2017.9.29 【若林顕 セルフプロデュース  ベートーヴェン ピアノ・ソナタ  Vol.21】

 

 

横浜市戸塚区民センターのホール「さくらプラザ」」で2014年から開催されている、

若林顕さんの「ベートーヴェン・ピアノソナタ 全曲演奏会」。

金曜日の20時開演・21時終演という1時間のプログラムで、

ソナタとともに、ショパンやシューマンなど、他の作曲家の曲も組み込まれているのが興味深かったのですが、

時間帯がネックでなかなか行けず…

最終シーズンの今日、やっと行くことが出来ました。

 

今回は最後のピアノソナタである「第32番 op.111」、

そしてその前に、ブラームスの「6つの小品  op.118」が演奏されました。

 

音が馥郁(ふくいく)として温かみがありながら、その響きは力強く、

ベートーヴェンやブラームスの音楽のスケールの大きさと奥深さが、

本当にしみじみと伝わってきました。

ピアノという楽器を通して、音楽そのものを届けてくれる、まさに巨匠の演奏でした。

 

 

ホールの冊子に載せられていたインタビュー記事には、

勉強になるコメントがたくさんありました。

 

「ベートーヴェンを起点に色々な作曲家に分岐し、

またベートーヴェンに戻るというのを繰り返す中で、非常に色々なものを見つけられた。

音楽家としてのパレットを広くするのは重要。」

 

「ベートーヴェンは、特に強い想いを持たないと、

強い念を込めてひかないと、曲に入っていけない。

一音入魂でひもといていかないと、曲負けしてしまう。」

 

「いつも考えを整理していないと、パターン化したピアノに陥ってしまう。

そのために、助言者は必要不可欠な存在。」

(奥様でヴァイオリニストの鈴木理恵子さんが、

毎回リハーサルに立ち会っていらっしゃるそうです。

 

また、「シリーズの中で、一番大変だった回は?」という質問に対しては、

「毎回大変。少し楽だったという時は一回もない。」とのことでした。

私も「楽な本番はない」と痛感していますが、

若林顕さんのような巨匠でもそうなのかと、少しホッとしました。

 

表現手段がたまたまピアノだった、と感じるほど、作品の本質に迫る若林さんの演奏。

また聴きに行きたいです。

 

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