【2018.8.16 鎌倉童謡の会】
鎌倉童謡の会で伴奏を致しました。
逗子の童謡の会には2002年から伺っていますが、鎌倉は初めて。
藤原歌劇団、横浜シティオペラ所属のソプラノ・小田切一恵さんとご一緒致しました。
会場は、鎌倉駅近くの鎌倉市生涯学習センターホールです。
今年は「童謡誕生100周年」。
日本の童謡の礎を築き、北原白秋・山田耕筰らが数々の童謡を発表した児童雑誌「赤い鳥」。
その創刊から100年になるため、こう呼ばれているそうです。
今日の前半は北原・山田コンビの名作を中心とした選曲でした。
「すかんぽの咲く頃」「待ちぼうけ」「山の音楽家」
「めえめえ児山羊」(児山羊の鳴き声「めえー」をそれっぽく歌う、という指導が楽しかったです)
「野ばら」(シューベルト、ウェルナー、山田耕筰と3通りの表現を楽しみました)
「この道」
後半は海の歌を中心とした選曲。
「浜辺の歌」「海」
「かもめの水兵さん」(簡単で楽しい振り付け入りで)
「村祭り」(出だしの高音の出し方の指導が、とてもわかりやすかったです)
「ほたるこい」(輪唱にチャレンジ)
「初恋」「サンタルチア」「海に来たれ」「手のひらを太陽に」
地元で活動するフラダンスグループとウクレレグループの発表をはさみ、
小田切さんのソロで、橋本国彦作曲「お六娘」を演奏しました。
メロディーが人形浄瑠璃風の抑揚で書かれていて、コミカルかつ幅広い表現力の要る難曲です。
ピアノ伴奏も、三味線を模した音形や風刺の効いた表現が難しかったのですが、
小田切さんの美声と磨き抜かれたテクニック、曲への深い洞察力などに、
練習の段階から大いに刺激を受けました。
伴奏させていただけて、とても充実したひと時でした。
このホールのピアノは、スタインウェイのC型です。
10年くらい前に新しく入れられたピアノで、しばらくは鳴りが悪かったのですが、
今日はずいぶんと良くなっていて安心しました。
反応の良いピアノだと体の動きが先走りしやすいので、そこには気をつけました。
今年の夏は尋常ではない暑さが続いていますが、
その中でもご来場下さったお客様の歌声に、こちらもパワーをいただきました。
1990年発足の鎌倉童謡の会、28年の積み重ねの賜物だと感じます。
またお邪魔出来たら嬉しいです。
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【2018.8.11 フェスタサマーミューザ2018 鈴木雅明パイプオルガンリサイタルー真夏のバッハ 】
夏のクラシック音楽フェスティバルとして、すっかり定着した感のある、ミューザ川崎での「フェスタサマーミューザ」。
バッハ・コレギウム・ジャパンの創設者で東京藝大名誉教授、鈴木雅明さんのオルガンリサイタルを聴いてきました。
曲はオール・バッハ・プログラム。
有名曲をしっかり入れながら、イエス・キリストの物語をも感じさせる選曲です。
前半はバッハが若い頃の作品。
「幻想曲(ピエス・ドルグ) ト長調(全3曲)」BWV572
「パストラーレ へ長調(全4曲)」BWV590
・・・・キリスト降誕を祝う作品
「トッカータとフーガ ニ短調」BWV565
・・・・冒頭があまりにも有名。キリストの受難を思わせる曲調。
後半はソプラノの澤江衣里さんが加わり、アリアを3曲。
カンタータ「神よ、人は汝をひそかにたたう」BWV120より 第4曲「救いと祝福が」
カンタータ「楽しき狩こそ我が喜び」BWV208より 第9曲「羊は安らかに草を食み」
「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻」より 第1曲「ただあなたが共にいて下されば」BWV508(実際の作曲者は、G.H.シュテルツェル。)
・・・・「羊は安らかにー」は、NHK・FM「あさのバロック」のオープニングで使われていた曲。他の2曲はキリストの救いを讃える曲。
ソプラノのアンコールとして、
カンタータ「かくのごとく神は世を愛したまえり」BWV68より 第2曲「信仰深き我が心よ」
・・・・オーケストラパートの編成が大きめなので、譜めくりをされていたホールオルガニスト・大木麻理さんと連弾での伴奏でした。
オルガンの連弾、初めて見ました。
再びオルガンソロで、バッハ円熟期の作品。
「オルガン小曲集」より 第44曲「ただ愛する神に、ゆだねまつる者は」BWV642
「18のコラール集」より 第12曲「いと高き所にては、ただ神にのみ栄光が」BWV662
「前奏曲とフーガ ホ短調(楔形フーガ)」BWV548
・・・・重厚で雄大。大曲かつ難曲。別名「2楽章のオルガン交響曲」。
アンコールとして、
「キルンベルガー・コラール」より 第21曲「主イエス・キリストよ、我らを顧みたまえ」BWV709
バッハの曲は完全した年が分からないことが多いのですが、
今回は比較的作曲時期が分かっている曲で構成されていて、
