【2018.6.4/6.18  ホール練習】

 

 

ホールのグランドピアノを1時間2,000円前後で使える、ホール開放イベント。

練習でよく利用します。

今月は、横浜市のホール2ヶ所で練習することが出来ました。

 

4日は、旭区民文化センター「サンハート」の音楽ホール。

学生時代に友人達と一緒にコンサートを開催して以来です。

案内されて舞台袖に入ると、当時の記憶が一気によみがえり、とても懐かしかったです。

 

サンハートには、客席300席の「ホール」と100席の「音楽ホール」があり、

「音楽ホール」にはスタインウェイのフルコンが入っています。

小さなホールでフルコンですと、実際のコンサートでは音量の調節が難しいですが、

今日は一人で練習するだけですので、問題ありません。

天井も高めで、響きの良いホールです。

 

ピアノの音の出る仕組みは、どのピアノでも同じはずなのに、

スタインウェイはそっと触れるだけで音が始まるように感じます。

弱音のコントロールがとてもしやすく、色々な音色を試すことが出来ました。

強音も、倍音なのでしょうか、普段の練習では聞こえない響きが聞こえてきて、

とても豊かな音になります。

 

 

18日は、青葉区民文化センター「フィリアホール」(500席)。

4月に小林明代さんのヴァイオリンリサイタルでも演奏しましたが、

響きがとても自然で美しく、雰囲気も素晴らしいホールです。

 

ピアノはリサイタルで弾いたスタインウェイではなく、ヤマハのフルコン(CFV-S)でしたが、

やはり音の軌跡が美しいです。

急に上手くなったような気分になってしまうので、慎重に音を聴かなければいけません。

 

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来年5月6日(大型連休の最終日)にソロリサイタルをすることになりましたので、

今回は両日とも、弾こうと思っているプログラムをざっと通してみました。

途中で舞台袖にはけるところも実際にやってみて、流れを確認。

曲と曲の間も、家で練習している時より、かなり時間が要るように感じます。

ホールだと残響があり、前の曲の余韻を強く感じるからかもしれません。

 

ホール練習には、また来るつもりです。

リサイタルまで、きっとまた山あり谷ありだと思いますが、

元気に演奏出来ることに感謝して、楽しみを見つけながら練習を積んでいきたいです。

 

 

 

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【2018.5.20  日本グリーグ協会プロジェクト vol.19  グリーグ〜ノルウェー舞曲への誘い】

 

 

日本グリーグ協会主催のコンサートを聴いてきました。

グリーグのピアノ曲の中から、連弾も含め、様々な舞曲を集めたプログラム。

会場は、練馬区の大泉学園ゆめりあホールです。

 

「ノルウェー舞曲  op.35」 全4曲(連弾)

「25のノルウェー民謡と踊り  op.17 」 全25曲

(5人のピアニストによって、5曲ずつ演奏されました)

 

「抒情小品集」より  ハリング3曲/スプリングダンス2曲/ガンガル1曲

「交響的舞曲  op.64」 全4曲(連弾)

 

これに加え、ゲストの酒井絵美さんによる、ノルウェーの代表的な民族楽器・ハーディングフェーレの演奏が披露されました。

付随音楽「ペールギュント op.23」より第1幕のハリングと、伝承曲の舞曲3曲です。

ハーディングフェーレの演奏は、グリーグの「スロッテル」を勉強していた時に、

CDやYouTubeなどの資料を聴きまくりましたが、生演奏を聴くのは初めてです。

 

ハーディングフェーレはヴァイオリンに似た弦楽器で、主に舞曲の演奏に使われます。

4本の弦の下に4〜5本の共鳴弦が張られていて、調弦の種類は20以上あるそうです。

ピアノなどの伴奏はつきませんが、素朴でありながら複雑な響きがとても興味深く、

足で拍子を取りながら演奏される箇所も多くて、楽しく聴くことが出来ました。

 

久保春代さんと牧田照美さんによる「交響的舞曲」は圧巻でした。

ホールのせいなのか、ピアノそのもののせいなのか、ピアノの響きが今ひとつだなと感じていたのですが、

その中でも確実に音を響かせる技量、それを支える確固とした解釈に圧倒されました。

楽器に負けないとはこういうことかと、感じ入りました。

 

普通のコンサートとはまた違う、啓蒙活動的なプログラムではありますが、

その中でも楽しく聴けるように工夫された選曲や配列が、とても勉強になりました。

今後も、意欲的なプログラムを楽しみにしたいと思います。

 

 

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【2018.5.8  コンセールC(セー) 第88回演奏会  フランス歌曲の歴史シリーズU-27  グノーとビゼーの夕べ】

 

 

東京藝術大学名誉教授のメゾソプラノ・中村浩子先生主宰のコンセールC(セー)。

毎年フランスものと日本もののコンサートを開催されていて、今回で88回目。

昨年に引き続き参加させていただき、出演者9人中、5人の方の伴奏を致しました。

 

今回はフランスもので、今年生誕200年を迎えるグノーと、生誕180年のビゼーのカップリング。

歌曲とオペラアリアを組み合わせたプログラムです。

 

前半はグノー。

「ああ、つれない人」「君のいない私」 

「ボレロ」「春に」

「春の歌」「セレナーデ」

「どこへ行きたいの?」

「ミニヨン」「おいで、芝は緑だ」

 

オペラ「ファウスト」より「花の歌」

オペラ「ロメオとジュリエット」より「私は夢に生きたい」

 「ああ、何という戦慄が(毒薬のアリア)」

 

後半はビゼー。

「四月の歌」「アラビアの女主人の別れ」

「いにしえの歌」「てんとう虫」

 

