2014.12.7 【日本グリーグ協会 「抒情小品集」全曲演奏会】


私のリサイタル情報をホームページに掲載して下さっている、日本グリーグ協会。
協会所属ピアニストの方々によるコンサートを聴いてきました。

10人のピアニストが、グリーグ「抒情小品集(小曲集)」を1集ずつ演奏。
ピアニストの皆さんは、北欧留学経験のある方も多く、
グリーグの音楽への真摯な向き合い方が伝わってきました。
中でも、「第5集」を担当された久保春代さん(上野学園大学教授)の表現の深さが、印象に残りました。

私のリサイタルは、1回に2集ずつ・5年かけてのリサイタルシリーズですが、
今日は、2度の休憩をはさんだ4時間で、全10集を一度に聴けるコンサート。
グリーグ協会さんならではの企画だと思います。

10人の演奏家が一つのシリーズを分担して演奏するのは、「聴き比べ」的な楽しみがあり、
聴き手には楽しいものですが、
演奏者にとっては、かなりのプレッシャーだと思います。

グリーグ協会さんならではの意欲的な企画、
これからも楽しみにしたいと思います。

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2014.11.26/12.1 【さくらプラザホール 午後の名曲散歩&ブランチコンサート】

JR・横浜市営地下鉄の戸塚駅西口にオープンした戸塚区民センター・さくらプラザホール。
どんなホールかと興味深々でしたが、ようやく行くことが出来ました。
450席で、とても聴きやすい響きのホール。
横浜市は音響に配慮されたホールが各区にあって、羨ましいですね。


11/26は、「午後の名曲散歩」という、実力派アーティストによるコンサートシリーズで、
今日は新日本フィルハーモニーのコンサートマスター・西江辰郎(たつお)さんのヴァイオリンリサイタル。
ピアノは、東京音楽大学専任講師の菊地裕介さんです。


〈1〉ヘンデル「ソナタ イ長調 op.1-3」
〈2〉トゥリーナ「ソナタ 第2番『ソナタ・エスパニョーラ』」

〈3〉クライスラー「シンコペーション」
〈4〉ファリャ「ホタ」
〈5〉グラズノフ「瞑想曲」
〈6〉ファリャ「スペイン舞曲」

〈7〉ヴィターリ「シャコンヌ」
〈8〉サン=サーンス「ソナタ 第1番」

「今年はこれに取り組んでみたい、という曲を集めたプログラム」だそうです。

アンコールは、
ドビュッシー「美しき夕べ」
サン=サーンス「サムソンとデリラ」より 「春は目ざめて」の2曲。

サン=サーンスは、西江さんご本人の編曲。
ラジオでマリア・カラスの歌うこの曲を聴き、編曲を思い立たれたのだそうです。

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この日のプログラムにはさみこみされていたのが、
12/1の「ブランチコンサート〜若手アーティストが贈る45分間」のチラシ。
北村朋幹(ともき)さん(ピアノ)のプログラムが、目を引きました。

〈1〉ベートーヴェン「ピアノソナタ 第24番 『テレーゼ』」
〈2〉シューマン「ノヴェレッテン」より 第8番
〈3〉ブラームス「幻想曲集 op.116(全7曲)」

比較的カジュアルな形態のコンサートにしては、かなりマニアックな曲目です。
しかも開演は11:30で、午前中から聴くには(弾くのも)ずいぶん重い曲目・・・

この選曲はいったい・・・?と思ったところ、
チラシのウラ面に、北村さんご本人による「聴きどころ」が書かれていました。

『(前略)・・・演奏会のプログラムというのは、ある場所へ辿り着くためにどの道を通るか、という事なのかもしれない。

嬰ヘ長調の特別な響きをまとったベートーヴェンのソナタで始まる今回の道は、
霧の立ち込める中でシューマンが見た一抹の夢を通り、
晩年のブラームスが宛先もなく書いた、最期の炎へと辿り着く。
彼らが灯した光は、晩秋、寂しい誰かの心をそっと照らしてくれる。』

23歳とは思えぬほど、深みと繊細さを併せ持った文章ですね。
この日のアンコールでは、「嬰ヘ長調で始まり、嬰ヘ長調で終わる」ということで、
シューマン「ロマンス op.28-2」が演奏されました。

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西江辰郎さんのヴァイオリンは、非常に洗練されたスマートなもので、
そのセンスが選曲にも感じられました。
良い演奏家は、音色の持ち味と表現の方向性にブレがなく、
聴き手は落ち着いてその音楽に浸れるように感じます。
菊地裕介さんのピアノが、それを温かみのある音で支えていました。


北村朋幹さんのピアノは、数多くのコンクールやコンサートの舞台を踏まれたにふさわしい、堂々たるもので、
特に、静かな部分の音色と集中力が印象的でした。
テンポが速い部分や音の大きな部分は良くても、静かなところになると退屈になってしまう演奏が多い中、
素晴らしいことだと思います。

どちらも平日の開催でしたので、慌ただしくも当日券を買っての入場でしたが、
とても充実した気分で帰ることが出来ました。
その演奏家がどういうコンサートをしたいのか、はっきり感じられたことが良かったように思います。

有名な曲でも、珍しい曲でも、実力ある演奏家による意欲的なコンサート。
今後も楽しみにしたいですし、しっかり自分の勉強にもしていきたいと思います。

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