【2020.3.26 コンサートの中止】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、伴奏に伺う予定だった2つのコンサートが中止になりました。
3月7日・逗子童謡の会と、4月19日・小林明代ヴァイオリンリサイタルです。
両日とも、伴奏に加えてピアノソロ演奏も依頼されており、準備に励んでいましたが、
この状況にあがなうことが出来ず、残念です。
3月の逗子童謡の会は、ホールが閉鎖となったため、半ば強制的な中止です。
4月のヴァイオリンリサイタルは、ホールの方針はまだ未定ですが、
ウイルス感染がまだ拡散状態にあることや、ご高齢のお客様が多いこと、
いつなら大丈夫なのか目処も立たず、延期もままならないことから、中止のご判断に至りました。
主催者の方のご無念は、察するに余りあります。
いつか必ず、このご苦労が報われることを願います。
自分が主催するコンサートだったらどうするか、色々と考えました。
未だに不明なことの多い、新型ウイルス。
お客様やスタッフへの感染リスクを考えると、自分の想いを強行するのも、はばかられます。
著名なアーティストやオーケストラは、ライブ配信を行う方も多いようですが、
自分がやったところで、果たして視聴していただけるものだろうか…
そんな中、4月のリサイタル中止を決断されたヴァイオリニスト・小林明代さんの、
「(無観客で演奏し)録音だけでも残しておく」という考えも良いように思いました。
ホールの閉鎖が解除されていることが前提ですが、
演奏へのモチベーションを保てて、自分の中でもけじめがつけられるように思います。
状況が許せば、身内の方など、ごく近しい数名のお客様をお呼びしても良いかもしれません。
どうすれば周囲に大きな負担をかけることなく、自分の心も納得させることが出来るのか…
自分なりの答えが出るまで、考えたいと思います。
・・・・・・
9年前・2011年の東日本大震災では、直後のコンサートが中止になり、
その後のソロリサイタルも、開催が危ぶまれました。
私はその時、「被災者の方々のほうが、ずっと大変なのだから」と、自分の辛さを抑えこんでしまい、
ウツ状態になりかけました。
今回、積み重ねてきた練習が報われない悔しさは、自分にもある…
それをきちんと受け止めて、自分の心をケアしていこうと思います。
今回の準備が全てムダになったわけではなく、
磨いてきた耳と技術が、自分の中に蓄積されていることを感じます。
ほんの少しでも前進出来ていることが、きっと心の回復の役に立つ…
そう信じて、また新たな気持ちで取り組んでいきたいです。
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【2020.2.21 鎌倉童謡の会B 第250回定例会】
250回目を迎えられた鎌倉童謡の会Bで、伴奏を致しました。
Aは鎌倉芸術館、Bは鎌倉市生涯学習センターでの開催。参加者が増えて2会場になったそうです
リーダーは藤原歌劇団、横浜シティオペラ所属のソプラノ・小田切一恵さんです。
鎌倉市生涯学習センターが工事中のため、鎌倉駅近くの鎌倉市婦人子供会館ホールでの開催です。このホールは100脚ほどの椅子を並べられる、フラットなスペースで、
ピアノはヤマハの C5です。
オープニングの「ハッピーバースデー」に続いて、前半は冬の歌。
今日はお天気も良く、3月並みの暖かさでしたが、「冬の歌の歌い納め」です。
「たきび」・・・か行の音(「たきび」の「き」など)を抜く歌い方で、楽しい頭の体操もしました。
「雪」「冬の夜」「冬景色」「冬の星座」
「ペチカ」・・・ロシア式の暖炉のようなもの。
北原白秋の詩のタイトルはロシア語の発音に近い「ペィチカ」となっていますので、
今日は「ペィチカ」と歌うことにチャレンジしました。
「かあさんの歌」「遥かな友に」「早春賦」
後半のテーマは、白を題材・イメージにした歌。
タイトルや歌詞に「白」が含まれている歌を歌いました。
「赤い花白い花」「赤い帽子白い帽子」
「ゆりかご」「北上夜曲」
「スキー」「山小舎の灯」「銀色の道」「知床旅情」
「うれしいひな祭り」
「息を吸う時は、良い香りをかぐように」
「目線は、前の方の頭の少し上に」
「スタッカート(音を短く切る歌い方)の時は、顔も笑って、高笑いをするように」
等々、発声のアドバイスで、皆さんの声がはっきりと変わります。
それを聞くのも楽しみの一つです。
小田切さんのソプラノソロは、今回も前半と後半に分けて演奏されました。
