【2019.8.20-8.24  室内楽研究会】

 

元桐朋学園大学教授の雨田(あまだ)のぶ子先生門下生有志の会「信友会」が、先生のご自宅で開催している室内楽研究会。

今年で3度目の参加です。

猛暑の中、調布市の仙川まで通いました。

 

今年の課題曲は、モーツァルト「ピアノトリオ 第7番  K.546」またはベートーヴェン「ピアノトリオ第7番  op.97《大公》」で、指定された楽章の中から選択して受講します。

私は昨年に引き続きモーツァルトを選び、とりあえず全楽章を練習。

他の受講生とのバランスから、第2楽章と第3楽章で受講しました。

 

ご一緒下さるのは昨年と同じく、ヴァイオリンの河村知里先生、

そしてチェロは、雨田先生の夫君で元日本フィルハーモニー交響楽団のチェリスト・光弘先生。

光弘先生は、「アマネコ(音楽に遊ぶネコたち)」で著名な画家でもいらっしゃいます。

今年もお宅中に飾られた、直筆の絵の数々に迎えられて、研究会が始まりました。

 

初日は、午前中にのぶ子先生のグループレッスン。

受講生はここでいきなり、ヴァイオリン&チェロと合わせて弾かなければなりません。

何の打ち合わせもありませんので、相手の出方を伺いながら、探りながらの演奏になってしまいます。

それでも全員、通して演奏出来るのは、「相手の音を聴きながら弾く」ことが身についているからだと思います。

 

午後は1人45分の持ち時間で、弦の先生方との合わせ。

今年は午後の合わせも、のぶ子先生が聴いて下さり、アドバイスを下さいました。

 

今回、のぶ子先生が繰り返しおっしゃっていたのは、ペダリングでした。

「ピアノのテクニックは、手指が50%、ペダリングが50%」とのこと。

踏むタイミングのみならず、鍵盤(手)とペダル(足)のコントロールを完全に同化させよ、とのお達しです。

 

特に右のペダル(ダンパーペダル)には約2cmの踏み込みがありますが、

上下に「遊び」があり、そこはダンパー(弦の振動を止める装置)に影響を与えません。

この遊び部分からダンパーが上がり始める・下がり始める部分を聴き取り、踏み込む深さをコントロールしていくのですが、名人の足さばきは実に呼吸と相まっており、まさに「歌っているような」演奏となります。

 

他の受講生の演奏を聴いていて、ちょっとペダルに気を遣うだけで、音色がぐっとふくよかになるのが分かりました。

これこそが、グループレッスンの良いところですね。

 

1日おいて、もう一度弦の先生方と合わせをし、最終日は発表コンサート。

のぶ子先生いわく、

「皆さん、初めに聴いた時よりずっと上手になっている」。

毎回先生は、この短期間での成長を、とても楽しみにされているそうです。

 

来年の日程と課題曲も、早々に決まりました。

モーツァルトのピアノトリオ第4番(K.502)と、ベートーヴェンのピアノトリオ第1番。

ベートーヴェンの第1番は、音を合わせる箇所と主張する箇所のメリハリが明快で、「ピアノトリオの基礎」とも言われる作品ですが、私はまた弾いたことがありません。

これを機にチャレンジしてみようかな・・・

体調を整えて、来年も楽しみにしたいです。

 

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【2019.7.28  第286回  逗子童謡の会】

 

二期会、横浜シティオペラ所属のソプラノ・桑田葉子さんとご一緒しました。

今年は梅雨寒が長く続いていましたが、その梅雨も明け、一気に真夏の陽気。

暑さの中、たくさんのお客様がお出かけ下さいました。

会の積み重ねを感じます。

 

今日は、前半に初夏から梅雨?夏へかけての曲。

後半は、ふるさとを想う曲です。

 

さくら貝の歌(会のテーマ曲)

茶つみ

夏は来ぬ

かもめの水兵さん

雨ふり

雨降りお月

てるてる坊主

かたつむり

たなばたさま

海(「うみは広いな?」と「松原遠く?」の両方)

