【2023.10.19  井上二葉先生のリサイタル】

 

 

井上二葉先生のソロリサイタルを聴いてきました。

会場は銀座の王子ホール。

バッハとフランスものを組み合わせたプログラムです。

 

 

バッハ:幻想曲とフーガ イ短調 BWV904

デュティユ:「波のまにまに」より 「バッハを讃えて」

フォーレ:小品集 op.84(全8曲)

 

バッハ:トッカータ第1番 ニ短調 BWV913

オネゲル:前奏曲 〜 アリオーゾ 〜 フゲッタ  BAC H

サマズイユ:組曲 ト調(全6曲)

 

 

井上先生は数年前に、「もう大きな会(リサイタルなど)はやらない」とおっしゃっていました。

その後、大勢の方が出るコンサートで何度か演奏されたところ、

「まだ弾けるのなら、ぜひ一人の会を」と請われ、リサイタルをしようと決心されたのだそうです。

 

腕の重さを、自然に指先へ乗せた奏法。

これ見よがしな動作は皆無なのに、響かせるべき音がくっきりと浮かび上がり、

一音一音の響きが美しくつなげられていきます。

 

レッスンでも「指は腕の重みを受け止めるだけ」とご注意を受けますが、

その教えを目の当たりにした思いです。

 

大きな拍手が鳴りやまず、何とアンコールを3曲も弾いてくださいました。

 

〈アンコール曲〉

バッハ:コラール前奏曲

バッハ:アリオーソ

クープラン:葦

 

アンコール曲まで全てを暗譜で演奏された先生。

自我を排し、ひたむきに作品に対峙され、その美しさを聴き手にまっすぐ届けられていることに、改めて頭が下がりました。

最後まで毅然と、かつ優雅に拍手に応えるお姿も、とても素敵でした。

 

遠い、遠い目標ですが、私もそうありたいと願わずにはいられません。

 

 

 

【2023.10.16  ホール練習】

 

 

横浜市戸塚区民センター「さくらプラザ」ホールの「スタインウェイを弾いてみませんか」。

2,500円で1時間、ステージ上のスタインウェイD-274(フルコンサートグランドピアノ)を自由に演奏できます。

8月に続き、運良く今月も当選し、2時間練習してきました。

 

来年1月7日のリサイタルプログラムを通して演奏し、録音しました。

今日の目的は、テンポが走っていないかどうかの確認。

そして、力んだりあおったりしているところがないかのチェックです。

 

長かった猛暑が過ぎ、ようやく爽やかな気候になってきたためか、ピアノのタッチも心なしか軽やかな感触でした。

 

 

後日に録音を確認すると、走っていたテンポは修正できていて、ひと安心。

思った音色になっていないところ

ここしばらくは、バス(低音)の動きを特に意識して練習していましたが、

バスに偏って聴いていたため、バランスが悪くなっていました…

もっと冷静に、全体を俯瞰(ふかん)して聴かなければ!

 

ほかに、音の粒立ちがもう少し欲しいなと感じるところも多かったです。

まだ脱力が不十分で、腕の重みがまっすぐ鍵盤におりていないように感じました。

 

毎度のことですが、ホールでの練習は、出来ていないところが本当によく分かります。

あと1、2回やりたいと思っていますが、その頃はもう、本番を想定したリハーサルになりそうです。

本番同様、しっかり体調を整えて臨みたいと思います。

 

 

 

【2023.10.1  鈴木重夫歌曲集 出版記念コンサート】

 

 

成城学園初等科で音楽教育にたずさわってこられた作曲家・鈴木重夫さんの歌曲集出版記念コンサートで、伴奏をさせていただきました。

演奏はソプラノの小田切一恵さんと村田望さん、バリトンの竹村淳(あつし)さんです。

 

〈プログラム(カッコ内は演奏者)〉

 

ひ・とり(オープニング・鈴木さんピアノソロ)

蜻蛉に寄す/海の向こう(竹村さん)

海を見てると(三重唱)

はくしょんがでそう/赤いつばき白いつばき(小田切さん)

銀河の子守歌/白木蓮(村田さん)

上野毛駅でおりて(鈴木さんピアノソロ)