前半は日本歌曲で、今年没後20年を迎える中田喜直の「たんぽぽ」と大曲の「歌を下さい」。
後半はオペラアリアで、ヘンデル:歌劇「セルセ」より「オンブラ・マイ・フ」、モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」よりスザンナのアリア「とうとうその時が来た」。
小田切さんの演奏は、いつも音楽の把握が並外れていて、全く集中が途切れません。
ツヤのある美声と相まって、今日も会場の雰囲気が一変しました。
最後にエンディングテーマ「今日の日はさようなら」を歌い、お開きとなりました。
新型コロナウイルスの影響で、コンサートやイベントにも中止や延期が出始めていました。
今回、主催者の皆様は熟慮の末、楽しみにされている皆様のために、予定通りの開催を決められたそうです。
入口の受付では、ご来場者様の手に消毒用アルコールをスプレーしながらお迎えをされていました。その中でも、お天気に恵まれたこともあり、たくさんのお客様がご来場下さいました。
お客様の笑顔、主催者の皆様の笑顔を見て、私も本当にホッとしました。
生涯学習センターの工事が終わり、リニューアルオープンしたら、また小田切さんとご一緒にお邪魔する予定です。
ウイルスが沈静化していることを、切に願います。
今日のように会場が笑顔に包まれる会になるよう、しっかり準備したいと思います。
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【2020.1.31 若林顕セルフ・プロデュース ショパン:全ピアノ作品シリーズ ショパンを巡る旅 vol.10】
横浜市戸塚区民センター・さくらプラザホールで開催されている、若林顕さんのリサイタルシリーズ。
3年間15回で、ショパンの全ピアノ作品が演奏されるシリーズで、今日はvol.10です。
サブタイトルは、「オペラから生まれたヴィルトゥオジティ」。
オペラの一曲をテーマにした「華麗なる変奏曲」にちなんでいるそうです。
前奏曲 嬰ハ短調 op.45
即興曲第2番 嬰ヘ長調 op.36
・・・繊細な曲なので、細い音色で演奏するものと思っていましたが、若林さんの豊かな響きで聴くと、とても内容の深い曲だと感じます。
3つのマズルカ op.50
ギャロップ・マルキ 変イ長調 KK.Ⅳc/13
・・・「マルキ」とは、ジョルジュ・サンドの飼っていた犬の名。
ショパンには珍しく、冗談のような楽しい曲ですが、大まじめな感じで弾くことで、より面白みが出ているように感じました。
3つのエコセーズ op.72
華麗なる変奏曲 op.12
2つの夜想曲 op.32
ピアノソナタ第3番 ロ短調 op.58
・・・全てが楷書、というわけではなく、自由なところもある演奏。
全4楽章・30分間があっという間でした。
アンコール曲
バッハ(ジロティ編曲):前奏曲
「平均律第1巻 第10番 ホ短調」の前奏曲を、ロ短調に移調してアレンジされた作品。
同じロ短調の「ピアノソナタ第3番」からのつながりが、美しかったです。
こういうつなげ方もあるのですね。
自分のリサイタルを終え、心身の疲れがまだ取り切れていない時期でしたが、
内容の豊かな演奏を聴き、「次は何を弾こうかな…」という気持ちが出てきました。
今シーズンは、vol.6からvol.10までの5回通し券を購入して聴きました。
勉強が目的ですが、この1年間、2ヶ月ごとの楽しみが出来たことに、とてもワクワクしました。
毎回同じ席で聴くというのも初めての経験で、オーケストラの定期会員になったような気分です。
今日、最後のチケットを使う時、少し寂しいような気持ちになりました。
最後の5回は、今年の5月からスタートとのこと。
また通し券で行けたら良いですね。
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【2020.1.19 ソロリサイタル】
横浜みなとみらいホール小ホールで、リサイタルを致しました。
みなとみらいでは2017年、2019年に続き、3度目のリサイタルです。
今回は「ショパン 心の歌」と題した、オール・ショパン・プログラム。
2010年(ショパン生誕200年)以来、10年ぶりのオール・ショパンです。
有名な曲を多く取り入れながら、ほぼ作曲年代順に並べ、
ワルツ、マズルカ、夜想曲は、雰囲気が対照的な曲を選びました。
ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-2「小犬のワルツ」
ワルツ 第10番 ロ短調 op.69-2
