2017.6.25 【リサイタル −雨の季節によせて−】
横浜みなとみらい小ホールで、ソロリサイタルを開催しました。
みなとみらいでは初めてのリサイタルです。
ドビュッシー:アラベスク 第1番
モーツァルト:デュポールのメヌエットによる9の変奏曲
ショパン:雨だれの前奏曲
メラルティン:雨
ドビュッシー:雨の庭
グリーグ:アリエッタ
グリーグ:蝶々
グリーグ:小鳥
グリーグ:トロルハウゲンの婚礼の日
ショパン:夜想曲 遺作
ショパン:幻想即興曲
ショパン:子守歌
ショパン:舟歌
アンコール曲
バッハ=グノー:アヴェ・マリア
昨年夏の入院中は、ホールをキャンセルすることも考えましたが、
回復して体調の目処が立ち、会場費を払えた時はやはり嬉しく、ホッとしました。
そしてチラシが出来上がり、チケット販売を開始。
与えられたこの機会を精一杯活かしていこうと、気持ちを新たにしました。
…ところが、体調は良いのに、どういうわけか気が重く、練習が辛い日々が続きました。
病が癒えてありがたいはず、リサイタルが出来るようになって嬉しいはずなのに、
競争率の高いみなとみらいホールが取れて幸運なのに、
いっこうにモチベーションが上がらないのはなぜだろう…
こんな状態では、かえって身体にも悪いのではないか…
キャンセルして休んだ方が良いのではないか…
本当に悩みました。
今思えば、これまでリサイタルなどコンサートの後は、
身体が先に回復し、気持ちはその後から回復していました。
なので、それだけの時間を見越して、スケジュールも立てていました。
入院や手術の後ならば、もっと時間がかかっても、
数ヶ月単位でかかってしまっても不思議ではありません。
焦らず、もっと気長に構えていれば良かったな…と思います。
そんな中、4月に日本グリーグ協会主催「アイナル・ステーン・ノクレベルグ マスタークラス&レクチャーコンサート」を受講する機会がありました。
ノクレベルグ先生のあまりにも豊潤な音楽性に、じかに接したおかげなのでしょうか、
その後少しずつ、前向きな気持ちが現れてくるのを感じました。
「今出来ることをやる」
「先を心配しすぎない」
と、少しでも気が楽になるように心がけ、
「リサイタルが楽しみ」と口にすることで、
前を向いてきた気持ちを励ましながら、日々の練習を重ねていきました。
それからは妙なプレッシャーも減り、
自己の内面をスムーズに出す努力を、重ねていけるようになりました。
心身の力みも減り、曲全体を大きくとらえられるようになったことで、
身体が楽になってきて、良い練習が出来るようになりました。
本番では、練習でやってきたことがほぼそのまま出来て、
これまでのリサイタルの中で一番納得のいくものになりました。
この日は雨まじりのお天気にもかかわらず、
予想よりずっと多くのお客様がご来場下さいました。
ステージでおじぎをする時、ずっと頭を下げていたいと思うほど、
感謝の気持ちでいっぱいになりました。
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35回目のソロリサイタルが終わりました。
しんどい思いをしましたが、
心身ともに楽な状態で弾く必要に迫られたことで、新たな弾き方の核が出来、
今後の演奏への足がかりを得られたように思います。
これからのリサイタルをどうするかは、まだ決まっていません。
病から回復を経て、リサイタルへの考え方も、少し変化してきています。
与えられた命を、もっと人様のために使いたいと思うようになってきたこともあります。
これまで11の会場でリサイタルをしましたので、
その経験も踏まえ、会場も再検討しようと思います。
横浜みなとみらいホールは、アクセス・設備・料金などトータルで見るとダントツですが、
土日の競争率が非常に高く、定期的な開催は難しいかもしれません。
コンサートホールとサロンコンサートを交互にするなど、
内容も工夫していきたいと思います。
今回得られたことを糧に、心身の状態には十分に気をつけて、
より良いものを届けていけるよう、精進したいと思います。