2017.9.10  【加山又造展/ルーカス・ゲニューシャス  ピアノリサイタル 2017】

 

今日は充電日。

展覧会とコンサートに出かけました。

 

電車の中吊り広告で見つけた横浜島屋での「加山又造展」は、今日が最終日。

最初の作品「夏の濤(うみ)・冬の濤」から、その鮮烈な才能に引き込まれました。

ラスコーの洞窟壁画や、ルソー、キュビズムに影響を受けていたことも新鮮でした。

絵画に始まり、屏風絵、雑誌表紙の原画、陶芸や着物まで、

実に多彩な展示でした。

 

20代の作品から、ほぼ年代順に展示されており、

作風の変遷をたどりながら鑑賞することが出来ました。

「個人蔵」と記された作品が多く、まとめて観られる機会は貴重だったようです。

各解説も、わかりやすく書かれていました。

制作風景の写真もあり、作品に込める気迫や臨場感が強く伝わってきました。

 

鑑賞後は、ミュージアムショップコーナーへ。

飼い猫のヒマラヤンが描かれた「猫」と、夜桜が美しい屏風絵「淡月」の2枚の絵ハガキと、

4種の「猫」がデザインされたクリアファイルを購入しました。

 

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午後は上野の東京文化会館で、2010年ショパンコンクール第2位、2011年チャイコフスキーコンクール第2位のルーカス・ゲニューシャスさんのリサイタル。

今年2月に本郷台リリスホールで聴いたリサイタルが素晴らしく、また聴きたいと思っていました。

今回は、ショパンのエチュード全曲という、垂涎もののプログラムです。

プログラム前半で、作品10と作品25の全24曲を弾ききってしまうのもすごいですが、

各曲の完成度も驚くばかりでした。

右手が半音階のメロディーと伴奏を兼ねる難曲・作品10 第2番が、金粉をまいたように聴こえたのには感動。

半音階の美しさを、まざまざと感じさせられる演奏でした。

 

過去のショパンコンクール優勝者でもある、マウリツィオ・ポリーニやウラディーミル・アシュケナージの演奏がバイブルでしたが、

今後はゲニューシャスのような演奏が、新たなバイブルになっていくのでしょうか。

 

プログラム後半は、ラヴェルの「ソナチネ」と、

プロコフィエフが音楽院在学中に書いた「10の小品  作品12」。

インタビュー記事によると、お祖母様のヴェラ・ゴルノスタエヴァ女史(児玉桃さんや上原彩子さんを育てた名匠)が、

「20世紀の巨匠は、ラヴェルとプロコフィエフ。」

と、おっしゃっていたのだそうです。

 

プロコフィエフの小品は初めて聴く曲でしたが、

「マーチ」と「プレリュード」が特に面白かったです。

 

鳴り止まない拍手に応えて、アンコール曲が3曲。

映画音楽のように感じた2曲は、ロシアの映画音楽の巨匠レオニード・デジャトニコフの「モスクワの夕べ」から「Titles」。

そして「劇場からの共鳴」から「Chase Rondo(追いかけるロンド)」でした。

 

最後にショパンの「マズルカ  イ短調  作品68-2」が演奏されました。

マズルカの中でもかなり地味な曲なのに、会場を引き込む手腕は見事でした。

 

響きの作り方が本当に独特で、磨きぬかれ、弾き込まれた表現を堪能しました。

素晴らしい音楽を聴くと、やはり自分でも色々と弾き方を試したくなりますね。

マネなど出来なくても、自分の心に残った響きは消えません。

 

展覧会とコンサート。

とても贅沢な一日でした。

今日得られたものを、ずっと大切にしていきたいと思います。

 

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2017.8.22ー8.26  【室内楽研究会】

 

室内楽の講習会に参加してきました。

元桐朋学園大学教授・雨田(あまだ)信子先生の門下生有志の会「信友会」が、

先生のご自宅で開催している「室内楽研究会」です。

ヴァイオリンとチェロの先生をお迎えして、毎年行われています。

 

昨年、ご縁があって入会した信友会。

早速この研究会にも行くつもりでしたが、入院で参加出来ず、とても残念な思いをしました。

今年は行けるようになり、良かったです。

猛暑の中でしたが、懐かしい母校もある、調布市の仙川まで通いました。

 

曲は課題曲で、モーツァルト「ピアノ三重奏曲  K.496  ト長調」、

またはメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲  第2番  op.66  ハ短調」の指定された楽章の中から、選択して受講します。

今回はモーツァルトで申し込んでいたのですが、

時間割の都合で、メンデルスゾーンの終楽章を弾くことになってしまい、

必死で練習を重ねました。 

 

レッスン室には、先生の夫君でチェリスト、そして「アマネコ」でおなじみの画家でもいらっしゃる雨田光弘先生の作品がたくさん飾られていました。

もちろん原画です。

美術館さながらの空間で、研究会が始まりました。

 

初日は雨田先生のレッスン。

ピアノのみで行われるのかと思っていましたが、

弦の先生方、ヴァイオリンの宮川芳恵先生、チェロの十代田(そしろだ)光子先生もいらっしゃったのにはビックリ。

いきなり合わせて演奏、それを聴いていただく状態でした。

 

テンポだけさっと確認して弾き始めましたが、

先生方の出方を探りながらの演奏になってしまい、全体に中途半端な演奏に…

案の定、雨田先生から

「もっとappassionata(アバッショナータ・情熱的に)に、sf(スフォルツァンド・その音を強く)も力強く。

ソロを取るところは、もっと主張して」

と指摘されてしまいました。

 

レッスン後に1回、そして後日もう1回、宮川先生、十代田先生との合わせがありました。

タイミングを探ってばかりで、あちこち「お見合い」になってしまっていたところを、まず修正。メンデルスゾーンの作品は、まず流麗に、軽快に、品良く演奏するものと思っていましたが、

それだけでは、激しさも込められたこの曲を表現しきれません。

自分の表現力がまだまだ狭いことを、痛感させられました。

フレーズを大きく取り、大きな流れをキープ出来るように、練習を詰めていきました。

 

最終日の発表コンサートでは、とりあえずまとまり良く演奏出来、

雨田先生も「ずいぶんスケールが大きくなって、良い終楽章に仕上がった。」

と、喜んで下さいました。

「相手に任せて良いところと、任せないで自分が前に出る所が分かっていれば良い。」

とのアドバイスもいただきました。

 

録音を聴き直してみると、まだモチーフの歌い方が弦とピアノで不揃いだったり、

私個人の問題ですが、全体にエネルギー不足だったりと、荒い感じのところがあったりと、

改善の余地が満載でした…

 

トリオでは、デュオや伴奏とは異なるエネルギーが要ることを実感しました。

課題がはっきり見えたことは、ありがたいことです。

 

受講生は7人。

同じ曲(楽章)の方がいなくて残念でしたが、

他の方のレッスンや合わせを聴くのは新鮮でした。

 

「この研究会は、自分の生きがい」

とおっしゃる雨田先生。

「合わせの勉強という点では、メンデルスゾーンのようなロマン派よりも、

モーツァルトやベートーヴェンなど、古典派の曲の方が良いかもね。」

と、早速次回の曲を考えていらっしゃいました。

 

短期間ではありましたが、とても勉強になりました。

ぜひまた参加して、自分の幅を広げていきたいと思います。

 

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