【2020.8.1  コンサートの中止】

 

新型コロナウイルス感染拡大防止のための、緊急事態宣言。

その解除から、3ヶ月近くが経ちました。

私は今のところ無事に過ごしていますが、

3月~年内のコンサートやイベントは、全て中止になってしまいました。

 

11月に横浜みなとみらいホール小ホールで予定していたトリオコンサートも、

フルートの青木三木栄さん、オーボエの江原泰子さんと再度オンライン会議で話し合い、

中止することにしました。

11月の日曜日という、とても良い日にホールが取れて喜んでいましたので、

本当に残念でなりません。

 

「横浜市文化施設 感染防止対策ガイドライン」を守っての開催は可能で、

最後まで3人で悩みました。

しかし、収束の気配が一向に見えず、人が集まる場所へ行きづらい中、全く集客が読めません。

決まり通り「客席数を定員の半分(220席)」にしたところで、

この状況で果たして220人ものお客様を呼べるのだろうか…?

せっかくやるなら、多くのお客様をお呼びしたいのが本音です。

 

「やるなら行くよ」と応援して下さる方もいらっしゃいましたが、

そこに甘えて開催すれば、そのようなお客様に無理を強いることになりかねません。

 

また、生徒達の発表会や地域のイベントが次々と中止になる中、

自分のコンサートの宣伝をするのは、非常に心苦しいものがあります。

 

他の方法も模索しましたが、サロン的な会場で規模を小さくして開催しても、

かえって3密のリスクが上がりそうです。

演奏動画の配信も、視聴していただける可能性が低いと思われ、

結局、開催そのものを断念するに至りました。

 

「お客様に安心して足を運んでいただける環境で、晴れやかに3人でステージに立ちたい」

その想いで一致し、将来に望みを託すことにしました。

 

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"心にポッカリと穴があく"というのは、このような状態なのでしょうか…

積み重ねてきたことが報われない無力感は、想像以上のものでした。

 

技術の維持のための練習も、砂を噛むようで、ピアノに向かうのが辛い毎日…

いつかまたコンサートを開くことを目標に、練習を工夫しようと思っても、

心が全くついていきません。

目標がないと頑張れない、自分の弱さをつくづく思い知らされました。

 

 

この夏はオリンピック・パラリンピックの延期、高校野球全国大会の中止など、

スポーツ界にも激震が走りました。

選手はじめ関係者の対処法を参考にしたくて、

新聞などで様々な記事を読んでいたのですが、

中でも、元高校球児の斉藤哲男さん(95歳)の記事(2020年5月22日 朝日新聞朝刊)が印象に残りました。

夏の高校野球が戦争のあおりで中止となった1941年(昭和16年)に、

横浜商業高校の野球部で、副主将だった方だそうです。

 

斉藤さんは、

「自分自身ではどうしようもないことで、それぞれの時代の出来事として受け止めるしかない」

と語りながらも、

「野球に打ち込んだ日々は、決して無駄にならない」

「高校時代の経験がきっと、その後の人生で大きな支えになってくれるはず。

そのことは忘れないでほしい」

と選手達へエールを送っていました。

 

同じ悲嘆に暮れ、厳しい時代を乗り越えられた方の言葉だけに、とても重みを感じました。

記事を読み返し、私も「くよくよせず、この経験が自分の肥やしになると考えよう」

「練習も、身が入らない日があっても良いから、今出来ることを続けよう」と思えるようになりました。

 

最近は少しずつですが、ピアノを弾く喜びも戻りつつあり、嬉しい変化を感じています。

心とうまく折り合いをつけながら、この危機をしなやかに乗り越えていきたいと思います。

 

 

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