マズルカ 第6番(第5番) 変ロ長調 op.7-1
夜想曲 遺作 嬰ハ短調
練習曲 第3番 ホ長調 op.10-3「別れの曲」
練習曲 第12番 ハ短調 op.10-12「革命」
幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
前奏曲 第15番 変ニ長調 op.28-15「雨だれ」
夜想曲 第13番 ハ短調 op.48-1
ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
マズルカ 第40番(第38番) 嬰ヘ短調 op.59-3
舟歌 嬰ヘ長調 op.60
ワルツ 第9番 変イ長調 op.69-1「別れのワルツ」
幻想ポロネーズ 変イ長調 op.61
アンコール曲:夜想曲 第2番(映画音楽風のアレンジで)
「舟歌」と「幻想ポロネーズ」は大曲ですが、最後の盛り上がりまでは淡々とした曲調です。
ドラマチックなバラードやスケルツォが入れば、もっとメリハリがついたかもしれません。
アンケートに「バラードやスケルツォも聴きたかった」というご意見もありましたので、
今後はその辺りも考慮したいと思います。
楽譜は、ナショナルエディション(通称・エキエル版)と、ペータース社・新批判校訂版の2種類を使いました。
ショパンの作品は、今なお研究が進み、新たな資料が見つかっています。
楽譜も新しい版が編まれていて、エキエル版もペータース版も、これまでの版と音やリズムの違うところがたくさんあります。
今回は入手出来た中で最も新しいこの2版で演奏することにし、プログラムにもそのことを書きました。
ピアノを弾けるお客様や、楽譜をよくご存じのお客様は、版による違いも楽しんで下さったようです。
今回は大学入試センター試験と重なっていたこともあり、
準備期間中、受験生向けの新聞記事が何かと励みになりました。
中でも、2学期4ヵ月間(9月から12月)の使い方の記事が面白かったです。
「10月は苦手分野のあぶり出しを本格的に。」
「11月は主な模試も最後になるので、納得のいく結果を残せるように。」など、具体的に月ごとの目標が提案されていました。
「大晦日の除夜の鐘が鳴り終わるまでに『やりたいことは全てやり終えた』と言える状態を作るのが大事」なのだそうです。
元旦には嫌でも「いよいよ入試が近づいた!」という気持ちになるので、
それを焦りや不安にするか、自信にするかは、この4ヵ月の過ごし方次第とのこと。なるほど!
「模試」は通し練習、「苦手分野」は文字通り苦手な箇所など、ピアノの練習に置き換えて取り組んでみました。
リサイタルの準備には孤独がつきものですが、受験生達と一緒に頑張っているような気持ちになれて、精神的にかなり助けられました。
・・・初めてのソロリサイタルから、今年でちょうど20年。
今日は37回目のリサイタルでした。
昨年の夏に、父が急逝。
突然の別れの衝撃に加え、この半年間は、諸々の手続きなど山のような作業に追われる日々でした…
父はあまり音楽に興味がありませんでしたが、努力していることは喜んでくれていたので、
リサイタルも供養の一つになると信じ、気持ちを切り替えてピアノに向かい続けました。
父はよく「人生、山あり谷ありだよ。」と言っていましたが、
振り返ればこの20年間、リサイタルだけとっても、色々なことがありました。
地震や噴火などの災害、インフルエンザの流行や自身の病気などで、開催が危ぶまれたことも思い出します。
その時も、お客様のお励ましやホール職員の方のご協力など、周囲の方々に助けられ、持ちこたえてきました。
それらの積み重ねで20年続けてこられたのだと思うと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになります。
横浜みなとみらいホールは、工事のため、来年2021年から再来年2022年10月までの1年10ヵ月間、休館になるそうです。
ここでのソロリサイタルはしばらくお休みですが、閉館前の今年11月15日(日)、フルート・オーボエ・ピアノのトリオコンサートを開催することになりました。
またこのステージで演奏出来ることが嬉しく、張り切って準備しています。
先の見えない世の中、どんな形で音楽に携わっていけるかは分かりません。
でもこの20年に感謝し、これからの1日1日を大切にしていきたいと、気持ちを新たにしています。身体には十分に気をつけて、音楽の喜びを忘れずに精進していきます。
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