【2019.3.21 第282回 逗子童謡の会】
東京・横浜で桜が開花したこの日、逗子童謡の会にお邪魔致しました。
今回は、北鎌倉女子学園音楽科講師のメゾソプラノ・安東京衣子(あんどう けいこ)さんとご一緒です。
前半は、やはり春の歌を。
春が来た
どこかで春が
春の唄
さくらさくら
花の街
花
荒城の月
後半は、ふるさとを思う歌を中心に、
瀬戸の花嫁
あの素晴らしい愛をもう一度
峠のわが家
おお スザンナ
故郷の人々
ふるさと
遥かな友に
知床旅情
講師演奏のピアノソロでは、ショパン「別れの曲」と平井康三郎「幻想曲さくらさくら」を演奏しました。
「別れの曲」は、高校の卒業式で合唱に編曲されたものを歌ったことがあり、
今も卒業式シーズンになると、懐かしく思い出します。
この曲の原題は「練習曲」ですが、ショパンの伝記映画「別れの曲」でメインテーマで使われたため、「別れの曲」と呼ばれるようになったのだそうです。
今日は、この曲が右手でメロディーと伴奏を一度に弾くための練習であることを、実際に音を出しながら解説し、演奏に入りました。
安東さんのメゾソプラノソロは、3曲。
橋本國彦「お菓子と娘」、梁井貞「城ヶ島の雨」(岡本敏明による少し華やかな伴奏で)、
そして、ビゼー「カルメン」より「ハバネラ」です。
全く雰囲気の異なる3曲で、お客様が楽しく聴いて下さっている様子が、こちらにも伝わってきました。
この童謡の会で弾かせていただく度に感じますが、ここのお客様は、いつも演奏を楽しんで聴いて下さいます。
「客席からエネルギーをもらう」と聞きますが、これまで客席の「反応」を感じることはあっても、エネルギーというのはよく分かりませんでした。
こちらがエネルギーをお届けする側でなければ、と思っていました。
でも今日は、お客様からエネルギーと言いますか、良い波動のようなものを感じたように思います。
それを素直に受け取っていけば良いのかもしれない…
初めてそんな想いを抱きました。
そして少しずつでも演奏に還元して、客席とステージとで良い循環が生まれれば、
至福の時が生まれそうです。
次回は7月に伺う予定です。
精進とともに、気持ちの余裕・ゆとりも大切にして、またこのステージに帰ってきたいと思います。
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【2019.3.3 ジャン=ジャック・カントロフ ヴァイオリンリサイタル】
ヴァイオリンの巨匠ジャン=ジャック・カントロフさんのリサイタルを聴いてきました。
ピアノはパリ音楽院室内楽科教授・ピアノ科准教授で、ソロはもとより室内楽奏者として名高い、上田晴子さんです。
会場は、茅ケ崎市民文化会館・大ホール。
京都、名古屋、静岡、東京、茅ケ崎を巡るコンサートツアーだったそうですが、東京の2公演はチケット完売。
茅ケ崎で公演があって、ありがたかったです。
しかも、席は中央ブロックの真ん中・真正面です。
3種類のプログラムのうち、今日はフランス&ドイツプログラム。
ラヴェル:ヴァイオリンソナタ 遺作
(ラヴェル22歳・パリ音楽院在学中の作。単一楽章の作品。)
フォーレ:ヴァイオリンソナタ 第2番 ホ短調 op.108
ブラームス:ヴァイオリンソナタ 第2番 イ長調 op.100
ブラームス:ヴァイオリンソナタ 第3番 ニ短調 op.108
アンコール
ダンブロジオ:カンツォネッタ
ダンブロジオは、1871年生まれのイタリアのヴァイオリニストで、サラサーテの弟子です。
カントロフさんは今回の来日に当たり、
「フランスの知られざる優れた作品を、ぜひ日本の聴衆に披露したい」
という気持ちから、選曲されたのだそうです。
ラヴェルも38〜43歳の作(全3楽章)ではなく、音楽院在学中の作品。
フォーレも有名な「第1番」ではありません。
今日はブラームスとのカップリングでしたが、名古屋公演でと東京・武蔵野市民文化会館公演には、アンドレ・ジェダルジュ(1856〜1926)やガブリエル・マリー・グロブレーズ(1879〜1944)といった作曲家の作品も含まれていました。
ソナタばかりで重量級のプログラムにもかかわらず、2時間強があっという間でした。
素晴らしい演奏は例外なく、一曲が一筆書きで描くように大きくとらえられていて、
決して「木を見て森を見ず」にはなりません。
今日はさらに、リサイタル全体が一筆書きで描かれたような、スケールの大きさを感じました。
どこにも力み(りきみ)やハッタリのない、自然な音楽の流れ。
その中でも、ここぞというところでは、ハッとさせられるキレがあり、
全てのフレーズが本当に生き生きとしていて、聴いていて幸せを感じる演奏でした。
ピアノも素晴らしかったです。
今回は上田晴子さんのピアノもお目当てだったのですが、
一曲目、ラヴェルのソナタが始まった途端、そのキラキラとした音色でラヴェルの世界に引き込まれました。
フォーレやブラームスは音が多くて、バランスの取り方がとても難しいですが、
決してヴァイオリンにかぶらない音量なのに、お腹にズンとくる響き。
人並み外れた耳とタッチコントロールを堪能しました。
「ピアノが打弦楽器であることを忘れる」という褒め言葉がありますが、
まさにそのような音色でした。
すぐ真似したくて、帰宅して早速ブラームスの楽譜を取り出して弾いてみましたが、
そう簡単に出来るものではないですね…
軽妙洒脱などの言葉ではとても言い尽くせない、至高のアンサンブル。
他のプログラムも聴いてみたかったです。
今日聴いた音を大切に、自分の中で熟していくのを待とうと思います。
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【2019.2.28 ホール練習】
今月も行って来ました、ホール練習。
今日の会場は、横須賀市はまゆう会館です。
今日は主に、3月の「逗子童謡の会」の講師演奏で弾く曲を練習してきました。
はまゆう会館は鉄筋コンクリートの建物ですが、客席内は石造りのため、音がよく響き、音色の変化も聴き取りやすいです。
客席数は526。
「逗子童謡の会」の会場・逗子文化プラザなぎさホールが555席ですので、練習にはうってつけです。
オーバーホールの済んだグランドピアノ(ヤマハCF)も、だいぶ鳴りが良くなってきました。
録音を確認したところ、ショパン「別れの曲」は、メロディーをもっとデリケートに歌いたいと感じました。
平井康三郎「幻想曲さくらさくら」、終わりの方は結構ハッタリを効かせる部分です。
やはり広い所で弾く場合、もっと間合いが欲しい感じでした。
呼吸を意識して深く取り、たっぷり歌うと良いようです。
強い音で弾くところも、もっと確信を持った響きにしたいです。
新たに何かに気づかせてくれる、ホール練習。
本番前に欠かせないものになりつつあります。
今回も、歌う気持ちと冷静さのバランスの取り方が見えてきました。
この調子で修正し、弾き込みを重ねていこうと思います。
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