【2018.11.25    ダルトン・ボールドウィン氏をお迎えして   ー歌手とピアニストのためのマスタークラス】

 

 

横浜シティオペラ主催のマスタークラスを聴いてきました。

ダルトン・ボールドウィン氏は、バリトン歌手ジェラール・スゼーの常任ピアニストを務めるなど、名高い演奏家の伴奏者として、大変著名なピアニストです。

フランスの芸術文化勲章である、シュヴァリエ賞も授与されています、

先月にオペレッタを観に行った際、この案内チラシを見て、ぜひ聴講したいと思っていました。

 

今回取り上げられた曲は全て歌曲で、以下の通り。

 

シューベルト:ミューズの子/糸を紡ぐグレートヒェン

リヒャルト・シュトラウス:ダリア

デュパルク:波と鐘

ショーソン:エベ

ドビュッシー:グリーン(「忘れられし小歌」より)/ビリティスの歌(全3曲)

サティ:ランピール(エンパイア)劇場の歌姫

アーン:クロリスへ

プーランク:セー

 

受講生は横浜シティオペラの会員さんが中心で、それぞれピアニストを同伴されての受講です。

皆さんとてもレベルの高い演奏で、さながらコンサートを聴いているようでした。

3時間超の講習時間があっと言う間でした。

 

レッスン内容も、ひと言ひと言が実に的確。

それを受講生が即座に咀嚼(そしゃく)され、演奏が変わっていく様を見るのは爽快でした。

ディミヌエンド(だんだん弱く)やレガート(なめらかに)のかけ方、間の取り方など、

本当にちょっとしたことで、演奏の表情がぐっと豊かになります。

そのちょっとしたことに気づくのが自分では難しいことが多いので、聴講もとても勉強になります。

 

さらに母音の明るさと暗さ、子音の効かせ方など発音に関することや、

繰り返し時の変化のつけ方まで、多岐にわたる指摘。

ミュージックホールの歌手を描写する「ランピール劇場の歌姫」では、

「“excitant” (刺激的)は大衆的な言葉なので、あまり品良くなく、少し胸声を使うと良い。」

とのアドバイスが興味深かったです。

 

1人あたりの時間が30分くらいでしたので、ピアニストへのアドバイスは少なめでしたが、

時おり弾いて下さるピアノがとても表情豊かでした。

特に「ビリティスの歌」の1曲目「パンの笛」。

虫や鳥、カエルの鳴き声が聞こえるところの音色が印象に残りました。

 

また、「ビリティス」の3曲目「ナイアードの墓」にある1小節の間奏は非常に複雑なハーモニーで書かれていますが、

「ここはドビュッシーの全てが含まれているハーモニー」であるとのこと。納得です。

伴奏はソロより大きな音量で弾くことが出来ません。

でもその限られた範囲内で、表現をしつくさなければなりません。

控えめになりすぎたり、何となくきれいなだけになったりしやすいことを反省しました。

 

若い受講生に対しては、

「もっと年を取って下さい(笑)」とコメントされることも何度かありました。

ピアノ曲でもそうですが、音楽には年齢を重ねて、人生経験を重ねて初めて分かること、腑に落ちることがたくさんあります。

歌は歌詞がありますから、なおのことと思います。

「君を愛する」という言葉一つとってみても、そこからイメージ出来る量は、年齢によってかなり違うでしょう。

こればかりは、テクニックだけではどうにもなりません。

 

今回、若い頃に勉強した楽譜を久しぶりに取り出してみて、今になって分かることが多いのに驚きました。

以前いかに表面的な演奏に終始していたかと思うと、ゾッとします…

「芸術家は長生きしなければ」と聞きますが、芸術表現とは人生そのものでもあるのですね。

私ももっと身体に気をつけて、音楽の面白さ、奥深さを感じていきたい…

改めて感じたマスタークラスでした。

 

 

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【2018.10.30   ホール練習】

 

 

横須賀市はまゆう会館で練習をしました。

「グランドピアノを弾いてみませんか」という、恒例の時間貸しイベントです。

今月初めに別のホールに当選していたのですが、台風の翌日で電車が運休になってしまい、泣く泣くキャンセル。

はまゆう会館が取れてホッとしました。

 

はまゆう会館のピアノはヤマハのフルコン(CFV)ですが、オーバーホール(弦やハンマーなどの部品を交換する大ががりな修理)を終えてしばらくたち、ピアノ全体の響きが良くなってきました。

更に弾きこんで、ハンマーフェルトがもっと締まってくれば、もっと鳴りが良くなりそうです。

 

今回の練習は2枠・2時間。

来年5月のソロリサイタルもそろそろチラシ製作に入りますので、プログラムを確定させたく、広いところで弾いてみようと思っていました。

予定している全曲を弾き、録音もしました。

 

帰ってから録音を確認したところ、音は良く、一安心。

だいぶ音楽を大きくとらえられるようになってきました。

ただ、何度も弾いている曲の出だしのテンポが少し不安定で、感覚で弾いてしまっていたことを反省しました。

今後の通し練習では曲ごとの切り替えも課題になるので、各曲のテンポ感を確実にしておきたいところです。

 

必ず何かを気づかせてくれるホール練習。

次回は12月、戸塚のホールへ行ってきます。

 

 

