2017.10.16 【横浜トリエンナーレ】

 

横浜トリエンナーレに、初めて出かけました。

まず横浜赤レンガ倉庫で9作家+1プロジェクトを鑑賞。

昼食をはさんで、メイン会場の横浜美術館に移動し、28作家を鑑賞しました。

 

たくさんの作品を観ましたが、

好き嫌いは別として、全ての作品に、何か感じるもの、

心にとまるものがありました。

 

 

特に印象に残ったもの。

●プラバワティ・メッパイル  《yt/forty two》

四角くて白い空間の頭上に、何本もの細いワイヤーが、ハープのように張られています。

それだけなのに、何とも居心地の良い空間で、

見る角度によって微妙に変化する色合いも素敵でした。

 

●ケイティ・パターソン 《化石のネックレス》

世界中で採取された化石を、小粒の球形に加工してつなげたネックレスです。

化石は進化の時代順につなげられています。

発想の面白さはもちろん、ネックレスそのものも素敵でした。

 

●マーク・フスティアーニ 《トンネル》《穴》

巨大な竹の門のような建造物が、鏡などの反射素材で、

無限に続くトンネルのように見えます。

同じ原理の《穴》も、底なしの井戸のように見えます。

鏡に映っているだけだと分かっていても、

継ぎ目が巧みで、見ていると吸い込まれそうになります。

照明の反射も、とてもきれいでした。

 

●ヘラー/レーベルガー/サラ/ティラヴァーニャ 《お金で買えない夢》

1枚の版画作品ですが、4人の作家によるコラボレーション・プロジェクト。

前の作家が制作した作品の、終わりの1cmほどの部分のみを手がかりに、

次の作家が描いていくという、リレー形式で作られたそうです。

共作によって思いがけない作品になる面白さ、

一つのアートとして完成されたものになっていることに、驚きました。

音楽の曲も、そのように作ったら面白そうですね。

 

写真撮影OKでしたので、色々と撮りましたが、

撮るのが下手なこともあり、実際の印象とはずいぶん違ってしまいました…

作品の存在感を確実に納めるのは難しいですね…

 

たくさんの作品に刺激を受け、頭はとても疲れました。

歩き回った脚よりも、ずっと頭が疲れました。

 

今回、別会場の横浜市開港記念会館や、近隣施設での展示、

多彩な関連イベントなどは回り切れませんでした。

また、1回見ただけでは、このトリエンナーレのコンセプトまでを感じとるのは、難しかったです

規模の大きな祭典は、2回、3回と足を運ぶつもりでいた方が良いのですね。

 

現代アートは、いわゆる「癒し」にはならないかもしれません。

それでも、アートの放つパワーは、他ではなかなか得られないものがあります。

表現手段が飛躍的に広がっている時代、ますます面白いものが出てくることでしょう。

また色々な展覧会に行きたいです。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

2017.10.22 【グリーグ ピアノ抒情小品集  レクチャーコンサート】

 

 

ピアニストで上野学園大学名誉教授の久保春代さん。

以前に、グリーグ協会主催コンサートで聴いた「抒情小品集 第5集  op.54」が、とても素敵でした。

今回はレクチャーコンサートで、全66曲中15曲が演奏されました。

 

第1集 op.12より  「アリエッタ」「祖国の歌」

第2集 op.38より  「カノン」

第3集 op.43より  「蝶々」「春に寄す」

第4集 op.47より  「ハリング(ノルウェー舞曲)」

第5集 op.54より  「羊飼いの少年」「ガンガル(歩き踊り)」「トロルの行進」「夜想曲」

 

第6集 op.57より   「ゲーゼ(恩師の名)」

第7集 op.62より   「小川」

第8集 op.65より   「トロルハウゲンの婚礼の日」

第9集 op.68より   「水夫の歌」

第10集 op.71より  「小さなトロルたち」「余韻」

 

会場は、西武池袋線・椎名町からほど近くのサロン「バッハはうす」。

台風接近で強い雨の中でしたが、客席は満席。

落ち着いたテンポで、各フレーズが丁寧にまとめられた格調高い演奏と、

親しみやすいお話ぶりで、あっという間の2時間でした。

 

 

抒情小品集は、ノルウェーがまだスウェーデンの支配下にあった頃の作品です。

最後の第10集が1901年(20世紀!)の作曲、

その4年後・1905年に、ノルウェーは独立しました。

グリーグは独立を見届けて、1907年に64歳でこの世を去っています。

 

今日のレクチャーの中での、

「抒情小品集は、同時代の人々に、ノルウェーの素晴らしさを発信する定期刊行物。」

「質の高いものを、平易な言葉で伝えている。」

という指摘には、とても納得がいきました。

 

 

抒情小品集から抜粋してコンサートプログラムを作る…

時々、自分ならどう選ぶかなと…想像します。

今回、選曲にはとても迷われたそうですが、

第2集の「カノン」や第4集の「ハリング」など、意外な曲もあったりして、

とても興味深かったです。

 

また、選曲に入っていない曲も、部分的に参考として演奏されたりして、

とても盛りだくさんな内容でした。

 

 

久保春代さんは、北欧作品の紹介や教則本の翻訳のみならず、

フィンランドでの音楽祭出演、シベリウスピアノ作品全曲演奏会に参加されたりと、

国際的な演奏活動を続けていらっしゃいます。

グリーグもシベリウスも、一部の曲を除き、まだまだマイナーです。

良い企画と良い演奏で、もっと広まってほしいです。

 

 

Indexのページを新しいウインドウで開く>