【2025.5.4 小林明代ヴァイオリンリサイタル】
ヴァイオリニスト・小林明代さんのリサイタルで、9度目の共演をいたしました。
会場は今回も横浜の素晴らしいホール、フィリアホールです。
・・・プログラム・・・
伊福部昭(田中修一編作): 因幡万葉の歌 五首 ~ヴァイオリンとピアノのための組曲
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004 より「シャコンヌ」
ショーソン:詩曲 op.25
フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調
〈アンコール曲〉
フォーレ:夢のあとに
ハチャトゥリアン:「仮面舞踏会」より「ノクターン」
伊福部昭(田中修一編作): 因幡万葉の歌 五首より 第5曲
今回は、当日ゲネプロを聴いてくださったピアノ調律師・執行直(しぎょう ただし)さんのアドバイスで、ピアノの大屋根を全開にしました。
近年は伴奏も全開で弾くピアニストが増えていますが、小林さんのコンサートではいつも半開。
先日のホールリハーサルでも、当たり前のように半開で弾いていました。
迷いましたが、執行さんのおっしゃることですし、何より小林さん始め、スタッフの皆さんもそれで良いと言ってくださったので思い切ってやってみることに。
そこはさすが執行さん、決してヴァイオリンにかぶりすぎないよう、弾き手が神経をすり減らすことがないよう、調整を施してくださいました。
おかげで、お客様から伴奏へのお褒めの言葉も多くいただけたそうです。
ピアニストにとって調律師は命綱。
改めてそう思いました。
伊福部昭「因幡万葉の歌」の原曲は、ソプラノ独唱・アルトフルート・二十五弦箏という珍しい編成。
今回のヴァイオリン&ピアノの編曲では、ソプラノのパートはヴァイオリン、アルトフルートと二十五弦箏のパートはピアノが受け持つことが多いです。
二十五弦箏はとても力強い音がするため、始めはそれを模倣して弾いていました。
でも何だか堅くて不自然になるばかり⋯
小林さんからもアドバイスいただきながら、いつものピアノの弾き方に戻していき、やっと納得がいくようになりました。
フランク「ヴァイオリンソナタ」は、最も苦心しました。
素晴らしい曲ですが確かにピアノパートが難しく、“伴奏を引き受けるのを躊躇するヴァイオリンソナタのひとつ“ と言われたりします。
小林さんのリサイタルで弾かせていただくのは9年ぶりですが、その間にも、楽章抜粋を含め何度か弾く機会がありました。
トータルで10回以上は弾いていると思いますが、今回は音を外さずに弾くのに一苦労⋯
指遣いもかなり変え、書き込みだらけになってしまった楽譜も、新しく買い換えました。
またこの曲は、弾き手によってかなりテンポが違います。
思っていたテンポと大きく違うと(速くても遅くても)、余裕がない分、とても戸惑ってしまいます。
以前の小林さんの録音を確認しておくべきだった、と反省しました。
片手練習、メトロノーム練習などの基礎練習をはじめ、出来ることは全てやりましたが、いっぱいいっぱいなことに変わりありません。
集中を切らさなければ大丈夫、と自分に言い聞かせる毎日でした。
弾いたことのある曲でも、油断は禁物ですね⋯
大きなコンサートの後は、体力回復に1週間、気力の回復にプラス1週間かかると感じています。
仕事中でも、精度を落とさないよう気をつけながら、少しだけペースをゆるめるなどして回復をはかっています。
これからも自分の身体と上手に付き合っていきたいものです。
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2週間後の5月19日、小林さんの夫君で師匠でもあったヴァイオリニスト・小林武史さんが94歳で永眠されました。
これまでのリサイタルでは、私も一緒にレッスンを受け、ホールリハーサルもお聴きいただいていましたが、今回はご療養中のため叶わず、残念に思っておりました。
ご夫妻の長年に渡る強い絆が、小林さんの艶やかな音色をいっそう輝かせていたと思われてなりません。
ご冥福を心よりお祈りいたします。
【2025.5.3 第43回 アラムニーコンサート 〜北鎌倉女子学園音楽科6期生による】
母校・北鎌倉女子学園高校音楽科の先輩方による、アラムニー(同窓生)コンサート。
年に1回開催されていて、今回で43回目。
音楽科同期生のジョイントコンサートは少なくありませんが、ここまで継続出来ている会は他にありません。
一昨年・昨年に続き、元音楽科講師のメゾソプラノ・安東京衣子(あんどう けいこ)さんの伴奏をさせていただきました。
ヴァイオリンの小林明代さんは、翌日がソロリサイタルのため不参加。
ピアノ5名・ソプラノ3名・メゾソプラノ2名に伴奏ピアノが私を含め2名。
そしてプレゼンテーター(司会)1名の計13名がステージに立ちました。
・・・プログラム・・・
東條安子(ピアノ)
ポンセ:「愛のロマンセ」「間奏曲 第1番」「エストレリータ」
伊藤いづみ(ソプラノ)&武内純子(ピアノ)
武満徹:「小さな空」
村松崇継:「いのちの歌」
門田あゆ子(ピアノ)
モシュコフスキー:「15の練習曲」op.72より 第11番
リスト:「3つの演奏会用練習曲」より 第3番「ため息」
本間菜穂子(ピアノ)
シューマン:「幻想小曲集」op.12より 第1曲「夕べに」 第2曲「飛翔」
長島和美(メゾソプラノ)&和田泉(ピアノ)
小林秀雄:「落葉松」
ビゼー:オペラ「カルメン」より 「ハバネラ」
・・・・・・・・・・
桑田葉子(ソプラノ)&本間菜穂子(ピアノ)
山田耕筰:「からたちの花」
安東京衣子(メゾソプラノ)&髙橋希代子(ピアノ)
高田三郎:「くちなし」
團伊玖磨:「六つの子供のうた」より 「いたち」「秋の野」「さより」
松井眞理子(ピアノ)
ドビュッシー:「バラード」
ドビュッシー:「版画」より 「雨の庭」
梶井智子(ソプラノ)&門田あゆ子(ピアノ
ブラームス:「メロディーのように」
マイゼル:「愛の国では千の赤いばらが咲き、金色の星がきらめく」
和田泉(ピアノ)
ショパン:「ノクターン 第5番」op.15-2 「ノクターン 第18番」op.62-2
桑田葉子(ソプラノ)&本間菜穂子(ピアノ)
レオンカヴァッロ:オペラ「道化師」より 「鳥の歌」
全員による演奏(合唱)
ロジャース:「エーデルワイス」
ロジャース:「ドレミの歌」
曲は協議することなく各自で選曲していくそうですが、不思議と重なってしまうことはないそうです。
選曲のテーマなども定められていなく、特に統一感のないプログラムなのに、コンサート全体が一つにまとまっている⋯
43回という蓄積の成果ですね。
最後に全員で演奏するというのも、コンサートのまとまりに一役買っていると思います。
(私は毎回ヒヤヒヤしながら歌っていますが⋯⋯)
今回は4連休の初日でしたが、お天気にも恵まれ、ほぼ満席のお客様でした。
開催数日前に、整理券の配布をストップしたとのこと。
お客様に愛されるコンサートになっていらして素晴らしいです。
50回、60回と続いていかれますよう、願ってやみません。
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