若い頃の作品と円熟期の作品、その変遷ぶりをはっきりと感じることが出来ました。
キリストの物語を追うような構成も興味深く、よく練られたプログラムだと思います。
今日も当日券で入りましたので、席はステージ後方、パイプオルガンの演奏席のごく近くでした。オルガニストの手も足鍵盤も見える位置で、オルガンソロは耳と目両方の迫力で大満足。
バッハ作品の気高さを堪能しましたし、パイプオルガンはホールと一体であることを再認識しました。
ソプラノソロは後ろから聴く形になってしまい、清々しい歌声とオルガンとのタイミングがずれて聴こえてしまったのが残念…(完全に席位置のせいです)
でも開演前に20分間のロビーコンサート「オルガン・カフェ」があり、
澤江さんのソプラノと大木さんのポジティフオルガン(持ち運べるオルガン。エレクトーンくらいの大きさ。)を聴けましたので、良かったです。
今年はサマーミューザのメインであるオーケストラコンサートを聴けませんでしたが、
良いプログラムを良い演奏で聴くことが出来て、十分に楽しめ、勉強になりました。
来年はどんな内容になるのでしょうか。
楽しみにしたいと思います。
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【日本歌曲コンクールの伴奏】
時期が前後してしまいますが、この4月から5月にかけて、
日本歌曲コンクールの伴奏をしてきました。
他のコンサートの伴奏と並行で、毎週ステージに上がる日々でしたが、
本当に貴重な勉強、貴重な経験をさせていただきました。
コンクールは競争ですから、コンサートとはまた違うプレッシャーがあります。
ステージリハーサルが出来ないことも多く、どんなピアノが分からないまま、ぶっつけ本番。
それでも伴奏者のミスで足をひっぱるわけにはいきません。
独特の緊張感が何日も、時には何週間も続く、厳しい演奏条件です。
準備は大変でしたが、伴奏合わせやレッスン、そして本番と一連の作業を通して、
歌い手の方から本当に多くの刺激を受けました。
十分に仕上がっている曲でも、細部にわたって表現に磨きをかけ、
本番に向けて、体力と集中力を維持していく。
それらが非常に高いレベルで行われていく様に接し、頭が下がりました。
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審査は公開で、空いている時間は自由に客席で聴くことが出来ました。
その中に、田中悠一郎さんという素晴らしいピアニストがいらっしゃいました。
様々なコンサートでご活躍の上、数々の共演者賞も受賞されていて、声楽界ではおなじみのピアニストと思います。
今回初めて演奏を聴きました。
まず、音が深く美しい。
その多彩なタッチで、曲の情景や起伏が実にくっきりと表現されていました。
そしてその表現が、個性を感じさせるほど完成されたものであったことにも驚きました。
中田喜直「四季の歌」の前奏が始まった時、
情景が目の前にパーッと広がるように感じたことは忘れられません。
格の違いを思い知らされました。
コンクールでは何人もの伴奏を一手に引き受けていらっしゃったようで、
一人の伴奏で四苦八苦していた私とは大違いです。
田中さんの演奏を聴いて、今、自分の弾き方を見直しています。
特に下半身の支えと上半身の脱力を徹底して、
何かしようとする時の力み(りきみ)をなくしたいです。
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これまで様々な伴奏の機会に恵まれてきましたが、
日本歌曲について、表面的な勉強しかしてこなかったことを痛感しました。
まず、知らない曲が多すぎました。
コンクールの課題曲にも、知らない曲があったほどです。
ピアノのコンクールでもそうですが、課題曲になるのはやはり優れた曲であったり、
コンサートレパートリーの基本になる曲だったりします。
そこに知らない曲があったことに危機感を感じました。
日本歌曲は、クラシック音楽の長い歴史から見れば、まだ歴史の浅いジャンルですが、
今回調べてみて、明治・大正から昭和に至るまで実に様々な曲があることを再認識しました。
叙情的な曲ばかりでなく、激しい曲調やコミカルな曲調のものも多く、
とても奥の深いジャンルであることに気づかされました。
歌詞ひとつとっても、それぞれの時代背景を理解していなければ意味がよく分からず、
日本語だからといって安心していられません。
これは名著「日本歌曲百選 詩の分析と解釈」(塚田佳男・黒沢弘光著)の詳しい解説に、とても助けられました。
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伴奏は基本的に、頼まれなければ弾く機会がありません。
貴重な経験をさせていただけたことに、改めて感謝しています。
この経験を糧にして、少しずつでも進歩していきたいと願っています。