…「うみは広いな?」では、簡単な手話をしながら歌いました。

簡単とは言え、その場で手話を覚えて動きながら歌うのは、かなり頭の体操になります。

 

ソーラン節

知床旅情

浜辺の歌

夏の思い出

静かな湖畔(楽しい輪唱で)

椰子の実

ふるさと

 

そして講師演奏。

桑田さんのソロは、武満徹「小さな空」、リヒャルト・シュトラウス「献呈」、プッチーニ「歌に生き  愛に生き(オペラ「トスカ」より)。

私のピアノソロは、サティ「ジムノペディ 第1番」「ジュ・トゥ・ヴ」。

BGMの定番ともなっている2曲ですが、

知人が「会社の診療所の血圧計で血圧を測る時、ジムノペディが流れる」と言っていたことなどをお話ししました。

(この曲には、血圧を安定させる効果があるのでしょうか?)

 

「ジュ・トゥ・ヴ」の原曲はシャンソンですが、作曲者サティ自身の編曲によるピアノソロパージョンがあり、そちらは原曲にはない、少しにぎやかな挿入部分が追加されています。

そこに、和音を付点リズムで弾く箇所があるのですが、ここを歯切れよく弾くには、テクニックの正確さはもちろん、ピアノのアクションの状態にも影響されます。

 

これまで練習で弾いていたのは、自宅のピアノ、音楽教室のレッスン室のピアノ、そして先週行ったサンハートホールのヤマハCFX。

どのピアノも状態は悪くないのですが、この和音部分には苦労しました。

ところが、今日の逗子文化プラザ・なぎさホールのスタインウェイでは、実にすんなりと弾けてビックリ!

いったい何が違うのでしょうか…

ここのピアノの底力を、改めて感じました。

 

次回は、10月14日(月祝)の「逗子童謡の会  25周年コンサート」です。

プログラムの後半を桑田さんとご一緒し、ピアノソロ曲も演奏します。

会の皆様とお会い出来る嬉しさ、そしてまたここのスタインウェイに会えるありがたいさを心に留めて、秋に向けて精進したいと思います。

 

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 【2019.7.18  ホール練習】

 

横浜市旭区民センター・サンハート。

客席数100席の「音楽ホール」には何度も来たことがありますが、300席の「ホール」に来るのは初めて。

ピアノはヤマハの最新機種・CFXです。

 

今日は、7/28の逗子童謡の会・講師演奏で弾く、サティ「ジムノペディ 第1番」「ジュ・トゥ・ヴ」を練習してきました。

 

とても有名な2曲ですが、自分で弾くとなるとどういうわけか、なかなかテンポが定まりません。サティの指示はそれぞれ「ゆっくりと  苦しげに」「中庸の速さで」ですが、メトロノーム数字の指示もなく、演奏者によってかなりテンポに幅があります。

客席に録音機を置いて演奏を録音し、それを聴いて確認しながら練習を進めました。

 

「ジムノペディ」は、少し速めのテンポに修正。

「ジュ・トゥ・ヴ」は、テンポは良いものの、前腕の脱力がまだ足りませんでした。

4回繰り返される有名なテーマはその都度変化が必要ですが、それも微調整しました。

 

ここのCFXはまだ新しいのか、フェルト製のハンマーが柔らかく、弾くのに体力が要る印象でした。

それでもそのポテンシャルは計り知れなく、ハンマーがこなれて鳴りが良くなれば、とてつもない表現力を持つピアノだと感じました。

 

自宅での練習とは違った気づきの得られる、ホール練習。

またここのCFXにも会いに来られれば良いな、と思います。

 

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【2019.5.10/7.5若林顕セルフプロデュース  ショパン:全ピアノ作品シリーズ  ショパンを巡る旅  vol.6&7】

 

横浜市戸塚区民センターさくらプラザホール主催の、若林顕さんのリサイタルシリーズ。

ショパンのピアノ作品全曲を1年に5回、3年間で15回のリサイタルで網羅するコンサートの

2年目。

今年度は、しっかり5公演セット券を購入しました。

 

vol.6は「愛するピアノだけではなく」というサブタイトルで、

室内楽曲が入ったプログラムです

 

