2014.5.24 【小林明代さんのリサイタル】

ヴァイオリニスト・小林明代さんのリサイタルで、共演致しました。
前半は無伴奏で、バッハの「パルティータ第2番」全楽章。
後半はピアノが入り、モーツァルト「ソナタ ト長調 K.301」、
メンデルスゾーン「無言歌集」より4曲、ストラヴィンスキー「イタリア組曲」。
バロック、古典、ロマン、近現代と、非常にバランスの良いプログラムです。


ストラヴィンスキー作品の演奏には、皮肉っぽさと、とぼけた明るさの両方が必要です。
どちらの要素も持ち合わせていない私にとっては、「イタリア組曲」もとても難しい曲でした。


ヴァイオリンとのデュオでは、音量バランスに非常に気を配るものですが、
この曲ではそれに気を取られすぎると、ひどくつまらなくなり、
出すべき所を出そうとすると、途端にヴァイオリンにかぶりすぎてしまう・・・
アタックが強くて、かつ軽やかな音色を出すのに、とても時間がかかりました。
小林さんの真摯な表現に何とか見合う演奏が出来るよう、
1回1回の合わせに集中して臨むことを心がけました。

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前回・2012年に共演させていただいた時は、
曲目の違う本番を次々とこなしていくことだけで、精一杯・・・。
計画性をもってレパートリー(持ち曲)を考える必要を迫られました。


2年経った今は、余裕をもってこなせる、とまではいきませんが、
数年先も視野に入れた練習・準備が、少しずつ出来るようになってきました。

それでも、今回のストラヴィンスキーでは、表現の幅をもっと広げなければと痛感。
まだまだ取り組む内容に偏りがあったようです。


終演後、楽屋を訪ねて下さったお客様がいらっしゃいました。
「日本のピアニストは叩きつけるように弾く人が多いけれど、あなたの音は、とても柔らかくて美しかった」
「でも、あと一歩何か足りないものがある」
と、お褒めの言葉とご指摘の両方をいただきました。

あと一歩何かが足りない・・・
自分でも今、切実に感じていることで、とても有難いご指摘でした。
今回のストラヴィンスキーで、如実に感じたことでもあります。
良い意味でのアピール力というか、音に気合いや密度が足りないように思うのです。


すぐに解決できる問題ではありません。
でも、今後どんな取り組み方をしていけば良いかについて、何か手応えのようなものも感じています。
気づいたことをどんどんやって行かなければ・・・
この夏の目標が、また新たに見えてきました。

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