【2019.11.12  西江辰郎ヴァイオリンリサイタル】

 

横浜港南区民センター・ひまわりの郷(さと)で開催されている「ウィークデーコンサート」。

今日は新日本フィルハーモニーのコンサートマスター、セレーノ弦楽四重奏団、アートマントリオなど多方面でご活躍のヴァイオリニスト・西江辰郎(にしえ たつお)さんのリサイタルでした。

以前に別のホールでフランス音楽のリサイタルを聴き、そのスマートでしなやかな演奏に感銘を受けました。

また聴きたいと思っていたヴァイオリニストです。

今日のピアニストはこれまた名手、リスト国際ピアノコンクールで日本人として初めて優勝された岡田将(おかだ まさる)さんです。

 

今日は、休憩なし・約70分のコンサート。

ヴィヴァルディ:ヴァイオリンソナタ

ヴィターリ:シャコンヌ

イギリス民謡/クライスラー編曲:ロンドンデリーの歌

クライスラー:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ

フランク:ヴァイオリンソナタ

 

アンコール曲

エルガー:愛のあいさつ

クライスラー:愛の悲しみ

 

表現の幅広さと端正な響きが同居している、西江さんの演奏。

これ見よがしなところがなく、心地よい波動を感じます。

 

当然のことながら、あいまいな音、何となく弾いている音がありません。

また、名手ほど曲が一つの大きなまとまりとなり、音楽の継ぎ目を目立たせないものですが、今日もその通り。

フランクのソナタは圧巻でした。

曲を完全に把握していないと、なかなかこのような演奏にはなりません。

 

今日は真正面の座席で、ピアニスト・岡田さんの手も良く見えたので、目でもじっくり観察が出来ました。

鍵盤の真上からピシッとはまった音。

手が大きくていらっしゃることもありますが、手首が前後(鍵盤の手前と奥)にぶれません。

オクターヴ奏も、2つの音がぴったりと響き、1つの音に聴こえました。

オクターヴ奏のテクニックの難しさばかりに気を取られていたことを、反省しました。

 

右手がウラ拍を刻む単純な伴奏型でも、不用意な動きがなく、端正な音色をキープ。

自分が弾く時、何となくリズムに乗った気分になって、あちこちで無駄な動きをしていたことに気づかされました

 

バロック時代のヴィヴァルディでは、ヴァイオリンはビブラートを控えめにした、古楽風の奏法。

ピアノも、手首を低めに構えた、腕の重さがかかりすぎないタッチ。

それから時代を追うにつれて奏法が変化していく様も、楽しめました。

プログラム構成も、とても勉強になります。

 

アンコールの2曲は、まさに自由闊達、緩急自在。

こういう演奏に合わせるピアニストは大変です。

それこそ全身を耳にしていないと合わせられません。

 

平日昼間で短めの時間、低料金のカジュアルなコンサート。

カジュアルとはいえ、今日のような一流の演奏、本物の演奏も増えてきました。

また良いコンサートを見つけて聴きにきたいと思います。

 

 

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【2019.10.25/11.3  イベントの伴奏】

 

毎年恒例のアマチュアコーラスイベントで伴奏をしてきました。

もう20年近く参加させていただいていますが、どういうわけか、毎回とても緊張します。

ご一緒する指揮者の方もそうおっしゃっていて、今回も2人で首をかしげていました…

 

このイベントでは演奏後、指揮者や作曲家、合唱指導者などの専門家による講評がいただけます。

コンクールではありませんので、いつも何かしら褒めて下さるのですが、

やはり講評となると、演奏にも緊張感が漂います。

 

また、伴奏では「足をひっぱらないように」というプレッシャーがつきものですが、

アマチュアの会では「プロなのだから、ちゃんと出来て当たり前」というプレッシャーも加わります。

プロの伴奏者がミスをしていては、話にならない…

皆さんに顔向け出来ない…

 