挨拶(鈴木さん・髙橋ピアノ連弾)

 

靴の道/タンゴ二〇二〇(竹村さん)

たましいの忘れ形見/ひ・とり(村田さん)

誰かがどこかで(小田切さん・村田さん二重唱)

星の訃報/いつもきがかり(竹村さん)

三つのシャンソン(小田切さん)

 

 

私は全ての伴奏と連弾、計18曲を弾かせていただきました。

初めて弾く曲、それも初めての作曲家の曲は、その手法や語り口に共感し、覚えていくところからのスタートですので、準備に時間がかかります。

今回も、音が身体に入っていくまでとても苦心しました。

特に最後の「三つのシャンソン」は、詩も比喩が多くて解釈が難しかったです。

 

歌手の皆さんの実力は素晴らしく、輝くばかりの美声、日本語の美しさ、表現力の高さに圧倒されました。

私は日頃、人の声に勝る楽器はないと思っていますが、お三方の美声には本当に癒される思いでした。

 

最後の曲での小田切さんの渾身の表現には、こみあげてくるものがありました。

満席のお客様の雰囲気や拍手も温かかったです。

 

後日、小田切さんからのメールには、

「初めて取り組む作品は、やはり難しさを感じます。

演奏を重ねていく中で、作品と共に成長していきたいと感じるコンサートでした。」

とありました。

 

私もたくさんのことを勉強させていただきました。

これを糧に、これからも真摯に作品に、そしてステージに向き合っていきたいと思います。

 

 

【2023.9.14  鎌倉童謡の会 第273回定例会】

 

今年も鎌倉童謡の会で伴奏をさせていただきました。

今日のリーダーは小田切一恵さん、

横浜シティオペラや藤原歌劇団でもご活躍、来月の出版記念コンサートでもご一緒するソプラノ歌手です。

 

オープニング曲「ハッピーバースデー」に始まった会。

前半はテキスト「愛唱名歌」から"旅とロマンス"をテーマに小田切さんが選曲。

 

汽車/線路は続くよどこまでも/静かな湖畔/ピクニック/旅愁

赤い花白い花/大きな古時計/世界は二人のために

ハナミズキ/時代

 

「ハナミズキ」と「時代」は、テキストには載っていません。

童謡の会では近年、テキストにない曲も採り入れているとのこと。

ステージ上に歌詞がプロジェクターで映されるので、お客様にはそれを見て歌っていただきます。

 

「ハナミズキ」はイントネーションが独特で、言葉本来のアクセントとずれているところが多いです。

歌うのが難しい曲ですが、皆様良く歌っていらっしゃり、驚きました。

 

 

後半は小田切さんのミニコンサートで始まりました。

 

赤いつばき白いつばき/はくしょんがでそう(鈴木重夫)

たーんきぽーんき/歌をください(中田喜直・・・今年は生誕100年)

オペラ「つばめ」より ドレッタの夢(プッチーニ)

 

そしてテキストから皆さんで歌うのは、"初秋、中田喜直生誕100年”がテーマ。

 

めだかの学校/夏の思い出/小さい秋みつけた/雪の降る町を

虫のこえ/村祭/野菊/秋の夜半/故郷の空/どんぐりころころ/埴生の宿

さらにプロジェクター投影の歌詞を見ながら、「秋桜(コスモス)」を歌いました、

 

そしてエンディング曲「今日の日はさようなら」でお開きとなりました。

 

昨年伺った時はまだコロナ禍が厳しい頃でしたが、今回は歌う楽しさをしみじみと感じられました。

小田切さんの明るくかつ丁寧な指導で、お客様がとても集中していらっしゃり、

ミニコンサートが始まると、小田切さんの美声に客席が静まりかえりました。

そうやってお客様の雰囲気を肌で感じることも、コンサートの醍醐味です。

 

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今日は先月の試演会と同じ会場でした。

先月は音が伸びず、ペダルも思うように効かなくて困りましたが、今日は良い状態でホッとしました。

何か調整が入ったのでしょうか…同じピアノと思えないほど変わっていました。

ホールの方に伺ってみれば良かったですね。

 

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