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【2018.10.26/11.4   コーラス伴奏】

 

 

毎年恒例の、イベントでのコーラス伴奏。

様々な団体やサークル活動の発表の場です。

 

ここではステージリハーサルが出来なかったり、

そのステージのピアノも、状態が様々だったりするのですが、

今回はピアノがよく整備されていてホッとしました。

 

11月の会は、2日間に渡って60近いコーラスグループが出演する大規模な会で、

今年で44回目になるそうです。

私は2日目の午前中に行きましたが、熱意のこもった良い演奏が多く、

まさに「継続は力なり」だと感じました。

 

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コンサートに限らず、定期的に開催されているイベントはたくさんありますが、

時代の変化が早くなっているからなのでしょうか、ただ同じことを繰り返すだけではマンネリというか、内容も運営も停滞しがちで、上手に変化させていく必要性を感じます。

 

11月の会は、会そのものの流れは毎回同じなのですが、

演奏の寸評を書いて下さる先生方4、5名のうち、ゲスト講師1名(作曲家、声楽家、指揮者、合唱指導者と様々)が毎回のように変わります。

寸評の書き方はもちろん、開会式でのご挨拶や、閉会式での全体講評にもそれぞれの個性が出ていて、新鮮な気持ちで聞くことが出来ます。

 

また、開会式や閉会式で皆で歌う歌も、何年かすると別の歌に変わります。

新曲のこともあり、その時は一から譜読みすることになりますが、

毎年新しい歌では大変でも、数年に一度ならあまり無理がなく、マンネリの解消にもなりそうです。

 

主催者の方も、開会式のご挨拶に上手に時事ネタを取り入れていたりして、笑いが起こることもしばしば。

歌う前の参加者にとっては、リラックスにもなっているようです。

小さなことかもしれませんが、ありきたりな挨拶とはずいぶんと印象が違います。

 

 

大規模なイベントでは、内容を大きく変えるのは大変かもしれません。

全員の希望を取り入れることも、難しいでしょう。

でもこのように、主催者・参加者ともに無理なく出来る範囲で、少しずつ変えるやり方なら、続けられそうです。

残すところと変えた方が良いところを見極める眼を持ち、少しずつ工夫していく…

長く続けるコツの一つかもしれません。

とても良い勉強になりました。

来年も楽しみです。

 

 

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【2018.10.4  第28回  神奈川オペラフェスティバル `18   オペレッタ「こうもり」】

 

 

横浜シティオペラによるヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」を観てきました。

今回は日本語上演。

クラシックの発声法に日本語の歌詞を乗せるのはとても難しく、

同じ日本語上演でも、しゃべるセリフは日本語で、歌うところは原語でというやり方が少なくありません。

今回はゲスト歌手の演奏部分を除いて全て日本語でした。

 

会場は客席数433の神奈川県民ホール・小ホール。

グランドピアノと指揮者用椅子がステージ右端の壁にくっつくように置かれていましたが、

それでもオペラのステージとしては、とても小さな空間です。

どんなステージになるのだろうと思っていましたが、いざ幕が上がるととても楽しくて、

2時間半の上演時間があっという間でした。

 

指揮/榊原徹

ピアノ/服部容子

演出/中村敬一

 

〈キャスト〉

アイゼンシュタイン/君島広昭

ロザリンデ/弓田真理子

ファルケ/小栗純一

アデーレ/小田切一恵

オルロフスキー公爵/鹿島千尋

アルフレード/菊池慈生

フランク/女屋哲郎

イーダ/辛島安妃子

ブリント/山本竹佑

フラッシュ/吉田敦

 

アンサンブル/井上恵美・簗取洋子・大隈麻奈未・高森愛子・山口勝久・山田真也・我妻徹・戸村優希

 

ゲスト歌手(第2幕)桑田葉子・柳澤涼子

・・・・第2幕・オルロフスキー公爵邸のパーティーのシーンで、役ではないゲストの歌手が歌う場を入れる演出があり、あのルチアーノ・パヴァロッティが歌っているDVDもあるそうです。

今回、桑田さんはカタラーニのオペラ「ワリー」より「さようなら、ふるさとの家よ」、

柳澤さんはプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」より「私が街を歩くと」を歌って下さいました。

 

 

歌も音楽も本当に素晴らしかったです。

日本語の歌詞もよく聞き取れて、しっかりストーリーを追うことが出来ました。

 

また演出の妙といいますか、小さなステージでも、立ち位置や動作に工夫を凝らすことで、とても面白く観せることが出来るのだと感じました。

アイゼンシュタイン、ロザリンデ、アデーレの三重唱「一人で八日も暮らさねば(泣き泣きお別れ)」など、特に楽しかったです。

 

また小ホールには緞帳(どんちょう)などの幕がなく、照明器具も限られています。

場面転換はどうするのかなと思いましたが、コーラスの皆さんが幕あいの音楽に合わせて踊りながらテーブルクロスやクッションなどを取り替えていて、あっという間に次の場面にチェンジ。

何の滞りもなく場面転換が成されていたのには驚きました。

 

大きく豪華なセットのオペラは、もちろん迫力があって素敵ですが、

小さなステージでも、演奏と演出の良さがあれば、こうも楽しめるオペラに出来るのだと感服しました。

また観に行きたいです。

 

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