2018.1.25 【映画「シーモアさんと大人のための人生入門」】

 

 

50歳で世界的なコンサートピアニストとしての活動を引退し、

ピアノ教師としてレッスンやマスタークラス等で活躍されている、シーモア・バーンスタインさん(1927年生まれ)。

「心で弾くピアノ」「セイモアのピアノの本」などの著書がベストセラーで、

ピアニストやピアノ教師の間ではおなじみです。

そのドキュメンタリー映画を観ました。

 

監督は、「いまを生きる」などで著名な俳優イーサン・ホーク。

ホーク監督は、舞台緊張で悩んでいた頃にシーモアさんと出会い、

その演奏と包容力豊かな人柄に魅了され、ドキュメンタリー映画を撮るにまでなったそうです。

 

映画は、シーモアさんの語りを軸に進みます。

音楽との向き合い方はもちろん、

生い立ちや、ピアノを習っていた頃のこと、

デビュー後のコンサートにまつわる不安の思い出なとが、

とても穏やかな語りでつづられます。

 

朝鮮戦争従軍中の話は、凄惨な記憶がよみがえったために、

涙ながらの語りとなっていました。

 

それでも、全編に流れるピアノ曲、柔らかで温かみのある映像など、

全てがとても印象深く、心に残りました。

 

映画のクライマックスは、ホーク監督の依頼で開催された、リサイタルの場面です。

シーモアさんにとって実に35年ぶりのリサイタルで、

「ニューヨークでデビューした時と同じだけの時間を、準備に費やした」そうです。

 

会場となるスタインウェイ社で、ピアノの選定をするシーン。

そしてリサイタル本番のシーンも、映像の温かな雰囲気は変わりません。

そこで演奏されたシューマン「幻想曲 」第3楽章は、どこまでも深く、どこまでも瞑想的で、

終わってしまうのが本当に惜しい、いつまでもその余韻に浸っていたいと感じました。

早速「幻想曲」の楽譜を広げて弾いてみたのは、言うまでもありません。

 

 

映画の中で、イーサン・ホークの悩みに対する具体的な解決策は示されません。

それでも、シーモアさんの語りに耳を傾けているうちに、

心の底が温かくなり、自分の行動する力を信じられるようになりました。

映像を見ているだけでもそうなので、

実際にシーモアさんと接した方は、いっそう力を得られるのではないでしょうか。

 

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私は大きな音や真っ暗な所が苦手で、映画館にはなかなか足が向きません。

今回はケーブルテレビで配信されていたので、自宅でゆっくりと観ることが出来ました。

 

この映画では、心に留めておきたい言葉もたくさんあり、

その都度止めてメモしながら観られたことも、ありがたかったです。

 

素晴らしい映画に出会えて良かった!

紹介してくれたピアノの生徒に感謝です。

 

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