さすがにこのままではまずい、と思うようになりました。

プロとしての誇りは大切ですが、やはりいつものコンサートと同様に、「人事を尽くして天命を待つ」の心境でやりたいもの。

準備をやり尽くした上でのミスなら、仕方がない。

ただ、演奏の流れは崩さないようにする。

来年に向けて一皮むけるよう、気持ちを切り替えていきたいと思います。

 

 

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【2019.10.14  逗子童謡の会 25周年コンサート】

 

逗子童謡の会の25周年を祝うコンサートに、出演致しました。

定例会でリーダー(進行役)を務めている歌い手とピアニストが出演するコンサートで、

今回は桑田葉子さん(ソプラノ)と菅原洋平さん(バリトン)、

そしてピアノの菅原達郎さん(洋平さんのお兄様)と私の4人です。

 

今日のプログラムは、会主宰の天野伊豆子様、スタッフの皆様からのご提案を中心とした曲目です。出演者も交互に入れ替わり、目にも楽しいプログラムです。

 

ビゼー:歌劇「カルメン」より 

「闘牛士の歌」(菅原兄弟)/「ハバネラ」(桑田・高橋)

越谷達之助:初恋   滝廉太郎:荒城の月(菅原兄弟)

山田耕筰:からたちの花(桑田・高橋)

リスト:ラ・カンパネラ(菅原達郎)

 

シューベルト:アヴェ・マリア(桑田・高橋)/魔王(菅原兄弟)

ショパン:夜想曲 第2番   幻想即興曲(高橋)

ロシア民謡:黒い瞳   カプア:オーソレミオ(菅原兄弟)

プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より  「ある晴れた日に」(桑田・高橋)

 

最後に皆さんで「箱根八里」「野菊」「出船」「瀬戸の花嫁」、

そして毎月の定例会のエンディングソング「今日の日はさようなら」を歌ってお開きとなりました。

 

桑田さんの歌声と表現の深さは今日も輝かしく、「からたちの花」では吸い込まれそうになりました。

菅原さんご兄弟は、昨年春の「奏楽堂日本歌曲コンクール」で奨励賞を受賞され、私は偶然ですが客席でその演奏を聴いていました。

今日はさらに張りのある美声で、客席から登場して歌われた1曲目「闘牛士の歌」では、さっそくお客様を引きつけ、盛り上げて下さいました。

 

4人一緒のコンサートは初めてでしたが、菅原さんご兄弟は実力はもとより、気さくなお人柄で、気持ち良く演奏することが出来ました。

ご縁に感謝です。

 

終演後は、

「知っている曲、聴いたことのある曲ばかりで、とても楽しかった」

とのご感想をたくさんいただきました。

初めていらした方でしょうか、

「こんなに楽しいコンサートだとは、思っていなかった!」との声も。

休憩中に控室に顔を出して下さった桑田さんの知人も、

「すごく良い雰囲気ですよ」とおっしゃっていました。

私の知人も、

「よくあるワンコインコンサート・低料金コンサート(今回は一般1,000円・会員700円)とは、全くレベルの違うコンサートだった」

と言ってくれました。

 

これは、企画の勝利だと思います。

定例会にいらっしゃるお客様のニーズを感じとった、絶妙な選曲とリーダーの人選。

誰がどんな曲を演奏するかまで決められていたので、作りたいコンサートのイメージが、とてもはっきりしていらしたのだと思います。

 

25年前、逗子市役所のロビーを借り、折りたたみ椅子を並べた手作りの会場で始まったという、逗子童謡の会。

お客様が増え、会場も2005年開館の逗子文化プラザ・なぎさホールへと移り、毎月開催を重ねてこられたとのことです。

チラシに「明るく、楽しく、皆様と共に」とキャッチコピーが載っていましたが、まさにその通り。お客様の気持ちを取り入れる柔軟さ、そして何より、主催者側がいつも楽しんで開催していること。

本当に見習いたいです。

これからまた30周年、40周年と歴史を重ねていかれますことを、願ってやみません。

 

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