奏を聴けば「すごい!!」と感心し、
自分もあやかりたいと思いながら拍手を送っていました。
ところが、テクニックの正確さ一つを取っても、美を伴うものとそうでないものがある…
その違いを、はっきり感じられるようになったのです。


指を正確に動かせるのは、非常に大事な要素です。
それなのに、かつてあんなに賞賛していたテクニックを、
ただ「すごい!」と喜んで聴いていることは、もう出来なくなってしまった…
それだけ年を取って、耳が肥えてきたということなのかもしれません。

必要もないのに、やたらハイスピードで押す演奏にも、疲れを感じるようになりました。
今は、「奏者の心を真に通した音楽を聴きたい!」という気持ちが、とても強くなっています。

自分の演奏に対する要求も、ますます高くなる一方ですが、
芸術をやる者にとって、それは当然の道のりですね。

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コンクール入賞者コンサートなどで、学生さんの演奏を聴いていると、
「先生に言われたことを、素晴らしく良く出来ている演奏」と、
「自分の裡(うち)から出てくるものを、音にしている演奏」の違いを感じるように思います。
コンクールならば、本来は後者を発掘する場であって欲しいものですが…


これだけコンクールやオーディションが増えてくると、まさに入試や資格試験のような受験対策がはびこり、結果として「得点出来るポイント」と「減点されるポイント」をしっかり踏まえた演奏が、上位に残ってきます。
これは、演奏家としての魅力とは別次元の話です。

そういう演奏をたくさん聴いてしまうと、
「ひょっとして、自分の裡を表現することには、さほど興味がないのではないか?」
「いかにミスをなくすか、いかに点を稼ぐかにしか、興味がないのではないか?」
と、気持ちが冷めていくのを感じます…


コンクールや試験は練習のモチベーションを大いに上げるもので、
その点ではとても有意義ですが、いかんせん「短期集中戦」。
自分の音楽を深めていくのは、それとは正反対の、長い長い道のりです。

時を経て、「得点ポイント」「減点ポイント」だけではもう勝負出来なくなった時、
審査員とは微妙に違う価値観の聴衆に向けて、どうやってモチベーションを保っていくのでしょうか…


私も、たまに審査をする機会がありますが、
決して魅力的ではないのに、採点ポイントを抑えている演奏に出くわしてしまうと、
点数をつけるのを難しく感じます。
本来なら「決して魅力的ではない」時点で落選なのでしょうが…


自分で演奏する時にも、つい採点ポイントが気になって、
「減点されないようにしなければ」「もっと速く弾かなければ」などと思ってしまい、
練習すればするほど崩れていく…という悪循環に陥ることが多々ありました。
もう、いい加減にそういう状態からは脱しなければいけません。

今回も、人様の演奏から色々なことを考えてしまいました…

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