4つのマズルカ(第14?17番)  op.24

ピアノトリオ  op.8

(ヴァイオリン:鈴木理恵子さん  チェロ:安田謙一郎さん)

 

3つのワルツ(第2?4番)  op.34

即興曲 第3番  op.51

ポロネーズ 第5番  op.44

 

アンコール曲

チャイコフスキー:「6つの小品」op.19より  第4曲「夜想曲」

 

ピアノトリオは若さゆえか、やや音をたくさん書き込み過ぎ感のある曲で、

音の役割を確実に弾き分けられないと、やかましい印象になりがちです。

名手3人の演奏では、ヴァイオリンとチェロはどこまでも伸びやかに歌い、それをピアノが華やかにリードしていく構成がきちんと伝わり、曲のみずみずしさが浮き彫りになります。

 

即興曲第3番は、学生の頃、実技試験で弾いたことのある曲です。

有名な第4番(幻想即興曲)の陰にかくれてしまった感もあり、情熱的な要素は少ないのですが、とても抒情的で、心の奥深くにしみわたってくるような作品です。

対位法的に書かれているので、弾きにくいところ、覚えにくいところも多いですが、

若林さんの演奏はどの音にも余裕があり、さすがでした。

 

ポロネーズ第5番の迫真的な演奏には、ブラボーの声もかかりました。

曲を大きくつかんでいないと、必ずどこかで停滞感が出ます。

大曲には俯瞰・マクロな視点が不可欠だと、改めて感じました。

 

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vol.7は「こうして始まった」というサブタイトルで、

ショパンの初期の作品、ショパン唯一の連弾曲も入ったプログラムです。

 

ポロネーズ 第11番  KK.Ua-1

ポロネーズ 第12番  KKWa-1

3つのワルツ(第11?13番)  op.70

2つのノクターン(第7?8番)  op.27

ロンド  op.73

 

序奏、主題と変奏(ヤン・エキエル編曲) KK.Wa-6

(連弾共演:マッツ・ヤンソンさん)

 

4つのマズルカ(第18?21番)  op.30

バラード 第4番

 

アンコール曲

ラヴェル:ソナチネ  第2楽章

 

 

連弾曲「序奏、主題と変奏(ムーアの民謡風主題による)」は、 来年1/19のリサイタルでプログラムに入れようと考えていました。

ソロリサイタルに連弾が1曲入れば変化もつきますし、ショパンが連弾曲を作曲していたという珍しさも、お客様にアピール出来るのではと思っていました。

ただ残念なことに、自筆譜の最初と最後のページが欠如しており、後世の作曲家やピアニストが補筆完成させた版で演奏するしかない状態です。

そのせいだけではないと思いますが、他の傑作に比べるとやはり物足りなく、今日の名手2人の演奏をもってしても「内容の薄い曲」という印象が否めませんでした…

 

 

「全曲演奏」というコンサートシリーズでは、どうしても、内容の薄い曲が入ってきてしまいます。それでも、その作曲家の全貌を見ることは非常に興味深いことで、様々な全曲演奏が行われ続けるゆえんだと思います。

今回のシリーズは、ショパンが不出来と認めて出版しなかったような曲も全て演奏されますが、

曲としてのパワーがあまりない曲を、音楽的に豊かに聴かせるのは、並大抵のことではありません。

現実的なことですが、練習へのモチベーションを維持するのも大変だと感じます。

 

良い演奏には曲全体を俯瞰出来ることが必要ですが、良いコンサートは、プログラム全体を俯瞰している印象があります。

若林さんは3年15回のシリーズ全体を、俯瞰して演奏していらっしゃるのかもしれません。

 

次回は、未出版のマズルカやノクターンも入ったプログラム。

5公演セット券を購入して、本当に良かったです。

ショパン全ピアノ作品への旅路を、引き続き楽しみにしています。

 

 

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