オペラ「真珠取り」より「いつかのように」

オペラ「カルメン」より「不安にさせるものなどない」

「ハバネラ」「セギディーリャ」「ジプシーの歌」

 

歌曲をこれだけまとめて聴ける機会は貴重ですし、

アリアも清楚なジュリエットにミカエラ、尼僧のレイラ、そしてカルメン、

ズボン役(メゾソプラノが少年・青年を演じる)のジーベルと様々で、

一人のリサイタルで演奏するのは不可能な内容です。

ジョイントならではですね。

 

歌曲に続けてアリアを歌う際には、小さな工夫が取り入れられました。

歌い手は歌曲が終わっておじぎをした後、いったんピアノの端の方、

ステージ上手側の、スタンド花が飾られている辺りへ移動します。

完全にはけるのではなく、ちょっと場を外す感じです。

そして、アリアの前奏とともに、改めて舞台の中心に移動し、歌い始めます。

 

本当にちょっとした演出ですが、

歌い手もお客様も、歌曲からオペラの世界へと切り替えが出来て、

とても効果的な方法だと感じました。

 

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今回もどういうわけか弾き方が重くなってしまい、

音作りに思わぬ時間がかかりました。

弾き慣れているはずの伴奏音形でも、フランス歌曲に必要な軽やかさがなかなか出てきません。

さんざん試行錯誤を繰り返した挙句、結局はあれこれ考えず、楽な弾き方をすれば良い、というところに落ち着きました。

始めからそう弾いていれば良かったのに、なぜこんなに回り道をしてしまったのか…

春の日本歌曲コンクールや、ヴァイオリンリサイタルの曲調などが影響したのかもしれません…

 

多くの曲を平行して練習する際は、切り替えの難しさがついて回りますが、

奏法の切り替えが気分転換になることもあります。

それをうまく利用すれば良いのですが、

練習に追われる焦りが先走ってしまったようでした…

 

7月に、録画ビデオを見ながらの反省会があるそうです。

その頃には、ある程度落ち着いて自分の演奏を振り返ることが出来るでしょう。

今回の経験を糧に、また精進したいと思います。

 

 

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【2018.4.28  小林明代 ヴァイオリンリサイタル】

 

 

つややかな音色と芯の通った音楽性が素晴らしいヴァイオリニスト・小林明代さんのリサイタルで

6度目の共演を致しました。

 

プニャーニ「ラルゴ・エスプレッシーヴォ」(ヴァイオリンソナタ第3番 第1楽章)

ヴィターリ「シャコンヌ」

J.S.バッハ 「シャコンヌ」(無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第2番 BWVより)

 

ショーソン「詩曲  op.25」

グリーグ    「ヴァイオリンソナタ 第3番  op.45」

 

アンコール曲

ドヴォルザーク「我が母の教え給いし歌」

伝カッチーニ   「アヴェ・マリア」

 

 

今回は、グリーグ「ヴァイオリンソナタ」第1楽章のテンポが思っていたより遅く、

修正にかなり手間取ってしまいました。

同じ曲でもソリストによってテンポ感に違いがありますから、

速めでも遅めでも弾けるようにしておきますが、

今回はそれ以上に遅いテンポでした。

 

最近はSNSの影響もあるのか、速い演奏が多いです。

曲の冒頭でパッと耳を引きつけないと、先まで聴いてもらえない…という心配なのか、

作曲者の指示よりも、ずっと速いテンポで「飛ばしている」ような演奏も少なくありません。

小林さんの演奏は遅めでありながら、力強さや起伏に富んだ曲想は保たれていて、

真摯な表現と相まって、聴き入るものがありました。

 

 

やっとのことでテンポが修正出来ると、今度はペダリングの問題に直面しました。

グリーグの曲ではよく、ピアノの低音域が効果的に使われていますが、

このソナタでは、その低音をペダルで長く保持する指示が多いのです。

しかしその通りにペダルを使うと、響きがとても重くなってしまい、

遅いテンポだと、もう大変……。

あれこれやってみても、なかなか納得がいかず、

本番3日前に井上二葉先生のレッスンに駆け込むことになりました…

 

レッスンでは、あえて指示通りでないペダリングにする他、

ソステヌートペダル(グランドピアノの真ん中のペダル)の使用など、様々なアドバイスをいただき、

だいぶスッキリした響きにすることが出来ました。

作曲家の指示に固執していたことを、反省しました。

 

他にも、スタッカートのついている和音は、バス音だけほんの少し残してバランスを整える…

伴奏を様々なリズムで刻んでいても、刻みよりハーモニーの変わり目を大事にする…

広いアルペジオは、指先の力を抜いてハーモニー感だけで弾く…

などのアドバイスもいただきました。

 

レッスンで具体的なアドバイスを受けることで、実際に音が変わります。

それによって、イメージ出来る音の種類が増えていきますし、

今回のペダルのように、思い込みが強くて変えられずにいた部分も見直せます。

レッスンで安心したおかげか、その後の伴奏合わせはスムーズに進みました。

 

本番も緊張感はありましたが、終始前向きな気持ちで弾くことが出来、ホッとしました。

調律師・鯨井崇徳さんの仕上げも、ヴァイオリンに沿う柔らかい音色で、

かつ音量のバランスも取りやすく、助かりました。

 

………経験は大切にするけれど、

それが思い込みとなって自分をしばらないよう、気をつける……

今回、しかと胸に刻みました。

音楽性豊かな方との共演は、本当に幸せなことです。

それに呼応していくためにも、柔軟な感性を育んでいきたいです。

 

 

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